「今後も、より安全で良質なサプリメントやワクチンを提供しながら、宇和島の養殖産業全体を盛り上げていきたい」

　深い入り江と半島が交錯したリアス式海岸の続く愛媛県宇和島湾は、その独特の地理的利点を活かし、昔から真珠や真珠貝の養殖が盛んで、日本有数の真珠の産地として有名だ。現在は、真珠養殖のほかにタイやハマチ、トラフグやシマアジなど豊富な魚類の養殖が行なわれている。慢性的な不況と安価な輸入海産物の流入による価格低迷など、漁業全体で厳しい状況が続いているが、特にコスト面では輸入品にはかなわない。そこで、宇和島漁業組合が力を入れて取り組んでいるのが、養殖履歴を表示した養殖魚の出荷。品質と安全性の高さを全面的に押し出し、輸入品との差別化を図ることで新たな活路を見出すべく奮闘中だ。しかし、大きな問題点として立ちはだかったのが、養殖中心になり、魚自体の抵抗力が低下し、様々な病気を発症するようになっている現状。そこで大きな存在感を発揮したのが養殖魚に与えるワクチンやサプリメントを手がける『四国サプリ』。ワクチンにより、魚の免疫力を高めて病気を予防したり、サプリメントを投与することで、魚の色をより鮮やかに美しくするなど、養殖魚の品質と安全性の向上に大きく貢献している。2002年の設立時には、まだ食用ワクチンの認知度は低く、仕入先の開拓に苦労を重ねていた同社だったが、地道な営業と地元密着型の手厚いサービスで少しずつ地域との信頼関係を築き、知名度を上げてきた。取引先が魚を出荷する際には、スタッフ総出で手伝いに行くなど、養殖場経営が低迷する近年だからこそ、助け合う「共存共栄」を大切にする姿勢を貫いている。今後も、丈夫で美しい宇和島ブランドの養殖魚を支える重要なポジションを担い、大いに貢献していくであろう。
（ライター／石崎緑子 ）

有限会社四国サプリ

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