井形慶子 イギリス
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  掲載クライアント
 
天龍山 聖寿寺 住職
鈴木文明氏
『聖寿寺』に生まれ、中学生の頃から先代の住職を手伝うようになる。宗門の大学で学んだ後、曹洞宗の大本山「総持寺」や、名古屋にある「日泰寺」で修行を行う。『聖寿寺』に戻り28世住職となる。
お寺は歴史ある地域資源
その活用で地域振興を

 「これからは、お檀家さまだけではなく、広く地域との新しい縁を作っていく試みが大事になると考え、葬儀以外でも関われる関係性を作っていきたいと考えています。地域の皆さまにとって敷居の高いようなあり方は、寺院本来のあり方ではないと思います」。そう語るのは、静岡県の曹洞宗寺院『天龍山 聖寿寺』の鈴木文明住職だ。
 日本の仏教寺院は、ある程度の敷地があり、緑豊かな寺院はいわば地域資源のようなもの。寺院には敷地や建物など人が集まれるキャパシティがあり、静寂で心安らげる宗教空間なのだ。
 鈴木住職が現在試みているのは、マッサージの勉強会。これは、営利企業に貸し出す形ではなく、お大黒さんが共に勉強するお寺の行事として開催しているので、誰でも気兼ねなく集まれる勉強会になっている。
「こうした地域の拠点としてさまざまな利点があるお寺、重要な資源であるお寺という場所を、地域を結び振興のための拠点としてこれからも活用してもらいたいし、寺院としてもさまざまな試みに挑戦していこうと思っています」
 なぜこうした試みが重要になってくるのか、そのわけを鈴木住職は言う。
「現在お寺では一般の方との接点は、葬儀からが一番大きいです。実際我々が説く内容は死に直面した方々はよく聞いてくださいます。しかしその反面僧侶の言葉が葬儀の場でしか伝わらないという現実を、われわれ僧侶の側から捉えなおさなければならないと感じています。また、これまで病院で迎える方がほとんどだった死というものが、在宅医療という選択肢が増え、それにつれ家での看取りも増えてきます。これまで隔絶されてきた死が、日常に戻ってくる。葬儀以外での場での、老い、病気の苦しみ、死というものへの問いかけが多くなるでしょう。その問いかけに僧侶として応えていくことが日本仏教の試金石となるのではないかと思います」
(ライター/本名広男)
 
天龍山 聖寿寺
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萬壽寺 住職
田代晴耕氏
『萬壽寺』住職であった父の師匠の縁により小学6年から中学3年まで平戸の「雄香寺」に弟子入りし禅の道を歩む。専門道場後「雄香寺」に戻り3年務めた後、佐賀の『萬壽寺』で父親の元で副住職を務め、父親の他界後住職となる。
由緒ある歴史の中で
不動尊信仰を守る寺

 渓谷の美で知られる佐賀大和町の川上峡。その山中に地元の人達から親しみを込めて「水上のお不動さん」と呼ばれている臨済宗南禅寺派の『萬壽寺』がある。『萬壽寺』は大治5(1130)年に開山、800年の歴史を持つ古刹だ。開祖である善住上人が竜神の使いより賜ったという「火と水」二振りの剣にちなみ、本尊を火焔と忿怒の形相を表す不動明王としたといういわれがある。
「この不動尊は子育て祈願を始め、家内安全、病気治癒、交通安全等々願いごとを何でも聞いてくれるとして、現在も信者は絶えることなく訪れています。かつては毎月28日の祭りには、村をあげて行列を作って参拝に訪れていました。もともと当山は、この不動尊を信仰する信者の御寄進により支えられている寺なのです」と、田代住職。
『萬壽寺』は禅寺には珍しく、代々の住職が祈祷や易学を用いて不動尊を訪ねてくる信者の相談を受けているという。信者は不動尊に祈願し、実際の方位や吉凶等のアドバイスは田代住職からということになる。同寺には由緒ある寺宝や境内の見事な滝があり、11月下旬~12月上旬には壮麗な紅葉を見ることができる観光の名所だが、あえて観光寺として宣伝しないのも不動尊にお参りする信者に配慮してのこと。
「信者が御利益を求めてきたり、代々の住職が易学などを用いるのも、もともと当山が佐賀藩藩主の祈祷寺であったという歴史があるからなのかもしれません。境内には滝があるのですが、少し前まで遠近から霊能力者が滝行に来ていたのですよ。一般のお寺と違い、観光などに頼らないお寺というのも珍しいかもしれませんね」
 代々受け継がれてきた由緒ある寺と共に、訪れる不動尊の信者のために「水上のお不動さん」をずっと守っていくことを田代住職は使命と感じている。
(ライター/本名広男)
 
萬壽寺
TEL/0952-62-1872
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