▼ 社会福祉法人　広島常光福祉会



池田美勝氏
雲仙普賢岳の植樹、リハビリ器具の発案など、池田氏の活動は多岐にわたる。
矢野おりづる園にある「平和の礎」


　地域から人とのつながりを大切にし、様々なサービスを展開する「広島県常光福祉会」は、岡山で龍王焼の陶芸研究家として知られる池田美勝（いけだびしょう）氏とともに、幅広いボランティア活動を行なっている。池田氏は、広島原爆養護ホーム「矢野おりづる園」に設置された陶板モニュメント「平和の礎」を、2009年7月に完成させた。これは「矢野おりづる園」の開設1周年を迎えた際、慰問に訪れた池田氏に依頼して、「争いのない世界」を願い制作したもの。池田氏のデザインした折り鶴の絵を19センチ四方のタイル状の陶板に彫り、入所している被爆者たち一人ひとりの名前や平和への願いを刻んで、宇宙色に焼き上げた。縦に3枚、横に67枚の合計201枚が全長7メートルにも及ぶ、徐々にタイルの枚数を増やしていき、将来的には千羽鶴にちなんで千枚の陶板を並べたモニュメントにする予定。これを機に全国の方々より平和を願った陶板の制作に理解を求めて、後世に残していく。
「広島常光福祉会」と、陶芸だけにとどまらない多才な池田美勝氏の、今後の世の中への貢献にさらに注目したい。シンガーソングライターとしても活躍している池田氏は、大物演歌歌手にアドバイスなどを受けながら、作詞作曲を勉強した。その天下一品の歌声に心打たれたボランティアメンバーとともに、全国各施設慰問キャンペーンと銘打って、様々な地域の施設を訪問。自らも障害があり、車椅子で生活されているにもかかわらず、全国の施設を慰問して回っている池田氏の有線放送合格曲には、「平和の鐘」「幸せ峠」「母の面影」「瀬戸の三大橋」「心に太陽（あかり）を」「振りかえらないで」など8曲があり、この中の5曲がカラオケugaにも選曲されている。池田氏の歌声に勇気づけられた高齢者や障害者は多数にわたり、これからも地域交流、施設慰問の活動を続けられることを心待ちにしているのだ。元内閣総理大臣の橋本龍太郎氏をはじめ、各界の著名人も応援のメッセージを送っている。
（ライター／中村美奈子）

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