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損をさせない大型不動産の売買仲介実践
経験と知見から生み出した独創的スキーム

信託銀行での経験豊富
事業を貫く明確な信念


 東京、名古屋、大阪、福岡にあるオフィスビルや一棟マンション、商業施設、物流施設など3億円以上の大型不動産物件の売買仲介で成約をスピーディに実現する実力に熱視線が注がれる経営者がいる。『株式会社日本不動産パートナーズ』代表取締役の青木晋市さん。約30年間務めた三井住友信託銀行の不動産部門などで培ったノウハウと実務経験に加え、不動産鑑定士や証券アナリスト、宅地建物取引士の資格が裏付ける専門知識、米国の世界トップクラスの総合不動産会社「ジョーンズラングラサール」のシニアアドバイザーとして持つ高角度の視野が迅速に高く売りたい売主の期待に応えてきた実績に表出する。
「素人が損をする不動産業界の構図を変える」「絶対に売主に損をさせない」。青木さんが事業で貫く信念だ。
「不動産業界に不透明な要素があるのは事実で、安く買い叩かれてしまう売主様も中にはいらっしゃいます。私は、そういう不動産取引で損をしてしまう方々を助けたい、そのような業界の仕組みを抜本的に改革したい、という思いから独立を決意したのです」
 独立起業したのは2020年1月、50歳のとき。事業展開に自信を持った基盤になったのがそれまでの歩みだ。大学卒業後、1991年に住友信託銀行(現三井住友信託銀行)入社し、本店不動産営業部分譲業務・仲介業務や本店営業第3部融資業務、従業員組合専従後は不動産投資顧問部に携わり、1200億円の不動産ファンドを立上げた後、人事部、不動産企画部次長、大阪本店営業第一部次長を経て最年少で名古屋不動産営業部長に就任とキャリアを積み重ねてきた。
「銀行の中でも不動産仲介ができるのは信託銀行だけで、取り扱いメニューもメガバンクより多いのです。その点では非常に多くの学びを得ることができました。そして、名古屋時代に不動産部長を務めたことがきっかけで、不動産仲介での独立に焦点を絞り、50歳で当社を設立しました」
 さらにこの間、不動産評価のスペシャリストである不動産鑑定士や不動産取引の専門知識を持つ宅地建物取引士の国家資格、企業、産業、経済状況を調査分析し、投資の対象として価値があるかを判断する日本証券アナリスト協会認定の証券アナリストなどの資格を取得。国税局路線価評価委員や不動産証券化協会の委員などの役職も歴任し、事業推進の強力なバックボーンになった。
 同社が主に扱うのは、一般住宅以外の3億円以上の大型不動産や都心の不動産で、中でも数十億から数百億円規模の不動産を得意とし、その売主と買主をつなぐのが仕事だ。事業スキームも独自性が際立つ。
「当社の強みは、投資家などの買主様との豊富なネットワークを構築していることです。我々がストックしている東京、名古屋、大阪、福岡にある3億円以上の不動産をピックアップし、仲介業者を介さずに買主様に随時メールで直接情報を提供しますので、スピーディな対応が可能であり、秘密が漏れる心配もありません。また、不動産所有者である売主様の手数料無料も実現し、高額の手数料への心配は要りません。当社のこうした売買仲介のスキームで、手数料が高い、活動内容が不透明、時間がかかるといった不動産仲介業者に対する不信や悩みが払拭され、安心して取り引きすることができるのです」
 青木さんは、事業用不動産のコンサルティングも手がけ、上場企業の店舗統廃合のサポートでその実効性を示した。
「当社から大手不動産会社に売却などの依頼を行っていましたが、結局のところ案件全てで当社のお客様が最高価格を提示し、当社で買主様の仲介を行うことになり、当該上場会社様には大変ご満足いただいています。その意味では大手不動産会社に仲介を依頼する意味はなく、複数窓口に依頼するより、当社に依頼するほうが売主様にとって効率的かつ最適ということになります」
 もう一つ、強みを発揮するのが事業用不動産の有効活用の支援だ。
「事業用不動産を有効活用する場合、一番良い条件を知りたいと考えますが、一般的な仲介業者に依頼すると、よく知っている特定の取引先を紹介しますが、その特定の取引先が賃料などについて最高の条件を提示してくれるとは限りません。その点、当社は幅広いテナント先とのつながりを生かして、いくつもの選択肢をご提示でき、ご納得いただける契約相手を必ず見つけることができます」
 青木さんが構築した事業スキームに基づく仲介業務に対する高い評価はクライアントの実際の声から浮かび上がる。

大手ハウスメーカー(売買代金5億以上の売主)
「銀行系・財閥系の大手不動産仲介会社など10数社に売却を依頼しましたが、『日本不動産パートナーズ』が買主を一番早く連れて来てくれました。満額回答の良い買主様でしたので、売却を決めました。同社は、スピード、買主の好みの選別、その後の折衝術、事務力等、申し分ありません。大手不動産会社はスピード感がなく、会社の看板に胡坐をかいているのではないかと思いました」

IT企業(売買代金15億以上の買主)
「段違いのスピード、実現力があると思います。大手不動産会社に購入申込書を提出して、1ヵ月間音沙汰無しでしたが、貴社に同物件について、同条件で購入申込書を提出したところ、翌日には売主を連れて来て、話が纏まりまし、段違いのスピードと実現力があると思います」
個人70代女性(1物件単体で5千万以上、2物件合わせて売買代金2億以上の売主)
「2物件の同時売却で活動した『日本不動産パートナーズ』の発想力に脱帽します。母が住んでいた住宅の売却依頼をお願いしましたが、粘り強く対応頂き、最終的には前の大通りの土地と同時売却を行い、大手不動産会社にマンション用地として購入して貰いました。価格的には、大手不動産会社に査定された価格よりも120%高い金額で売却頂きました。大手不動産会社は、私の所有地単体で動いていたため、買主を1社も見つけられませんでした」

企業(売買代金10億以上の売主)
「会社の方針で保有不動産を急遽売却することになり、直接探索した買主候補に売却の話を持ちかけておりました。そんな時『日本不動産パートナーズ』に相談したところ、直接複数の買主候補に検討依頼を行い、購入価格を競わせた結果、最終的に2倍近くの価格を出していただける買主様を見つけてきていただきました。さらに、約半月というスケジュールが非常にタイトな状況で契約・決済を取り纏めてくださり、無事に売却をすることができました」
大手メーカー系不動産会社取締役
 (売買代金5億以上の買主)
「今回不動産取引をするのは初めてでしたが、とても良い案件を買わせて頂きました。大手不動産会社は色々な方がいますが、社長自ら営業するのであれば、これほど頼りになる人はいないと思います」

企業オーナー(売買代金100億超のビル所有者)
「売却を依頼して、最終的に売却依頼を取り下げましたが、いやな顔一つせずに『貴方様の思った方向に行って、良かったですね』と心の底から言っていたのが印象的でした。売却を検討するなら、先ずはこの会社に相談するのが良いと思います。購入検討者の価格を見てから、売却を取り下げても、全く問題ないと思います」

 青木さんは、2023年9月には大阪の不動産会社『株式会社真成エステート』をM&Aで買収してグループ会社とし、全国展開の不動産フランチャイズチェーン『ハウスドゥ』に加盟、大阪市都島区中野町に地域密着型の『ハウスドゥ都島中野町店』を開設し、主に3億円未満の中古マンションやアパート、戸建て住宅の賃貸、売買仲介事業にも乗り出し、業容のウイングを広げた。
 さらに青木さんは、クラウドコンピューティング・サービス提供企業である米国Salesforce(セールスフォース)社の日本法人と提携し、顧客や物件情報の管理システムのほか、ある売り物件が出た際に一番良い条件提示をする買主候補を探索するシステムの構築に着手した。
 青木さんは「ジョーンズラングラサール」のシニアアドバイザーを務めているが、その意義について語る言葉から今後の展開も見えてくる。
「同社は、不動産に関わるすべてのサービスを提供する事業をグローバルに展開する会社。シニアアドバイザーとしてその仕事に携わることで、世界的に見た日本の不動産の状況を客観的に見ることができて勉強になりますし、外資系の買主様との直接ルートも多く持つことができています。中国の投資家の方もどんどん増えていますので、今後はそちらとのつながりも強めていこうかと考えています。日本の不動産は世界の投資家にとって魅力がありますので、売主様が海外の買主様を視野に入れることができるよう幅広い情報を提供していきたいと思っています」
(ライター/斎藤紘)

株式会社 日本不動産パートナーズ
TEL/052-856-5593
ホームページ 
https://www.nfp.jp/



おもてなしの精神をAIでシステム化
次世代EMサイトプラットフォーム開発

待ちのEMの課題克服
CRMの進化形を実現


「AI(人工知能)のアルゴリズムを用いて顧客一人ひとりの感情を見える化してプロファイリングし、精度の高いOne to Oneマーケティングを実現する」
 ビジネスシーンを大きく変えたデジタル技術の象徴、EM (e-merchant 電子商取引)をAIで飛躍的に進化させたと評されるのが、顧客関係管理(Customer Relationship Management CRM)研究の世界的第一人者、『アーカス・ジャパン株式会社』代表取締役の松原晋啓さんが開発した次世代EMサイトプラットフォーム『Arcury』だ。顧客が来るのを待つ従来のEMとは異なり、自ら売りに行く行商人のように顧客の細かなニーズを的確に汲み取り、商品やサービスの販売に確実につなげることができるように構築した世界初のシステム。その評価は、日本マーケティングリサーチ機構が2023年に無作為に選出したインターネットユーザーを対象に行った調査で、Google検索で多い「CRMソリューション ITシステム企業」9社の中で「先端のCRMソリューションが期待できるITシステム企業」「サポート体制が最も期待できるCRM」「円滑なシステム運用が最も期待できるCRM 」の3部門で第1位に輝いたことでもわかる。
『Arcury』は、松原さんがグローバル企業で培った技術力と高度の専門知識の結晶ともいうべきシステムだ。国内のシステム会社でシステムエンジニアを経験後に渡米、アクセンチュア・テクノロジー・ソリューションズ(現アクセンチュア)の創設メンバーとして入社、プロジェクトリーダーなどを務め、退職後、米インフラジスティックスの日本法人インフラジスティックス・ジャパンを経て日本マイクロソフトに転職し、Dynamics CRMチームの立上げメンバーとしてプラットフォーム型CRMを提唱して数々のソリューションを生み出し、新たな市場を開拓したことでマイクロソフトワールドワイドの最優秀者に授与されるCircle of Excellenceを受賞。その後、グロースハッカーとしてIT企業のCRM事業立上げなどを支援、2020年7月に『アーカス・ジャパン』を設立し、CRMの進化を牽引してきた。
 その実力は世界最大の米経済紙ウォールストリートジャーナル」から2023年5月、IT界の次世代リーダーを意味する「Next Era Leaders for IT」に選出されたことでも裏付けられる。
 CRMは、企業全体で顧客を深く理解し、顧客満足度を高めることで収益性を向上させていく経営戦略。1990年代後半、IBMに次ぐITサービス企業、アンダーセン・コンサルティングによって概念が確立された。
「CRMは、社内に散らばった顧客に関する情報を一元管理し、取り出したい情報がすぐに見ることができ、さらにその情報を元に誰に何を売ればいいのかを企業全体で認知するために、顧客との関係性、コミュニケーションを管理し、自社と顧客との関係を一元的に把握できるITシステムのことです。具体的には、顧客の連絡先や購入履歴の確認、メールやソーシャルメディアを通じたやりとり、業務管理、商談状況のチェックなどを一つの業務アプリケーションの中で行い、顧客一人ひとりを深く理解します。顧客が求めるものを提供する、日本人の得意とするおもてなしの精神をシステム化したものといえばイメージしやすいかもしれません」
 このCRMを進化させたのが『Arcury』だ。開発した動機は従来のECが抱える課題を克服することだ。
「消費者はECサイトを訪問して商品を選択し、購入するという流れが一般的ですが、従来のECサイトは、顧客の潜在欲求を読み解き、顧客一人ひとりにアプローチし、商品の購入を促すようにはできていないのです。そのため、ECサイトを開設しても訪問してもらえなければ購入してもらう機会は得られませんし、顧客からもニーズに合う商品があるのかを分かってもらうことができません。こうした課題を解決するために開発したのが『Arcury』です」
『Arcury』のキーテクノロジーが『EMOROCO』。EMOtional Analysis(感情分析)、RObot(ロボット)、COgnitive(人工知能)の各機能を搭載したCRMソリューションで、サービスに特化した疑似汎用型AIを搭載した世界初のCRMだ。
「『EMOROCO』は、新世代CRMのコンセプトであるパーソナライズドCRMに基づいて開発しました。数値として把握できる定量データと顧客情報に当たる定性データをAIが分析し、顧客の性格や感情を含む深い情報を導き出し、顧客の感情を見える化することで、より精度の高い顧客サービスの提供が可能になるCRMソリューションです。企業に蓄積されたあらゆるデータや膨大な市場データをAIが学習、分析し、その結果をCRMに活かすことでより精度の高い分析が可能になります。一般的なCRMで顧客をグルーピングする場合はマーケターの手が加わりますので長い時間と複雑なグルーピングを行う必要がありますが、『EMOROCO』はAIが導き出したグループに対して多段階分析をかけて顧客の特徴を自動計算します。常に最新データを学習しているので市場とのミスマッチが起こりにくく、導入企業は最適な施策を打つことができるのです」
 この『EMOROCO』を組み込んで2022年1月にリリースしたのが、『e-Merchant電子行商人』と呼ばれる『Arcury』だ。
「顧客サービスに特化した人工知能サービスと学習データベースを持ち、CRM の顧客情報から人工知能のアルゴリズムを用い、顧客の性格や感情を含む深い情報を導き出し、パーソナライゼーション、個客化を行い、CRMの原則である1顧客1IDで効果的なOne to Oneマーケティングを実現します。また、『Arcury』はプラットフォーム機能を有しているため、既存のECサイトをe-merchantサイトへアップグレードすることが可能であり、また高いカスタマイズ性を有する『EMOROCO』をベースとしているため、業種、業態に合わせて容易にカスタマイズすることできるのも特長で、学校や病院、政治などどんな業界にも導入できます。その他にも日本が抱える地方経済の活性化という課題にも大きく貢献できると思っています」
 松原さんは、『Arcury』をベースにした新たなITサービスも開始した。その一つ、『Arcury for Live Commerce』は、動画を利用しながら単なる商品の説明に止まっている通販サイトとは異なり、『Arcury』と動画配信を用いて、視聴者が配信者の動画を視聴し、動画内で紹介された商品を購入できるサービスだ。視聴者の閲覧履歴や購入履歴から『EMOROCO』が視聴者の好みを学習し、ニーズに沿った内容の動画を提案することで、リアルな顧客体験をECで実現することができる。一般視聴者が1視聴当たりの視聴料金と任意での投げ銭を動画配信者に支払い、動画配信者側は各地域の名物や商品を紹介することで、各小売店の販売を促進するといったビジネスモデルの構築も可能になるという。
 もう一つのサービスが『Arcury for Location』。『Arcury』と位置情報を用いて、狩猟やイベント、災害時の救助活動などチーム内の動きをリアルタイムで把握し、作戦の計画から遂行、評価までを支援するサービスだ。端末登録機能、作戦一覧機能、作戦登録機能、作戦計画機能、作戦遂行機能、作戦評価機能などを備え、AIが作戦分析、作戦遂行後の評価結果から類似パターンを学習し、効率よく作戦遂行が行える計画を提案する。タブレットやスマートフォンで簡単に利用できるのが特長だ。
 松原さんは、自社でシステムを開発するだけでなく、他社が開発したシステムも的確に評価し、有用と判断したのの導入も進めている。その典型例が2023年4月に同社が大阪市でオープンした健康家庭料理&雑煮BAR「膳」への生成AI接客ツール「Alive」の試験導入だ。主にクラウドサービスのシステムインテグレーション活動を行う「K合同会社」(本社東京)が開発したもので、高品質の音声を生成できるニューラル音声技術や100以上の言語と方言に対応する高精度翻訳技術を搭載し、世界中の様々な客とスムーズにコミュニケーションをとることができる。Webページに訪問中の客とリアルタイムで直接チャットができるリアルタイムチャット機能、MeetやZoom、Teamsなどを利用するオンライン商談機能、スタッフが不在のときに担当者のスマホからその場で返答することができるLINE連携機能なども搭載している。
(ライター/斎藤紘)

アーカス・ジャパン 株式会社
TEL/06-6195-7501 
Eメール/info@arcuss-japan.com
ホームページ 
https://www.arcuss-japan.com/


建設残土の不適切処分問題で警鐘鳴らす
採石場跡地の活用を提案し署名活動開始

闇で捨てる実態が不明
跡地の地盤安定化効果


「気候変動を食い止める脱炭素化など地球規模の問題も大事だが、もっと身近な所で起きている環境破壊にも目を向けるべきだ」
 傘下に4事業会社を擁し、栃木県真岡市を拠点に建設事業など20を超える事業を展開する『ライフグループ』の菱沼博之会長が警鐘を鳴らしているのが、国土開発で出る建設残土の行き場がなく、山林原野に不適切に捨てられている問題だ。建設残土の盛り土が崩落し、死者・行方不明者27人を出した2021年7月の静岡県熱海市の土石流災害を機に「処分の仕方」の規制は強化されたが、肝心の「処分場の確保」について行政が機能していないために闇で捨てざるを得ない状態が常態化していると指摘、新たな処分場を生み出す独自のアイデアの実現に向けて行動を開始した。
「建設残土は、建設現場で発生する土のことで、正式には建設発生土といい、都市開発用の貴重な建設資材として埋立てや土地造成、盛土などに利用されますが、利用されないものは処分しなければなりません。建設発生土の発生量のデータで最も新しいのが国土交通省の2018年度建設副産物実態調査の結果です。建設発生土の発生量は約2・9億㎥で、現場内で利用された1・6億㎥を除く1・3億㎥の44%が発生土受入地へ搬出されているとありますが、その実態は明らかではありません。ここに問題があり、夜陰に乗じて山林原野に捨てる実態が隠れているのです」
 こう指摘した上で菱沼会長は、実際に建設残土をダンプトラックで運搬する業者の間で語られる様々な情報から恐るべき実態が浮かび上がるという。
「東京で発生し、捨て場のない建設残土はダンプ屋といわれる業者から次のダンプ屋へと引き継がれ、千葉や埼玉などにあるストックヤードという建設残土集積場に集められ、本来そこから処分場にいくべき残土が、ヤード屋と呼ばれる業者の取り仕切で、別のダンプ屋によって茨城や栃木、福島などに運ばれ、違法投棄されるのです。このプロセスは闇の中で、どこにどのくらいの建設残土を捨てたかは分からないのです。自然環境の破壊だけでなく、崩落や有害物質の漏出のリスクが生まれるのです。しかも、不適切な処分が見つかって責任を負わされるのは末端のダンプ屋という不合理も起きているのです」
 建設残土がどこにどれだけ捨てられたか不明というのは、ある国会議員が2020年に国土交通省に宛てた質問主意書をめぐるやり取りでも裏付けられる。

質問 「建設発生土に係る不適正処理の状況や建設発生土の受け皿となる建設発生土処分場の状況を把握するとともに、悪質な業者や事案について関係省庁及び自治体間で情報共有を行うことができなければ、不適正処理に対して対応することはできない。そこで、過去3年間程度の都道府県ごとの建設発生土受入地の施設数、残存容量、残余年数及び建設発生土の不適正処理に関連し、砂防法などにより警察に検挙された悪質業者の件数を政府として把握する必要があると考えるが、把握状況を明らかにされたい」

回答 「お尋ねの建設発生土受入地の施設数、残存容量、残余年数については、網羅的に調査していないため、また、お尋ねの悪質業者の件数についても、統計をとっていないため、お答えすることは困難である。把握する考えがあるのかとのお尋ねについては、これらを把握することは考えていない」

質問 「不要とされた建設発生土については廃棄物処理法上の廃棄物とみなし、同法による処理を行うべきという考え方もあるが、政府の見解を示されたい」

回答 「建設発生土は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に規定する廃棄物には当たらず、同法による規制の対象とはならないと考えている」
 これが建設残土についての国の基本的なスタンスだが、熱海市の土石流災害を受けて、国は宅地、森林、農地などの土地の用途を問わず、危険な宅地造成、盛土、土石の堆積を全国一律の基準で包括的に規制する改正宅地造成等規制法、いわゆる盛土規制法を2022年5月に制定した。菱沼会長は、遅きにししたとはいえ一歩前進と評価する一方、盛土規制法は処分場での処分の仕方に関するもので、処分場の絶対数が不足している以上、建設残土の不適切投棄問題の解決にはならないと強調する。その上で、一つの解決策として建設資材を採取する採石場の跡地を処分場として利用することを提案、ダンプトラック運送業者約2千人を対象にこの提案を行政に認めるよう求める署名活動を開始した。
「採石場は山や平地に存在し、岩石や砂岩などの土木建築用の資材を採取する場所で全国各地に多く存在します。採取し終わった跡地を建設残土の処分場として有効活用できるようにしてもらいたいというのが提案です。当社は採石場を利用できるよう行政に許可申請を行っていますが、現行の採石法を理由に実現していません。採石場の活用は、建設残土の適正処分の受け入れ容量を増やし、不適正処分を減らすだけではありません。採石跡地は、土砂や岩石が露出し、裸地状態となっているため、降雨、積雪、凍上融解、風あるいは地震などによって土壌浸食、崩壊、落石、飛砂などが発生しやすく、土砂災害に結びつく危険性がありますし、特にトンネル状の採石場の跡地は、風化が進み、直上の土地が落盤により陥没する事故が多発し、問題視されています。そこに建設残土を入れて固めれば、地盤が安定し、処分場確保と事故災害防止の一石二鳥の効果が生まれると考えています」
『ライフグループ』で菱沼会長は、「建設残土処理事業」を主力事業の一つに掲げ、栃木県の土砂などの埋立て等による土壌の汚染及び災害の発生の防止に関する条例で特定事業として許可を得て、建設工事間で流用が困難な建設残土をグループが所有する6ヵ所の処理場で受け入れもので、安全管理対策として15tブルドーザーで残土を押し転圧して固め、崩落防止に万全を期している。さらに、栃木県内で処理場開設のための用地を30ヵ所確保し、受け入れ体制をさらに拡大する計画だ。建設残土の捨て場がなく、着工することができずに困っている建設業者を救うだけでなく、自治体の要請を受けて公共工事の建設残土も受け入れ、インフラの構築を下支えしている。
 こうした事業展開の中で、建設残土の処分には多くの課題があることを肌で感じてきたことが、警鐘と提案に表出したものだ。
(ライター/斎藤紘)

株式会社 ライフ建設
TEL/0285-81-7916

Eメール/lifeconstruction@themis.ocn.ne.jp
ホームページ 
http://life-group-global.com/


周到精緻な基礎工事に光る職人の技
能登半島地震被災地の復興にも尽力

20年超の経験生かす
15の工務店から受注


「地盤と建物をつなぎ、災害に強く、未来に残る建物の土台をつくる重要な仕事」
 富山市の『島大工業株式会社』代表取締役の島田大輔さんは、主力事業の基礎工事に誇りと使命感を持って取り組んできた職人経営者だ。18歳のときに基礎工事会社で働き始めてから20年超の経験に裏打ちされた確かな仕事ぶりが評価され、現在、発注元の富山県内の工務店やハウスメーカーは15社にのぼる。2023年には基礎工事で使う鉄筋の加工販売会社を買い取り、自社で加工するだけでなく、同業他社にも供給するなど業容を拡大した。能登半島地震で多くの住宅が倒壊した北陸地方の住宅再建、復興にも社を挙げて取り組む決意だ。
 島田さんが工務店などから信頼されるのは、基礎工事の全ての工程を決して手を抜かず、周到な手順と精緻な作業で完遂する姿勢だ。
「基礎工事の基礎とは、建物の重さだけではなく、風や地震の揺れなど、外からの力をバランスよく地面に伝える役割がある建物の土台のことです。基礎がしっかりしていないと、災害などですぐに崩れて大きな事故につながってしまいます。数十年経っても安定して建物を支えられるような土台をつくる、それが当社の仕事です」
 基礎工事の工程は、建物の正確な位置を出す丁張りから掘削、砂利引き、防湿シート敷設、コンクリ―ト流し込み、基礎天端均し、鉄筋組み、基礎外周の型枠組み、床の生コン打設、 内部の型枠組み、アンカーボルト設置、生コン打設、養生、型枠外し、仕上げなど多岐にわたる。
「工事は、設計図通りに忠実に行わなければなりせん。作業は、まず建設範囲を分かりやすくするために基礎の外周に縄やロープを使用して印をつけることから始まります。次が堀削工事。地盤を掘り起こす作業で、重機を使用して基礎の底面の高さまで土を掘りだします。そこに石を全体に敷き詰め、転圧する機械で地面を固め、建物の沈下を防ぎます。次に防水シートで湿度の上昇を防ぎ、捨てコンクリートを流します。捨てコンクリートは、基礎の位置を正確に墨出しすることと、型枠を固定することを目的に施されるコンクリートのことで、重要な役割を持っています。次のステップが配筋。基礎の寿命や強度に影響を与える非常に重要な工程なので、丁寧に鉄筋を組んでいきます。その後、木製や鉄製の型枠を使用した型枠組立てを行いますが、コンクリートが漏れないよう慎重に行わなければなりません。次がコンクリート打設。型枠にそってコンクリートを流しますが、固まるまで一定の日数を置いておく必要があります。最後は型枠を外し、不備がないかを確認して工事は終了します。これが大まかな流れですが、作業中、構築したものが水平垂直になっているかを計測器で確認しながら進めます」
 このプロセスの中で、島田さんが最も気を遣うのが鉄筋を組む配筋だ。
「配筋は、押しつぶそうとする力に対しては強いものの引っ張る力や曲げる力に対しては弱いコンクリートの弱点を補うために、引っ張りに対して強い鉄筋を組み合わせて強度を確保するのが目的です。コンクリートを打設する前には、図面に記載されている仕様と実際に施工された工事が一致しているかどうかをチェックします。鉄筋の本数、配置、鉄筋のかぶり厚さ、鉄筋の波打ち、鉄筋定着の長さ、鉄筋の太さ、固定状況、アンカーボルトの位置などを子細に確認します」
 島田さんは、ここで使う鉄筋を従来は鉄筋加工販売会社から仕入れていたが、作業効率を上げるためにこの会社を買い取り、商社から仕入れた鉄筋を自社で加工している。
 基礎工事にはいくつか工法があるが、島田さんが最も得意としているのは、建物の主要な部分にコンクリートを流し込む「布基礎(ぬのきそ)」という。
「布基礎は、古くから採用されている工法で、建物の壁面に沿って連続して設けられた帯状の基礎のことをいいます。使用するコンクリートや鉄筋の数が少ないのが特徴。また、地面に隠れている根入れとよばれる基礎の深さが、住宅の底面全体に鉄筋コンクリートを流し込むベタ基礎に比べると深いので、強度も高いのです。現場に合わせて最適な工法で工事を行っています」
 島田さんは、戸建て住宅を中心に店舗や木造アパートなどを対象にした基礎工事のほかに、森林や農地を宅地にするための宅地造成工事や住宅の周りを整備する外構工事も行う。場合によっては、宅地用に造成した土地で基礎工事を行い、住宅が建った後、駐車場や塀を造る外構工事も行うこともあり、こうした対応能力の幅広さも工務店などから支持される理由だ。
「基礎工事は、コンクリートを打設したらやり直しができないので、自分が全力を尽くして良い仕事を収められたと思っていても大事なのは客観的に見た時にどうかです。私が目指すのは、誰が見ても良い仕上がりだといってもらえる仕事、同業者が見ても大工さんが見ても素人の方が見ても良い仕事だと評価していただける仕事を追求することを決して辞めず、妥協なき仕事を続けていきたいと思っています」
 島田さんは、高校卒業、同級生の父親が経営する基礎工事会社に入社、以後、基礎工事一筋に歩んできた。34歳のとき独立、個人事業を経て2019年に『島大工業株式会社』を設立した。当初のスタッフは4人だったが、現在は日本人6人、中国とインドネシアからの外国人実習生6人と12人まで増えた。4班編成で工務店など15社の工事依頼に応え、複数の現場を同時進行で動かしているほか、同業者からの鉄筋加工も請け負う。
「従業員のモチベーションや仕事のパフォーマンスを維持向上させるために、充実した福利厚生はむろん、従業員とのコミュニケーションも大事にし、食事会やBBQなどの社内コミュニケーションの場を積極的に設けています」
 2024年元日に発生した能登半島地震では、富山県内でも全壊、半壊、一部破損合わせ家屋被害は約4800棟にのぼったが、島田さんは、被災中心地の石川県も含め、県域を越えて復興に取り組む考えだ。
「私たちの仕事は、未来に残る建物の基礎をつくることです。災害で崩れてしまわないよう、一つひとつの作業を丁寧に行います。災害に強い建物をつくることで、これからも社会に貢献していきたいと思っています」
(ライター/斎藤紘)

島大工業 株式会社
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時代を先取りする経営手腕で成長を牽引
技術の継承体制と女性が輝く機会を創出

テーマは人、そして全ては未来へ
人が集まる企業の躍進


 愛媛県今治市の小規模土木会社の将来を担って建設業の激戦地東京に進出、オリンピック関連施設の完成度の高い施工技術で脚光を浴びた『中央建設株式会社』を母体に4社で構成するホールディングカンパニーを設立してグループ事業を展開する『綱ホールディングス株式会社』の代表取締役グループCEO渡部功治さんは、明確な経営理念と時代を先取りする進取の精神を持つ経営者だ。技術の継承、事業の承継を経て世代交代へと繋ぐ「未来をつなぐリレーワーク」、建設業界で女性が活躍する「建設ヴィーナス」の創設はその象徴であり、渡部さんの「仕事は自ら断るな、難しい仕事はなおさら断るな」というポリシーのもと、大胆な発想と創意工夫で何事も前向きに取り組む姿勢をモットーとし、かつ「説明できないこと(根拠のないこと)はしてはならない」という固い信念をもって日々の事業活動に邁進している。『綱ホールディングスグループ』では、具体的に三つの使命を掲げる。
 一つは「優れた建築物を未来へ遺す」こと。総合建設業と専門工事業がグループ化することで今まで見えなかった間接経費を透明化。余分なコストカットを実現し、適正な価格で品質に優れた建築物を顧客に提供する。二つ目が「大切な資産を未来へ繋ぐ土地活用」。ゼネコン機能とデベロッパー機能を併せ持つグループならではのプランを提案し、土地の特性、環境、用途を考慮して顧客の資産価値を最大限に引き出す。そして三つめが「未来を見据えた70歳定年制」の採用。長年の経験や熟練したスキルを持つ人材を積極的に受け入れ、年齢による給与カットのない70歳定年制を取り入れた長く安心して働ける環境の提供と同時に、経済成長の一翼を担う存在であり続けることだ。特にこの70歳定年制は、渡部さんが10年以上前からいちはやく提唱しており、2019年には日本経済新聞の取材も受けた。
「中央建設のキャッチフレーズ『テーマは人そしてすべては未来へ』が示すとおり、我々建設業はとにかく人が宝、人材の確保が最重要課題です。社員に寄り添った働き易い環境をつくり、人が集まる会社にすること、そこに経営の答えがあると考えています。そしてその『人』が仕事を進めるうえで大切にしているキーワードが『未来へつなぐリレーワーク』です。社内だけでなく、お客様をはじめとするすべてのステークホルダーの皆様に対しても同様に、相手のことを尊重し思いやりを持って良好な相互関係を構築し、正確かつスムーズにバトンを繋いでいく、グループ企業がこれまで築き上げた実績と培ったノウハウをもとに、給排水衛生・空調設備工事や電気設備工事など、専門工種も網羅した総合建設業としての成長、発展を目指し、さらには建設という枠にとらわれず、不動産開発事業を含めた社会の未来に貢献するために新たなフィールドを開拓し続けていきます。そして社会のため、未来の子供たちへとバトンをつないでいきたいと考えています」
 今年はいわゆる2024年問題が発動する年だが、10年以上も前からこういう時代が来ることを予見し、5年前には「働き方改革実行委員会」を社内に設置して職場改革を推進、昨年末には建設業界ではまだまだ珍しいシフトフレックス制も積極的に導入するなど、常に時代の先駆者として1人1人のライフスタイルに合わせた働き方を目指している。一方、「建設ヴィーナス」は、同社の管理本部に在籍する女性スタッフの別称で、その主な役割は、現場パトロールを実施して女性ならではの視点で現場をチェックし、男性スタッフの労働環境や体調管理も含めて全般的なフォローをすることだ。たとえば工程の遅れや見逃し、成果物の見映え(出来栄え)、現場の清掃・整理整頓の状況など、男性スタッフでは気付きにくい事案を第三者目線でチェックしたり、繁雑な書類作成をサポートすることで現場スタッフの作業を軽減させるなど、前述の2024年問題への対応も踏まえた重要な仕事だ。また、定例会に出席してお客様と現場スタッフとのコミュニケーションにも参加し、正確な情報共有の一端を担う。このように、多様な価値観によって異なる視点、経験やアイデアを絡めることで現場管理が一方向に傾倒することを防ぎ、俯瞰的なバランスをとることが狙いだ。
「私たちが現場に行ったときには、自分がこの建物を買うエンドユーザーになったつもりで仕上がりなど、入念にチェックをしています。また、私たちが現場に入ることによって、雰囲気が明るく柔らかい感じになり、現場スタッフのモチベーションアップにもつながれば、私たちもやりがいを感じます」
 もちろんこれは女性のキャリア支援にもなり、建設業界で女性が輝ける職場環境整備のモデルケースにも発展する可能性を秘めている。渡部さんは2010年、地方での事業継続に危機感を抱いて単身上京し、スーパーゼネコンを訪ね歩いて顔と名前を憶えてもらう努力を重ね、15坪の事務所に社員3人という規模の東京支店を開設。2016年には、オリンピック関連の世界初の施設「新豊洲Brilliaランニングスタジアム」を元請けで施工(日建連主催の第59回BCS賞を受賞)した実力が注目され、それを境に業績も飛躍的に伸び、2017年には158坪の近代的なオフィスに移転、東京本社に組織替えし、経営規模を拡大、2021年に持株会社『綱ホールディングス株式会社』を設立しホールディングス化を実現した。
 グループを構成するのは、総合建設業の『中央建設株式会社』、給排水衛生空調換気設備、防災設備の企画設計、施工を行う『株式会社櫻木管工』、電気設備工事や空調設備工事、換気扇工事などを行う『株式会社山大電気』のほか、不動産開発事業の『株式会社エネフ』を傘下に従える。「現在の日本は、高度経済成長時代から50年以上が経ち、当時の新築ラッシュの建物は老朽化が進み、特に首都圏を中心に建替えやリニューアルを含めた都市の再開発計画が進んでいる。『綱ホールディングスグループ』は、この新しい時代の流れを的確に捉え、社員全員がエネルギッシュで前向きに、より豊かで元気な社会の実現に寄与する会社であり続けたいと望んでいます」強い信念で人一倍の努力を重ね、卓越した経営手腕と独創的な経営感覚で斬新な経営体制を構築しながら着実にステップアップしてきた渡部さんの時代を切り開くチャレンジは、これからも続く。
(ライター/斎藤紘)

綱ホールディングスグループ
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新たな人生を切り開く退職自衛官を支援
軽貨物配送業や焼き肉店で活躍の場を提供

セカンドキャリア支援
農業機会の提供も構想


 社名からイメージされる軍事的な仕事とはまったく異なる、退職自衛官のセカンドキャリア支援という民間では異例の事業で注目を集めるのが2021年創業の『株式会社MILITARY WORKS』代表取締役社長の木村裕一さんだ。自身も元自衛官で、退職自衛官の受け皿として軽貨物配送業や焼肉店を開業したほか、セカンドキャリアについての悩みのコンサルティングやマネーセミナーをオンラインで実施、一目瞭然のビジネスモデルで自らセカンドキャリアを築いた気鋭の経営者だ。
 2023年3月31日現在の自衛官は陸海空合わせて定員247154人に対し現員は227843人。防衛省によると、定年退職者や任期修了の自衛隊新卒者合わせて毎年約8千8百人が退職する。それに中途退職者を加えると1万人を超える自衛官が新たな道に進む。
 自衛官の退職は大きく分けて、自己都合と任期満了の2パターン。自己都合による退職は将や将補といった高い階級の60歳、それ以下の階級の56歳以下の定年を待たずに退職するケース。「上下関係が厳しい」「訓練・トレーニングが辛い」「プライベートの時間が少ない」「生活規律が厳しい」「理想のキャリアを実現できない」「時間外労働が多い」「職業病のリスクが高い」などが主な理由といわれる。任期満了による退職は基本約4年間勤務する任期制自衛官が任期満了で退職するケースだ。
 木村さんは第1空挺団などで約20年間勤め、中途退職、自己都合の退職のケースだが、その理由が起業の動機にもなっている。
「正直仕事の楽しさを見い出せずにいました。ただ結婚して子どもも二人授かり、家族のためにお金が必要だという思いから、辞めるという選択肢は無くなっていましたが、40歳を超えた頃、私が新人だった時の周りの先輩達が定年を迎え、皆さん警備員などの仕事しかない現状を目の当たりにし、規律と責任感と使命感を兼ね備えた自衛官が選択肢の少ない中からしか仕事が選べない現状をなんとかしないといけないという想いから退職を決意し、起業しました」
 こうして始めた退職自衛官のセカンドキャリア支援だが、広範な職種や職域にわたる職務遂行と教育訓練によって培われた能力や体力、運転免許などを持つ自衛官特有の資質を新たな人生に生かしてほしいという思いが根底にある。ただし、支援するうえで木村さんが重視するのが本人のやる気だ。
「新たな人生を自分で調べ、自分で選び、自分の意志で行動する人が支援する条件です。退職しても自衛隊がなんとか転職先を探してくれるだろうという受け身の人は、自衛隊援護協会に行けばいいのです」
 自衛隊援護協会とは、主要の基地・駐屯地内にある自衛隊のハローワークともいえる組織で、無料職業紹介を実施している一般財団法人。
 木村さんはまた、セカンドキャリアについてのコンサルティングでもまず、競争の中で自立しなければならない資本主義社会の厳しさを指摘し、「倒産もなく、給料もしっかりもらえる自衛隊を辞めない方がいい」と助言する。それでもなお退職の考えに変わりがない自衛官の資質を見極め、自社事業で採用するか、他の職場を紹介する。他社を紹介する場合は自社事業で半年から1年、肩慣らししてもらってから次のステップに導く。
 木村さんがセカンドキャリアのコンサルティングで転職を支援した退職自衛官は50人を超える。転職先の希望職種で多いのはIT関係企業だという。木村さんの紹介で3人の退職自衛官を雇い入れたIT企業経営者がYou Tubeで木村さんのインタビューに答え、雇用した理由を説明している。
「当社はエンジニアを育てている会社ですが、自衛官はどんな職種にも合い、頑張って壁を乗り越えていくイメージがあります。勉強が必要になるときが必ずありますが、それを乗り越えていく力があると思っています。当社にはエンジニアを育成するノウハウがありますので、退職を考えるなら、若いうちにチャレンジしてほしいと思っています」
 退職自衛官の受け皿として始めた主軸事業の軽貨物配送業は、「100%元自衛官、100%電気自動車の新しい運送業のカタチ」がキャッチフレーズ。20台の軽貨物車を利用し、大手運送会社の下請けで通販商品などを宅配する。退職自衛官には最初は個人事業主になってもらい、業務委託という形でスタートし、将来的には社員登用の可能性もあるという。軽貨物車の半数はEV車で、自衛官時代、大規模自然災害の救援活動に従事した経験から、ガソリンスタンドより給電設備の復旧が早いとの認識による。
 自衛隊勤務で同じことを繰り返す中で転職を考え、『MILITARY WORKS』に入社した39歳の元自衛官は同じくYou Tubeで木村さんのインタビューに答え、セカンドキャリアを選択した理由を説明している。
「自衛官は55歳で定年になりますが、自衛隊しか経験ない状態で社会に出るのはこわいと感じ、39歳ならまだできるだろうと思ったのです。人生は一回きり。自衛隊で人生を終えるのではなく、新たにチャレンジしたいなという気持ちがありました」
 焼肉店は2023年4月に東京・浅草でオープンした「和牛焼肉 浅草時流」。上質な松阪牛を提供し、店長、副店長とも元自衛官だ。
 マネーセミナーは月一回のペースで、現役のメガバンクや大手証券会社の社員を講師にオンラインで開催、生活に必要な資金、家計費、年金、投資などの資産運用など退職自衛官が社会で生きていく上で必要なお金に関する基本知識を教える。
 木村さんは今後、退職自衛官が家族と暮らす身近な地域で仕事に就けるよう、軽貨物配送業の拠点を全国に広げていく構想を描く。もう一つ、今進めているのが、休職など自衛官の再起の機会として農業の機会を提供する試み。自衛隊や千葉県の農家の協力を得て、自衛官に農地で働く機会を提供し、農業効果を確認したうえで、行く行くは後継者に悩む農家と退職自衛官のマッチング事業に発展させていくことも視野に入れる。
 こうした事業活動とは別に、世界での活躍を目指す元自衛官の総合格闘家te-a(ティーエ)選手や同郷のパラトライアスロン選手で千葉稲毛インター所属し、「2028ロサンゼルスパラリンピック」出場を目指す安藤匠海選手とスポンサー契約を結んで支援している。
(ライター/斎藤紘)

株式会社 MILITARY WORKS
TEL/03-6685-0365 
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気管虚脱の手術で世界トップクラス
動物の呼吸器・循環器疾患に対応

動物の苦しいをなくす
術後の生活も考えた治療


 西日本で唯一、呼吸器・循環器センターとして動物診療に取り組む大分県の『AMC末松どうぶつ病院 呼吸器・循環器センター』。院長の末松正弘さんは、通常の一次診療の傍ら、呼吸器疾患の治療に重点的に取り組み、様々な疾患の外科手術や術式の研究開発を行う呼吸器外科分野のエキスパートだ。動物呼吸器外科の分野で国内最高の技術力を誇り、気管虚脱や短頭種気道症候群や喉頭麻痺などの呼吸器疾患に関する外科手術、カテーテルを用いたインターベンション治療や難治性の咳に関する診断や治療などを得意としている。気管虚脱の手術では世界トップクラスの治療成績報告しており、2019年にはアジアで初めてアメリカの学術誌「VeterinarySurgery」に気管虚脱手術や治療成績に関する論文が掲載された。その他、学会活動や講演活動など情報発信にも力を入れる。また、京都府の「京都動物医療センター」や東京都の「TRVA動物医療センター」に呼吸器科の立ち上げも行った。月曜から土曜は『AMC末松どうぶつ病院呼吸器・循環器センター』で通常の診療や手術を行っているが、土日は全国を飛び回って依頼を受けて様々な呼吸器疾患の相談や外科手術にも積極的に取り組んでいる。
 呼吸器疾患の中で手術が必要になるケースは、「気管虚脱」「喉頭麻痺」「短頭種気道症候群」が多い。「気管虚脱」は、気管虚脱首や胸の中の気管が潰れることでヒーヒーという高調性呼吸音やガーガーというガチョウの鳴き声のような呼吸音、呼吸困難などを引き起こす疾患だ。海外の報告でも治療成績が悪く、術後喉頭麻痺や再虚脱などの合併症の発現や気管の組織の壊死などの問題を抱えていた。気管の周囲に器具を設置し、気管を外側から引き上げることで内腔を拡げる気管外プロテーゼを自作し、血管と血管の間に気管外プロテーゼを設置する手術を行うことで、気管に分節する血管をほぼすべて温存。出血や神経の障害を抑えることが可能となり、成功率も格段に向上した。
 また、全身状態が悪く長時間の麻酔が難しい場合や気管内腫瘍や気管損傷などの外科治療が困難場合には、ステント治療も行っている。「喉頭麻痺」は、空気と声を管理する喉頭が機能低下や筋肉神経系の障害で機能不全に陥る疾患で、呼吸不全につながり最悪の場合は死に至ることもある。従来は、喉から気管に直接穴を開ける処置が一般的だったが、この方法ではシャンプーが困難になったり、毎日吸入器を使う必要があるなど術後の管理が大変という課題があった。そこで、首の横側から喉頭にアプローチして処置を行う方法を採用した。傷も小さくシャンプーも食事も普通にできるため、術後もほぼ以前と変わらない生活を送ることができるという。
「短頭種気道症候群」は、頭部の構造上の問題から上部気道閉塞を引き起こし、いびきのような呼吸音や呼吸困難を引き起こす疾患。複数の病態が複雑に絡み合っていることが多いため、必要に応じていくつかの術式を組み合わせて手術を行う。
 呼吸器疾患の手術で重要なのは、できるだけ組織を傷つけず傷を最小限に抑えること、時間を最小限に抑えることだ。同じ病気でも年齢や身体の大きさ、症状の進行度合いなどにより患部の状態はそれぞれ異なる。その違いを見極めてベストなやり方を選ぶためには、豊富な選択肢と高い技術力、柔軟な対応力が必要だ。現在は、獣医師6名を含む計14名のスタッフで診療に対応している。
 全国各地から訪れた重い呼吸器疾患を患う患者さんの治療を行う一方で、内科診療や外科診療、ワクチンなどの予防といった地域のホームドクターとしての役割も担う。院内には最新の設備が整っており、麻酔処置が3ヵ所同時に進行できるのも特長だ。超音波機器、内視鏡設備、透視設備、CT設備などの機器がすべて揃っており、難易度の高い手術や緊急手術にも対応できる。
 呼吸器疾患は、明らかに辛そうにするペットの様子を見て「治らないのかも」と思い込んでしまう方も多い。しかし、手術で原因を取り除くと命の危機に瀕していたペットが元気に姿を見せてくれるようになる。ただ命が助かれば良いという考えではなく、術後の生活も考えた上でできる限り生活の質を維持できるような治療を心がけている。ペットの「苦しい」気持ちと家族の不安な想いにしっかりと寄り添い、元の生活に戻れるよう治療に取り組んでいる。
(ライター/彩未)

AMC末松どうぶつ病院呼吸器・循環器センター
TEL/0973-23-8090
ホームページ 
https://suematsuvet.com/


睡眠の質を上げる部屋と心
新感覚のアプローチに注目

知るほどに沼る
良い睡眠の効能とメリット


 ここ数年、注目されている睡眠の質。良い睡眠は私たちの健康や幸福に直結し、日常生活におけるパフォーマンスやエネルギーにも影響を与える。  
 神奈川県横浜市にある睡眠質改善の専門店『ヒーリングスタジオ 心sin』は、心身の調和と健康を大切にし、豊かな人生の実現に導くヒーリングサロン。代表で睡眠プロデューサーの吉川美かえさんは、寝室診断士と二級建築士の資格を有し、睡眠の質を向上させる寝室づくりを研究。自律神経の癒し、アロマセラピーに出会って同店をオープンさせた。吉川さんが行うのは、睡眠の質を劇的に向上させる可能性を秘めている「寝室診断」と睡眠室改善へ導く「アロマトリートメント」、「ドライヘッドスパ」、「瞑想シータ」。
「睡眠診断」では陰陽五行論を元に、寝室のエネルギーフローに影響を与える寝室の配置、カラースキーム、照明、家具の配置、さらには寝具や装飾に至るまで、すべての要素を診断。そこから「寝室リノベーション」として、一人ひとりの五行(木、火、土、金、水)に合った寝室環境を創り出していく。素人が本当に快適な寝室環境を整えることは、難しい課題だが、プロ目線で個別のニーズと好みに合わせた、理想的な睡眠環境を作り出すための手助けをしてくれる。具体的には、寝室のレイアウト、照明、色彩、寝具と枕、温度、騒音レベルなど。バランスの取れた寝室環境は、ストレスの軽減、リラクゼーションの促進、夜間の安眠をサポートし、充実した生活の糧となる睡眠の質を劇的に変化させてくれる。
 リラックス、癒しに効果的な手段として知られている「アロマトリートメント」は、睡眠質の改善にも深く関連。吉川さんが採用しているのが「レインドロップ」という技法だ。最高品質のエッセンシャルオイルを現役のまま足と背中に雨粒のように落として行う背術だ。オイルと香りの力で人間のスイッチを起動させる神経にアプローチし、心身のエネルギーを整えていくのが特徴。背骨の中枢に蓄積したネガティブな概念を解放し、呼吸やストエス状態の筋肉が緩和していくことで自律神経が整い、睡眠室改善に繋がるという。 
 頭皮の健康と心地よい睡眠は密接な関係があるため、「ドライヘッドスパ」も睡眠質の向上に深く関連。頭皮のマッサージとアロマオイルの効果によるストレス軽減、筋肉の緊張緩和、頭部の血行促進、リラックス、全身の調和などにより、安眠を促進し、深い眠りへと導く。
「瞑想シータ」は、心と体のリラックスを促進し、深い内面の平穏をもたらすマッサージメソッド。緩やかな力加減とリズムで筋肉マッサージを行いながら、脳を「シータ波状態」に作り上げていく。脳波の特定の周波数での活動を促進し、科学的な研究によってその効果が証明されている革命的な方法だ。リラックスやストレス軽減だけではなく、睡眠中の脳波パターンが改善され、レム睡眠とノンレム睡眠のバランスが整う。これにより、より質の高い睡眠が実現し、目覚めたときのリフレッシュ感が向上するという。
 吉川さんが睡眠質の世界に出会ったのは、シングルマザーで建築の仕事をしていた時。内面から美しさがあふれる元気な70代の女性と出会い、その秘訣を聞くと「よく寝てよく食べること」だといわれたという。当時2〜3時間しか寝ていなかった吉川さんは、健康にもダイエットにも美肌にも睡眠が関わっていることを知る。すべて「寝る」ことがあっての体づくりなのだと気づいたことがターニングポイントとなった。
 当時の本職である建築も、自然素材を使用しようと思い独立したのもそのころ。マイナスイオンと遠赤外線が出る塗り壁、化石サンゴに出会った。空気が綺麗になることで呼吸が深くなり、呼吸が深くなると睡眠が深く質も高くなる。人生の3分の1を占める寝てる間にこれを利用することで睡眠の質があがるのではないかと考えたという。このような経緯で建築士と睡眠セラピストの二足の草鞋『ヒーリングスタジオ 心sin』がオープンした。
 今、吉川さんが力を入れているのが、食育ならぬ「睡眠育」。現代の大人は、仕事などで忙しく、十分な睡眠時間を確保するのは難しい、という場合が多い。世界の中でも日本は常に睡眠時間短いワースト3に入っているという。子どもに向けて睡眠の効果、良さを伝えて睡眠文化をよくすれば、将来こんなにあくせく働くてもいい幸せな日本になるのではないかという思いで紙芝居などのボランティアを行っている。また、企業向けにも「睡眠質向上について」の研修を始動。
「自身が睡眠の質によって人生が変わったから、多くの人にそれを伝え幸せになってもらいたい」
 そんな想いで進み続ける吉川さんの活動に目が離せない。
(ライター/播磨杏)

ヒーリングスタジオ 心sin
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