新時代のヒットの予感!! 2024

ミスター・パートナー
〒160-0022
東京都新宿区新宿
2-15-2岩本和裁ビル5F
TEL.03-3352-8107
FAX.03-3352-8605
令和の
エキスパート

社を挙げて取り組む災害リスク対策
マニュアル化し地域の安全確保に寄与

災害予測に社員を動員
老朽化インフラを危惧


「木も、森も見る」
 傘下に4事業会社を擁し、栃木県真岡市を拠点に土木・建築工事、造成工事、建設残土処理事業、太陽光・風力・水力発電事業など約20の事業を展開する『ライフグループ』の会長菱沼博之さんは、社会の全体状況を俯瞰しながら、地域の課題にも心を配り、企業の社会的責任の域を超え、様々な経営資源を活用して社会に貢献する活動に力を注いできた経営者だ。その活動の象徴が災害リスク対策。他に例を見ないほどの徹底ぶりだ。
「災害はどこにも潜んでいる」
 菱沼さんが災害リスク対策を重視する理由だが、その背景には国の国土交通白書や災害研究所などのリポートなどに目を通し、そこから得られた国土の特徴と自然災害に対する認識がある。
「日本は、国土の7割が山地であるため、河川は急勾配で流れも速く、氾濫などが起きやすい地形です。また活発な地殻変動によって複雑、不安定な地形、地質が形成され、温帯多雨という気象条件から土砂災害も起こりやすくなっています。洪水や土砂災害、地震、津波といった災害リスクが高い地域は国土の21・5%にのぼり、しかも全人口の67・7%がそこに集中して居住しています。また、地球温暖化によって水災害が激甚化、頻発化し、時間強雨の発生頻度は、直近30〜40年間で約1・4倍に拡大しているとも指摘されています。大地震も予測されています。『天災は忘れた頃にやってくる』は科学者で随筆家の寺田寅彦の言葉といわれていますが、近年は忘れる暇もないくらいに大規模な災害が起きています。災害リスク対策は企業として積極的に取り組むべき課題というのが当社のスタンスです」
 その具体的な取り組みはマニュアル化された一大プロジェクトのようだ。
「災害リスク対策は、災害の発生が予測された場合に各セクションがすべき対策や、社員の連絡網など文書化したマニュアルに沿って行います。栃木県南東部から茨城県北東部までのエリアで災害の発生が予測される箇所を事前の調査でピックアップし、降った雨の流れる方向と水害のリスク、山間地を走る道路ののり面の崩落や落石などのリスクの度合いを10段階で示したチェックリストを作っています。線状降水帯などによって時間雨量が50ミリを超える豪雨が予測されるときは全員が待機し、降雨が激しくなると、社員が手分けして社の車両に分乗し、リストに載せた危険個所を見回り、崩落の恐れがあるのり面にシートをかぶせるなどの応急対策を施します。がけの崩落が起きないよう鉱滓とセメントを利用する独自の工法でのり面を強化する作業も行っています。これが当社の災害リスク対策の基本形です」
 菱沼さんが構築した災害リスク対策はこれに止まらない。
「豪雨によって道路が冠水し、車が動けなくなって運転者が亡くなる不幸な災害も後を絶ちまません。また当社の社員が経験したことですが、アスファルト道路が突然陥没し、車が穴に落ち込んでしまったような事故もあります。そのような事態に備えるため、豪雨が予測される天候になった時は、当社所有の重機7台を待機させ、危機に陥った車をワイヤーで救出できる段取りも整えています。また当社が造成したゴルフ場や造った太陽光発電所なども担当者を決めて災害発生のおそれがないか監視します。当社は採石業も行っていますが、週に1回写真を撮って、採石する山に亀裂などがないかをチェックし、災害に備えています。さらに静岡県熱海市で多くの死者を出して問題になった建設残土についても、捨て場なく困っている自治体や建設業者の建設残土を当社が所有する40ヘクタールの建設残土処理場に受け入れているのも広い意味の災害対策だと思っています」
 このほか、雪が降って5㎝以上積もったときは、地域のスクールゾーンや道路の交差点の除雪を自発的に行い、自然災害対策とは次元が異なるが、火災発生時に消防車に水中ポンプ車で水を供給するなど地域の安全安心な環境に寄与する活動も行っている。
 菱沼さんは、自然災害リスクと同じように、高度成長期以降に整備された道路橋、トンネル、河川、下水道、港湾などのインフラの老朽化も危惧する。
「我が国のインフラの老朽化で最も懸念されるのが道路橋です。国土交通白書によりますと、道路橋は全国約72万カ所あり、その66%を市区町村、26%を都道府県と政令市が管理していますが、建設後50年を経過する道路橋の割合は2019年3月時点では27%でしたが、2029年3月には52%へと急増することが予想されています。補修強化で寿命化を図ったり、架け替えたりすることが急務ですが、すでに集中豪雨などで河川が増水、激流化し、老朽化した橋が崩壊し、地域住民が孤立するケースが相次いで起きています。国は河川の氾濫による洪水の対策に力を入れ、護岸工事や堤防工事に膨大な予算を投入してきましたが、前例主義にとらわれず、河川の底に溜まった土砂を浚渫し、河川の容積を大きくするなど工費を節減できる方法も考えていくべきだと思っています」
『ライフグループ』は、『ライフ建設』『ライフ興産』『ライフ開発』『ニシオカリース』の4社で構成。中核を担う『ライフ建設』は、専任技術者として1級土木管理施工技士の国家資格保有者など技術スタッフが約70人在籍する。また、グループ全体で重機138台、車両55台、重機を運ぶトレーラーなど大型運搬車9台、杭打機、破砕機、草刈機、水中ポンプ、発電機など保有している。
 グループで行う事業は、土木・建築工事、土木建築に関する測量及び設計、造成工事、解体工事、建設残土処理事業、太陽光・風力・水力発電トータルプランナー事業、産業廃棄物の運搬処理事業、土石採取、山林立木の伐採、建設資材の運搬、木材チップの製造販売、重機・車両リース、不動産の売買仲介、不動産の管理、自動車修理など多岐にわたる。
「企業の社会的責任という言葉があり、そこで求められる説明責任や経営の透明性、倫理的な行動、ステークホルダーの尊重、法の支配の尊重、人権の尊重などは確かに大事ですが、企業が撚って立つ地域の課題に目を向け、経営資源を生かしてその解決に寄与することも大事な役割です。自然災害が頻発し、不安感が増している時代、人命や生活、経済基盤を守る上で重要性が増していく災害リスク対策に今後もしっかり取り組んでいきたいと思っています」
(ライター/斎藤紘)

株式会社 ライフ建設
TEL/0285-81-7916 
Eメール/lifeconstruction@themis.ocn.ne.jp
ホームページ 
http://life-group-global.com/


すぐに見えなくなるからこそ
重要な捨てコンクリート施工

丁寧な捨てコンクリート施工が
作業効率や建築の質を高める


 神奈川県相模原で長年にわたって基礎工事を手がけている『有限会社信和土建』は、細部にまでこだわった正確で妥協のない施工に定評がある。年間を通して工事依頼が絶えない実力と実績を兼ね備えた建設会社だ。
 基礎工事とは、建物の形状に合わせて穴を掘り、そこに砂利を敷き詰めて下地を作り、その上に鉄筋を組んでコンクリートを流して形成して建物の土台を作る工程。工事が終われば見えなくなってしまうが、建物の重さや地震の揺れを地盤に伝え建物の一部分だけ沈んで傾いてしまう不同沈下を防いでくれる地盤と建物をつなぐ重要な役割を果たしている。この基礎工事がしっかりしていなければ、大きな事故につながることもあるといい、まさに建物の基礎を担う極めて重要な工事だ。
 代表取締役の宍戸信照さんは、第三者住宅検査機関のホームリサーチ社が卓越した技術を持つ職人を顕彰する制度で、最高位の三ツ星の転圧マイスターと配筋マイスターの称号を与えられ、全国工務店グランプリで「匠の盾」も受賞。建物の安定性、耐久性、耐震性に関わる土台造りといった基礎工事の理想形を日々追求し、工程一つひとつで発揮される正確さと完成度を高めている。
 軽視されがちだが、基礎工事において重要な役割を果たすというのが捨てコンクリート施工だ。捨てコンクリートとは、コンクリートを流し込む範囲を示す型枠の土台のこと。
「基礎工事においてすぐに見えなくなってしまうので、捨てたも同然のコンクリート「捨てコン」と呼ばれることも多いです。昨今の物価上昇の流れを受けた材料費の高騰や人件費の値上げにより、簡略な施工になっていることもあるようです。そういった中でも捨てコンクリート施工を含む基礎工事の手間を省くことには反対です。特に基礎工事の場合、目に見えなくなる部分なので、手間を省こうと思えば、いくらでもやり方はあります。例えば、コンクリートを流し込む打設という作業の際、流し込んだコンクリートをコテでならしますが。この作業を3回から1回に減らしてしまう。そうして時間を節約できれば、その分、他の作業に手を回せます。コストのことだけ考えるのならば、作業の分、人件費で赤字になりかねない。コテでならす作業を減らしたところで、上にちゃんと建物ができれば、何も問題はないわけですから、これは手抜き工事ではない、という理屈も成り立つのかもしれません。でも私は、そういう考えは少し違うと思っています。飲食店で考えてみると、同じ食材を使って同じレシピで作った料理は、みんな同じ味になるでしょうか。盛り付けや隠し味、目に見えないところにきちんと手間をかけてある料理は、やはりひと味違うのではないでしょうか。私は職人なので、ただ漠然と作るのではなく、ましてや同じ料金なら楽して作った方が良いなどとは決して考えたりせず、取り組んだ現場はすべて一生残る作品として仕上げたいものだと思っています。ですから手間を惜しむことはしません。したくありません。特に捨てコンの場合、ある部分は雑に作られていて、他の部分は綺麗だ、というのは、やはり良い仕事ではないと思います」
 同社が基礎工事、捨てコンクリート施工の手を抜かいないのには、こだわり抜いた基礎工事が最終的に作業効率や建築の質を高めるといった理由もある。
「捨てコンはまず、基礎の位置を示す墨出しの下地として役立ちます。1階から2階へと垂直方向に建物を作ろうという場合、墨出しした目印が不可欠です。捨てコンの上に墨出しをしておくと簡単には消えないので、正確な位置を示すことができます。また、作業箇所を平滑化することによって、効率的になるメリットもあります。捨てコンの表面を丹念にならして水平な下地が作られていれば、型枠や鉄筋を正確に設置することが可能になります。地味で、本当に必要なことを分かっていただくのが難しい工程なのですが、捨てコンを粗末に考えてはいけません」
 長年の経験に裏打ちされた知識と技術力で基礎工事の細部に至るまで丁寧に仕上げていくのが同社の強み。この質の高さが多くの人から信頼を獲得する基礎工事へと繋がっている。
(ライター/長谷川望)

有限会社 信和土建
TEL/042-763-4443


子どもの豊かな心を育む年中行事
積極的保育で重ねる不断の努力と工夫

成長促す合同あそび
日常のあそびも工夫


「子どもたちがどのような内容を体験すれば、心が豊かになるのかを意識して取り組む」
 0歳児から就学前の5歳児まで105人の子どもを預かる幼保連携型認定こども園『大東わかば保育園』園長の山本良一さんが毎日の保育、年中行事で大切にしてきたスタンスだ。1976年の開園から47年間、「現実的な諸問題にとらわれずに、子どもの力を信じて伸ばしていくことを第一に考え、安心、信頼、感動を重視して保育に取り組む」独自の積極的保育と「子どもにとっては、いまの時間がすべて」「大切なことはみんな保育園で学ぶ」という考えの下で進めてきた保育は、エッセンシャルワークと位置付けられる保育園のあるべき姿の一つのモデルになるものだ。
「乳幼児期における教育及び保育は、子どもの健全な心身の発達を図りつつ生涯にわたる人間形成の基礎を培う重要ものであり,家庭や地域での生活を含めた園児の生活全体が豊かなものとなるように努めなければならない」(内閣府の幼保型連携認定こども園教育要領)「保育所の生活における子どもの発達過程を見直し、生活の連続性、季節の変化などを考慮し、子どもの実態に即した具体的な狙い及び内容を設定すること」(厚生労働省の保育所保育指針)。
 子どもにとって保育がいかに重要かを行政機関が示したものだが、これを保育の第一線で実践するには不断の努力と工夫が必要であることは、山本さんの言葉から伝わる。
「子どもと真正面に向き合い、一人ひとりの子どもをよく見つめて、その時々にできるだけのことをしようという姿勢で臨むならば、一歩一歩と良い方向に向かうのではないか」
 不断の努力と工夫が凝縮されているのが、『大東わかば保育園』で重要な位置を占め、「園児や先生との関係を深めるとともに、いろいろな能力を飛躍的に高め、感動を受けてこころを豊かにする機会」と山本さんがいう年中行事だ。
 ▽5月/子ども動物園、玉ねぎ取り(4〜5歳児)▽6月/プラネタリウム見学(5歳児)、ジャガイモ掘り ▽7月/星祭り(七夕)、夏まつり、お泊まり保育(5歳児) ▽9月/子ども運動会予行練習 ▽10月/うんどう会、おもしろ運動会、さつまいも掘り、親子遠足(全園児)、ハロウィーン ▽11月/焼き芋大会 海遊館見学(5歳児) ▽12月/作品展、クリスマス会、お餅つき ▽1月/獅子舞 ▽2月/節分、生活発表会、お別れ遠足・動物園(5歳児)、レストランごっこ ▽3月/お別れ遠足・飯盛山登山(5歳児)…。
 この中で、夏まつりは大事な人との交流の機会になっている。
「夏まつりは開園2年目から始まり、第一回から園と父母の会との共催というかたちで7月の第一土曜日か第二土曜日の夕方から8時までの時間帯で行ってきました。園の子どもたちが歌ったり踊ったりするもので、地域の人も自由に参加できます。当日は、園庭の中央に紅白の幕とちょうちんをつるした小さなやぐらを設け、模擬店も出ます。子どもたちは、約2週間前からアンパンマン音頭などの踊りの練習をします。そして保護者も炭坑節や東京音頭店河内音頭などの踊りを先生たちから教わります。模擬店では、くじ引き、フランクフルト、ミックスジュース、コーヒー、ヨーヨー、マフィンなどの手作りのお菓子を販売し、大盛況です。子どもも大人もほとんどが浴衣での参加であり、卒園児やその保護者、地域の人も多数参加され、子どもたちと大人が交流する地域にとってはなくてはならない夏の催しになっています」
 こうした年中行事とは別に年間を通して取り組み、子どもの成長を促す様々な工夫で組み立てられているのが「合同あそび」だ。うんどう会では複数クラスの子どもたちが園庭で繰り広げる野外劇として、また生活発表会では4〜5歳児クラスの創作劇として年齢を超えて子どものアイデアを取り入れながら、日常のあそびの延長で年間を通して繰り広げられるユニークな取り組みだ。
「3月中旬ころからストーリーをどのようにしようかという話し合いが始まります。何冊もの絵本や童話を参考に先生たちがテーマとストーリーのあらすじを決め、子どもたちや先生の動き、用具の出し入れのタイミングや配置などが綿密に検討され、台本を作り、それに沿って、何回も練習を繰り返します。9月初旬頃には子どもたちはストーリーを大体理解し流れに沿って動けるようになります。ストーリーの理解が進むにつれ、年長クラスの子どもたちからはどんどんアイデアが出されるようになり、ストーリーが膨らんだり、変化したりしていきます。『合同あそび』は、準備するプロセスそのものが子どもたちを大きく成長させますし、言葉やストーリーを理解する力も伸び、年齢の壁を越えて絆も強まります」
 もう一つ。5歳児の子どもたちが月に1回のペースで行うクッキングもユニークな取り組みだ。
「子どもたちは、家から包丁やまな板、エプロン、三角巾を持参し、4つのグループに分かれます。それぞれのグループには先生が一人入り、子どもたちと調理を進めます。包丁を使うのは初めての子がほとんどですが、1年間を通して約15種類のメニューを作る中で、子どもたちはたくさんのことを学びます」
『大東わかば保育園』の一日のスケジュールは0歳児、1〜2歳児、 3歳児、4〜5歳児ごとに設定されている。9時/外あそび。9時25分/片付け・季節によって体操・乾布摩擦など。11時30分/昼食・歯磨き・外あそび、12時45分/昼寝、14時40分/起床、15時/おやつ・降園準備、16時/外あそび・順次降園、16時30分/室内あそび・延長保育というのが基本だ。
 この中で、山本さんが重視するのが、外あそびで採用した「自由遊び」だ。木製遊具、砂場、うんてい、アルプスが配置された約350㎡の園庭で、年齢ごとにクラス分けした保育とは別に、午前8時半~9時半、午後4時前~4時半の2回、1歳児から5歳児までが一緒に遊び、昼食後も1、2歳児、3~5歳児の順に園庭で遊び回る。
「年齢の壁を越えて自由に入り乱れて遊ぶと、自然に友達との遊び方を学んだり、危険を察知して避ける力を身に付けたりして、自分を伸ばすことに意欲的な子どもが育っていくのがわかります。何気ない遊びが学びに進化していくのです」
 積極的保育の理念の下で、子どもの成長のために注ぐ山本さんの不断の努力はこれからも続く。
(ライター/斎藤紘)

社会福祉法人 弘法会 認定こども園 大東わかば保育園
TEL/072-878-4121


寺院を取り巻く厳しい環境を背景に
慣行因習を越えて檀家制度などを改革

会員制で檀家信徒募集
お布施などの金額明示


 属する宗教の戒律を破る破戒僧ならぬ、改革僧として注目を集める僧侶がいる。平安時代の創建から950年超の歴史を刻む長野県佐久市の『曹洞宗宝寿山正安寺』住職の塚田雅俊さん。少子高齢化、人口減少、核家族化、地方の過疎化、葬送意識の変化、信仰離れなどを背景に寺院の減少が加速度的に進んでいく状況に危機感を抱き、寺院の古くからの慣行や因習を打ち破り、持続可能な寺院経営のために様々な改革を断行した僧侶だ。
「人口減少などで、今後20年で半数近くの寺院が消失し、 檀家制度重視の地域密着型運営がますます厳しくなるであろう」
 塚田さんの危機感を表す言葉だ。文化庁宗務課の宗教統計調査によると、日本の寺院数は約7万7千、そのうち約2万が住職のいない無居住寺院といわれる。深刻化する人口減少で消滅可能性都市と言われる市区町村との関連で、寺院の3分の1以上が2040年までに消滅する可能性があると試算する宗教学者もいる。塚田さんが改革に着手した大きな動機になったのが寺院をめぐるこうした厳しい状況だ。
「私は20年以上前から、少子高齢化を含めた社会状況の変遷に伴い、各家庭のあり様と同時に神社仏閣をはじめとする宗教施設の維持管理が今後益々厳しくなり、寺院の運営に真摯に向き合う住職であるほど前例や因習にとらわれず、少しでも早い段階から目指すべき目標を掲げ、邁進できる体制を構築すべきであると考えてきました。特に若い世代にもわかり易く、興味を持たれ、様々な方面からでも正安寺にアクセスできるような改革を進めてきました」
 核心となる改革は、檀家制度に風穴をあけたことだ。檀家とは地域の特定のお寺に所属し、葬祭や供養などを専属で営んでもらう代わりにそのお寺を経済的に支援する家のことを指す。檀家制度は江戸時代に始まり、長く続いてきたが、人口減少や都会への人口流出による過疎化に歯止めがかからず、制度を支える基盤が揺らいでいるという。塚田さんは、この「地域の特定のお寺」の「地域」を「全国」に広げ、檀家を全国から募集し始めたのが改革の第一歩だ。
「日本人の精神構造には、長かった江戸時代の感覚がずっと残っています。現代人も檀家であるお寺を変更することが悪いことのように思っていますが、よく考えるとおかしな話です。そろそろ各寺が宗教法人として個性を出し、互いに切磋琢磨する動きが必要だと思い、檀家制度の改革に着手しました。その背景になったのが檀家制度の基盤の揺らぎです。田舎の実家を継いだ長子も独身、独居の生活者が増え 、将来に対する不安のご相談が急激に増えています。また弟妹が田舎から都会に出て家庭を築いて、田舎とも疎遠になり、寺院との縁もなく、どうしたらよいのかわからないというケースは少なくありません。こうした状況を考え、全国から檀家を募った結果、東京など関東周辺に居住される方々を中心に県外居住のお檀家様が全体の2〜3割を占めるまで増えました。今後益々この傾向が強まっていくと思っています」
 第二の改革は、檀家の全国募集を支え、『正安寺』へのアクセスを容易にするための会員制の導入とシステムの構築だ。ホームページに「会員様ログインページ」を設け、檀家か信徒になれば、様々な特典を享受できるようにした。
「会員制度は人生の最期を意識して、よりよい日々を過ごす終活をお手伝いする一環と考えています。檀家になると、毎年の年会費を納めていただきますが、正安寺便りなど各種行事の案内が届きます。境内墓地のご契約、お墓の建立ができますし、永代供養のお祀りができます。ご家族の中で逝去された方がおられれば、必ず正安寺にご連絡いただき、葬送の儀式を勤めることとなります。個人として信仰される信徒になると、菩提寺として正安寺へのお参りや山主ご住職への相談がご自由に行えます。毎年の年会費は不要です。信徒として登録した後に檀家の契約へ変更することも可能です。諸事情によって独身世帯にして頼るべきところもない方には、信徒として会員登録されることをお勧めしています」
 第三の改革は、会員登録で享受できる特典として、葬儀や法事、お布施などの費用の透明化などを図ったことだ。
「寺院の運営は檀家や信徒の皆さんからのお布施と寄付で成り立っていますが、お布施の相場がまったくわからないので不安だ、お寺に葬儀をお願いすると高くなってしまいそうといった声が絶えません。そこでお布施の金額を明示したほか、生前にご自身で戒名を手配できるようにしてその金額も明示しました。葬儀式の費用を事前に見積りできるログイン画面も設けました」
 このほかにも、斎場を持っていない葬祭会社と組んで、一般的な葬儀に比べて6割の価格でお葬式ができるシステムも作るなど、寺院を利用する人の立場に立って考える姿勢は鮮明だ。
「当寺は他の寺から見ると変わったことをやってるなと見えるかもしれませんが、これまでの寺院の経営感覚が20年ぐらい遅く、あえて引っ張る例が必要と改革を進めてきました」
『正安寺』は延久4(1072)年、長野県佐久市と群馬県下仁田町の境に位置する荒船山麓の館ヶ沢に端を発し、正安元年(1299)に現在の佐久市苦水に移り開創。初めは天台宗だったが、文亀元(1501)年、甲州の総泉院より海秀玄岱禅師が来訪し、古城主・内山美作守の助力を得て旧跡を取り立て『曹洞宗正安寺』として再開創した。曹洞宗は中国大陸あるいは朝鮮半島などを経由して日本に伝来した仏教。現在は寺内を美術館として狩野永徳、雪舟、尾形光琳、伊藤若沖、円山応挙、葛飾北斎、橋本雅邦などの名画も所蔵し、参詣時に見ることができる。 
 塚田さんは、『曹洞宗正安寺』になってから37代目の住職だ。「葬儀は厳かなところでやりたいのが心情」と自分の給料もつぎ込んで、参道に続く道路を整備したり、地元から切り出される佐久石で石垣を改修したり、樹齢400年の杉の手を入れたりした。
「私は、父である先代の師匠に恵まれました。先代は善悪とはまた違った面白い角度を持って物事を考えていました。そういう目線も持たないと真実は分かりません。お寺にとって本当に厳しい時代。逆もまた真なりという俯瞰を大切にしながら、基本的にはピジネスで当たり前のことに取り組んでいきたい。今後も次の世代にこの寺を残すために、切磋琢磨の中で信頼される寺を目指して努力を重ねていきたいと思っています」
(ライター/斎藤紘)

曹洞宗 宝壽山 正安寺
TEL/0267-62-6499 
Eメール/syoanji@fitcall.ne.jp
Instagram/@syoanji

事業運営に光る国家資格の知見
ゼネコンの信頼厚い人・建機一対派遣

建設業界で稀有な存在
絶え間ない受注の連鎖


「土木業界という男性社会の中、女社長で頑張っています」
 実業界で活躍する女性の国際ボランティア奉仕組織、国際ソロプチミスト厚木が会員の『株式会社開発工業』代表取締役社長の坂巻美代子さんを紹介した言葉だ。帝国データバンクの調査で建設業の経営者のわずか4・8%という女性経営者の一人だが、坂巻さんはそれだけでない。土木施工管理技士の国家資格を持ち、土木工事の施工計画や工程、安全、品質、コストの管理に関する知見を事業運営に生かす稀有な存在。その象徴が長年堅持してきた「人・建機一対派遣体制」だ。
 同社の業績で光るのは、請け負う仕事の8割が土地開発や道路建設などの公共工事の元請けとなるゼネコンからの依頼という実態。その業績を支えてきたのが、この施工体制だ。
「公共土木工事は施工の品質や工期を守ることが絶対的な命題です。この厳格な条件の下、元請けのゼネコン様の下請けとなって業務を遂行するためには、工事に必要な作業員や技術者、建機を揃え、工事現場に義務付けられた主任技術者や監理技術者も配置しなければなりません。この要請に応えることができるのが『人・建機一対派遣体制』なのです。工事の都度、作業員をかき集め、建機をリースして対応するような体制とは一線を画す戦略的な施工体制です。当社がゼネコン様から信頼を得てこられた最大の要因と思っています」
 具体的には、監理技術者となるスタッフ、建機オペレーター、作業員と最新鋭の建機をセットで現場ごとに派遣、完工まで現地に滞在して作業し、機動力と施工力を最大化する。建機は5年ごとに更新し、創業以来導入した建機は205台にのぼる。現在は最新鋭の情報通信技術搭載機などを含め約50台を保有、工事の内容によって必要な建機を選ぶことができる。また建機オペレーターも自社で育成してきた。
 業務エリアは本州全域で、常時4〜5ヵ所で作業する。土地造成や道路工事を軸に、太陽光発電のメガソーラー用敷地の造成、都市部の河川浚渫、建設残土の処理、運搬なども請け負う。作業現場ではスタッフは地域のアパートを借り、工事を完遂すれば、会社に戻り、坂巻さんの指揮の下、次の工事のためのチームを編成するという業務の連鎖を絶やすことなく維持し、着実に成長軌道を歩んできた。女社長で頑張る坂巻さんの経営手腕が際立つ施工体制だ。
(ライター/斎藤紘)

株式会社 開発工業
TEL/046-241-3364 
Eメール/info@kaihatsu-kogyo
ホームページ 
http://kaihatsu-kogyo.co.jp/

マンション大規模修繕の要点を解説
給排水管の劣化状況の調査と改修工法

漏水等のトラブル防止
専門家への相談を推奨


 築古マンションは経年劣化や地震などの自然災害による損傷、不具合が生じる。中でも厄介なのが目に見えない給排水管だ。劣化などを放置すると詰まりや濁水、漏水といったトラブルのリスクが高まる。大規模修繕のコンサルティングで頼りにされる『K15建築設計事務所』所長の上村允郎さんは、関西電力グループのIT企業「オプテージ」が主催する「未来を考える大規模修繕セミナー」の講師としてこの課題を取り上げ、改修に当たっての要点を分かり易く解説、参加したマンション管理組合の担当者などの理解を深めた。
「給排水管のトラブルを未然に防ぐために配管の修繕は必要不可欠です。近年の給排水管は、硬質ビニルライニング鋼管など耐久性や耐食性に優れた管が使用されていますが、古いマンションでは鉄管が使われ、腐食したり、錆コブができたり、劣化による亀裂が生じたりして漏水や詰まりなどのトラブルがいつ起きてもおかしくないと考えなくてはなりません。この認識が改修の起点です」
 セミナーでは、道路下の水道本管、マンションの共用部、専有部含めた全体の配管や受水槽、台所や浴室などの生活排水管、トイレの排水管などの構造、給水方式や排水方式の種類などを説明、その上で劣化状況の検査診断の方法を紹介した。その方法は、ポンプ室の漏水状況や架台の発錆状況の目視による検査、受水槽内部のゴミや錆びなど蓄積状況などを目視で調べる検査、給水管の一部を切り取り、管の材質や劣化状況、閉塞状況を把握するサンプリング調査、全戸を断水して高架水槽の水を抜き、降り給水管と揚水管の中にビデオスコープを挿入して内部状況を把握する検査、洗濯用の給水栓に測定器を接続して行う水圧・水量検査、地盤沈下などによる雨水排水管の湾曲や埋没などを手鏡や管内カメラで調べる外構調査など多岐にわたるが、いずれも専門の業者に依頼して行う。
 上村さんは、劣化や損傷が確認されて場合の改修の工法を示し、工事に最適な管材商品も提案した。
「マンションの外部や内部に劣化や損傷があれば、建物全体の耐久性や機能性が低下し、資産価値が下がります。給排水管はインフラ中のインフラ。問題が起きる前に検査診断してもらうことが肝要です。改修する場合は、規模や工法によって工費も変わってきますので、専門家に相談して、住民が納得できる適正な方法で行うことも重要です」
(ライター/斎藤紘)

株式会社 K15建築設計事務所
TEL/06-6809-4303 
Eメール/k15_kamimura@yahoo.co.jp
創造と技術のちいさな不思議な会社
ホームページ 
https://www.kei-ichigo.com/

AIを使い不動産投資の優良物件紹介
集客力ある中古築浅マンションに特化

セイフティネット充実
賃貸管理も幅広く支援


 情報社会の主役に躍り出たAI人工知能を使い、不動産投資を目指す人の希望に適合する物件を探し出す画期的な不動産マッチングプラットフォームが注目を集める。『株式会社クレド』代表取締役の小松圭太さんが開発を主導した『Quooly』。好条件のワンルームを中心に中古築浅マンションを選定して紹介する明確なビジネスモデルで安定した収益を得る不動産オーナーを生み出してきた同社の不動産投資サポートの深化が伝わる取り組みだ。
「不動産投資というと、リスクが高そう、難しそうと思う人が少なくありません。しかし、駅からのアクセスや物件価格、賃料相場、将来環境などの要点を抑えた優良物件で長期運用すれば健全にコツコツと運用することができます。不動産投資をもっと身近にと思ってもらえるように開発したのが『Quooly』です。お客様の希望と物件の相性をAIによって算出し、収支のシミュレーションも一目で分かるように設計し、ご希望に合う物件をいち早く見つけることができます」
 このプラットフォームは、小松さんが構築した不動産投資サポートのビジネスモデルがベースになっていて、そのビジネスモデルは資産性に影響のある地盤の強度や周辺環境、駅力、ブランド力、集客力など徹底して市場調査に基づいて設定した独自の基準をクリアし、資産価値を長期間維持できる物件を紹介するのが基本型だ。
 実際のサポートでは、優良物件の紹介に加え、顧客が目指す将来像や目標、収入、仕事、家庭などのヒアリングに基づいて、他の投資商品との資産配分も考慮に入れたファイナンシャルプランナーによる投資計画、優遇金利の利用ができる資金調達策の提案、入居者募集や賃借人への対応、集金代行、退去手続き、管理組合対応など物件購入後の賃貸管理まで重層的にカバーする。
 また、不動産投資に伴うリスクへの不安を払拭するセイフティネットとして異例の経費補填サービスを行っているのも特長だ。3ヵ月以内に入居者が退去した場合に次の入居者が入るまでの家賃、1年以内に修繕積立金や建物管理費が上がった場合に3年間の差額分、3ヵ月以内に室内の設備が壊れた場合に修理費や買替え費用を補填するもので、「売ることがゴールではなく、一緒に最適を目指して並走する」という小松さんが業務で貫くスタンスを象徴するサービスだ。
(ライター/斎藤紘)

株式会社 クレド
TEL/0120-04-9010 
Eメール/info@fudousan-toushi.jp
ホームページ 
https://fudousan-toushi.jp/

リフォームに光る職人の腕と経験
様々な方法で最善の形にする努力

施主の笑顔を励みに
大工仕事一本で30年


『合同会社ヒロホーム』の黒田規夫さんは、代表社員ながら戸建て住宅、マンション、アパート、店舗などのリフォーム全般を一人でこなす大工職人だ。学業を終えてすぐ家業の大工の仕事を始め、数知れない施工現場で培った職人技と経験が確かな仕事ぶりに表出する。
「大工一家に生まれ、学業を終えてすぐ大工の仕事を始めました。20歳くらいの時は昼に大工仕事、夜には工場でアルバイトと働きづめの毎日でしたが、職人としての技術力が磨かれていきました。そんな中、ある親方の下で階段の造り方を教えてもらい、その技術を習得したことでこの仕事に自信が持てるようになったのです。水まわりから建具、扉、窓の交換、襖、障子、床の張替えなどに対応しながら仕事の幅もお客様も広げてきました」
 こうして大工職人としての経験を積み重ね、腕を磨いてきた黒田さんが手がける仕事は、水まわりや内装、外まわりのリフォーム、大工工事とオールラウンドだ。しかも一つひとつの仕事で目指す方向も明確だ。
「キッチンのリフォームは、変わってしまったライフスタイルに合わせ、キッチンの高さ、収納スペース、簡単に整理整頓が可能な空間づくりなど新たなキッチンスペースと造作工事をご提案いたします。お風呂のリフォームは、冬でも寒くなく、お掃除が簡単で、足を伸ばせるお風呂に交換します。スペースがあれば湯船も大きくして、癒やしの空間に変えます。トイレのリフォームは、バリアフリー、快適性、デザイン性を重視した、落ち着いた空間に変えることができます」
 内装のリフォームは、クロスや壁紙、フローリング、襖、畳などの張り替え、建具や扉、窓の交換修理などまで対応。外まわりのリフォームは、雨漏り、外壁の腐食、シーリングのひび割れなどの補修からシロアリ対策、ソーラーパネルやLED照明などの取り付けまで行う。大工工事は、建物に生じた小さな不具合の修理補強から建具や棚、手摺などの製作、取り付け、バリアフリー化、耐震工事などまで可能だ。業績を支えるのは確かな仕事ぶりだけではない。「HPに載せている私の笑顔の写真が評判の良いこと」と笑いながら語る黒田さんの底抜けに明るい人柄とユーモアセンスだ。「お客様に喜んで頂けるのが遣り甲斐」と大工仕事一本で歩んで30年超、「大工の仕事は一生続けていきたい」と現場で汗を流す日々が続く。
(ライター/斎藤紘)

合同会社 ヒロホーム
TEL/029-879-7435 
Eメール/info@hiro-hm.com
ホームページ 
https://hiro-hm.com/


ミスター・パートナー
東京都新宿区新宿2-15-2岩本和裁ビル5F
TEL.03-3352-8107 FAX.03-3352-8605
〒160-0022 東京都新宿区新宿2-15-2 岩本和裁ビル5F TEL.03-3352-8107 FAX.03-3352-8605