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今月の課題
「ハーグ条約」に日本も
加盟するべきなのか?

カット
今年5月、米国、英国、フランス、カナダの4カ国の駐日大使・公使たちが記者会見を開き、国際離婚時に、一方の親が子どもを「連れ出す」というトラブル解決を目的とした「ハーグ条約」に、日本も加盟するように迫った。そもそも、この「ハーグ条約」とはなんなのか。そこからは、日本人の国際結婚の問題点が浮かび上がってくる。

Q1  国際結婚をした夫婦の中で、
 一方の親による「連れ出し」が
 増えているのを知っていますか?

グラフ

Check●1
そういうことも起こりうる、
ことはわかる

写真「いいえ」がわずかに上回ったが、ほぼまっぷたつに割れた。だが「はい」と答えた層も、「連れ出し」状態になっている事実を「見聞きして知っている」かどうかはアヤシイ。あとの設問Q2の「ハーグ条約」の認知度の低さから考えると、国際結婚で離婚すれば、そういうことも起こりうるなという常識的な推論から答えた節もある。


Q2 「国際的な子の奪取の
  民事面に関するハーグ条約」
  を知っていましたか?

グラフ

Check●2
そんな条約があったとは

認知度は3割ちょっと。つまり7割の人は「ハーグ条約」を知らないわけだ。おそらく5月21日の米英加仏大使館の会見(上記参照)で初めて知った人も少なくないのではないか。それを加えての3割ということは、実際はもっと低かったと考えるのが妥当。条約の存在も、その条約に日本が加盟していないこともほとんどの日本人が知らなかった。


Q3 この条約に加盟すると、国際的な「連れ出し」を
  行った親が「誘拐犯」として国際手配になること
  があります。こうなると、元々生活していた国へ
  帰れなくなるということが起こります。
  この問題についてどう思いますか?

グラフ

Check●3
日本人の皮膚感覚とは
合わない?

「一概に罰するべきでない」「子どもが育った国に戻れないのはおかしい」を合わせると8割を大きく超える。つまり、ほとんどの日本人が「ハーグ条約」の趣旨に感覚的・感情的に違和感を感じているということになる。なぜ、諸外国の感覚とここまで食い違うのか……。後半の質問の答えで徐々に明らかになってくる。


Q4 「ハーグ条約」に加盟した場合、
  母国に帰った片親の情報
  入手が容易になる反面、国際離婚の
  裁判が終結するまで、元々住んでいた国に
  とどまらなければなりません。
  このことについて、一番に感じることは何ですか?

第1位 母国でない国で結婚した
  側が不利になる 45%

第2位 子どもに負担がかかる
  22.5%

第3位 母国の祖父母や肉親、友人と
  会えないのは不当 20%

第4位 連れ出しリスクの軽減
  12.5%

Check●4
浮かび上がる日本人の
国際結婚像

「母国でない国で結婚した側が不利になる」が半数近い得票を集めた。対して、「ハーグ条約」の趣旨に沿った「連れ出しリスクの軽減」はわずか1割程度と、メリットよりもデメリットを感じている。つまり、日本人の国際結婚は、日本人女性が外国人男性と結婚し、最終的には相手側の男性の国に住む、というパターンを“王道”と考えるからだろう。また、次の設問にある「親権は女性が持つという常識」も関係している。結果的に「連れ出す側」になりやすいからだ。


Q5 欧米では父と母はどちらも親権を取れると考えられ、
日本では親権は母が持つべきと考えられがち。
あなたは、こうした日本的価値観をどう思いますか?

 

グラフ

Check●5
理想としては欧米流を
支持したいが

イラスト親権は母親という旧来の常識は改めるべきだ、という意見が大勢を占めた。欧米流に習え、ということだ。もし、本当に日本人がそう考えるのならば、欧米側から「連れ出し」と批判されるような事例も減ると思われるのだが、現状はまだまだそこまでいっていない、ということだろう。


Q6 さまざまなケースを考えた場合
  日本も加盟するべきだと思いますか?

 

グラフ

Check●5
正直、どっちがいいのか決められない

「ハーグ条約」の背景には、父と母は子育てにおいて欠かすことができず、故意に一方の親を子どもから排除するべきではないという、欧米の考え方が背景にある。「連れ出し」の問題は海外において重要な問題で、特にアメリカでは、2008会計年度において、日本人の妻が子どもを連れて帰国し「連れ去られる」ケースが73件で104人と、条約未批准国では最も多い。
一方の親が海外への「連れ出し」を行った場合、誘拐犯として指名手配されるケースが多く、国際問題に発展しかねないとの声がある。



総 論
恋愛に国境は
ないけれど

写真 ネット関連BBSによれば、典型的な例は次のようなもの。
 日本人女性が結婚して夫の国へ行き、子供をもうけた。だが、その後、夫婦仲に問題が生じ、夫が家へ帰ってこなくなる。収入を得る手だてもないかもしれない。そこで、仕方なく子どもと共に日本へ戻る。暫くして、夫が「子どもはどこに行ったんだ」と騒ぎ出す。だが、日本は「ハーグ条約」に加盟してないので、探す手段がなにもない。
 条約批准は時代の流れかもしれないが、その前に日本人側の常識を変えていく必要はあるだろう。「親権は女性が持つべき」という考えを改めること一つとっても、母子家庭には手当が出るが父子家庭には出ないという日本の福祉政策から改めないと、なかなか欧米の感覚を理解するのは難しいだろう。
 現状では、恋愛に国境はないが、恋愛の後始末に国境が立ちふさがる……のだ。この結果がどうなるのか見物である。



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