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水資源を無駄にしない技術開発に注力
クリーン化技術でSDGsの達成に貢献

水の重要性認識が端緒
研究成果を技術に反映


 水の惑星といわれる地球だが、生活や生産活動に使える水は限られている。国連の持続可能な開発目標SDGsがゴール6で「すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する」ことを掲げたのはその証左だ。この目標を達成するために、「クリーン化技術」による水処理装置の開発、製造に力を注ぐ会社がある。八ヶ岳の麓に本社と工場を構える『株式会社オーセンアライアンス』。理系経営者として自ら技術開発を牽引する代表取締役の佐藤匡也さんが掲げた経営理念は「Contributes to sustainability」。持続可能性に貢献することだ。
「地球は水の惑星と呼ばれるほど水が豊富に存在していますが、その内の97・47%は海水で、淡水に分類される水は2・53%。その内の1・76%が氷河などであることを考えると、我々が日常的に使用している水は、わずか0・77%しか存在しません。人々が生活する上で絶対に欠かせないのがその0・77%の水です。世界ではまだまだ水に困っている地域が多くあり、本来なら飲めない水を如何にして飲めるようにするかという水処理の技術が発展してきました。そういった水処理技術で、少しでも日本や世界に貢献したい、その想いで事業を始めたのが当社です」
 2005年に同社を立ち上げた佐藤さん、実は青年期に描いた夢とは全く異なる世界への転進だった。実家が農家だったが、飛行機に憧れ、日本航空高等学校、日本航空大学校で学んだものの、いろいろな事情から故郷に戻り、地元の工業用洗浄装置メーカーに就職した。この中で、水の重要性に気付き、限られた水を資源として有効活用する技術への関心が深まり、水処理装置の研究努力を重ねた。大手メーカーの水処理装置の原理や構造がわかると、「これなら自分でもできるのではないか」との確信を得て、独立起業、見様見真似で1号機を完成させた。以後、技術を進化させ、水処理装置と洗浄装置を製造する国内でも珍しい生産体制を確立、OEM相手先ブランドによる製造方式で大手メーカーを取引先に受注生産し、装置一品ずつを職人たちが仕上げる事業で存在感を高めてきた。生活や生産活動で使う水は、河川や湖や沼から取水した水、井戸水、湧き水、地下水などの原水を浄水処理して、ごみや泥、微生物の残骸、有機物、塩類などの不純物をできる限り取り除いたものだ。純度を極限まで高めた純水も用いられる。
「暮らしの中では水道水や井戸水を利用しますが、工場や大規模商業施設などでは処理した原水や純水を使います。水道水より安く済むだけではありません。大規模なショッピングセンターを例にとれば、そこで水道水を使うとなると、その地域の水道水が枯渇してしまうおそれがあるからです。その意味でも原水は貴重な資源であり、有効に使わなければなりません」
 同社の水処理技術の基本は、ろ過など浄水処理され、使用された原水や純水を再利用できるよう使用前の純度に戻し、捨てる水を極力抑制することが目的だ。精密機器や電子機器、医療機器、自動車、食品、飲料などのメーカー、研究機関、総合病院などでは、有機塩素化合物などの不純物や重金属イオンを2nm(10億分の2m)以下の孔を持つ濾過膜である逆浸透膜(ROメンブレン)で除去し、高純度の水を精製する逆浸透膜濾過装置(RO装置)で処理した水を使う。このRO装置は、1950年代にアメリカで開発されたものだ。同社の技術力の高さを示すのが、RO装置で処理され、使われた原水のリサイクル技術。その象徴が、佐藤さん自ら同社の技術スタッフと共に発明し、特許出願した「電気極性転換イオン濃縮装置(AEDR)」。同社がアメリカで水処理技術の開発に取り組むAgape Water Solutions社から水処理装置の部品を仕入れている関係で、佐藤さんは同社の社長と親交があり、佐藤さんが定期的に渡米して共同研究を重ねてきた成果でもある。
「様々な産業の水処理システムにRO装置が組み込まれていますが、RO装置は原水として入った水の約70%しか処理ができていません。30%の水は不純物が濃縮された濃縮排水として排水されています。『電気極性転換イオン濃縮装置』は、RO装置から排出される大量の排水を、イオンを選択透過させる膜で、膜の持つ電荷によってイオンの流れをさまたげたり、膜の通過を可能にしたりするイオン交換膜と電極の複合ユニットで水質を改善する仕組みです。30%もの濃縮排水を最大で90%原水に戻すことができ、約97%の原水の有効活用を可能にします。導入する場合も、大規模な改造が不要で、既存のRO装置に配管改造で取り付けるだけで稼働させることができます。処理水を高圧にすることが不要なので消費電力は極めて小さく、また、特別なメンテナンスは必要なく、フィルター交換と3~5年に一度、ユニットを交換するだけで運用することができます」
 佐藤さんは、この装置を導入する経済的なメリットを指摘する。
「工業用水は、無料ではありません。使えば使うほど単価が高くなります。例えば、1トンが380円する地域では、濃縮排水30%をそのまま捨てれば、110円も捨てていることになのです。この無駄を省けるのがメリットといえます」 
 同社は、このほかにも、炭化水素系洗浄装置、水系洗浄装置、海水淡水化装置、地下水飲料化装置、災害用飲用水製造装置などの開発、製造も手掛けている。中でも災害用飲用水製造装置は軽トラックの荷台に乗るサイズで、災害時などで水が不足した場合にプールなど付近の水源の水を飲料水に再生できるもので災害大国の防災に寄与する。
 多角的な視点でクリーン化技術に取り組んた佐藤さんは今後、様々な産業分野で技術が高度化するのに伴って純水の需要も高まるとみて、純水のリサイクルに一段と力を入れていく考えだ。
「水素と空気中の酸素を化学反応させて発電する燃料電池を搭載し、モーターで走行する水素自動車が普及すれば、水素の生成のために純水が必要になりますし、次世代型電池といわれるリチウムイオン電池にも純水が欠かせないなど、これからは純水の役割はますます大きくなっていきます。その需要に応えられるよう当社の技術力をさらに高め、クリーン化技術で世界に貢献していきたいと思っています」
(ライター/斎藤紘)

株式会社 オーセンアライアンス
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心のこもった治療に感謝の手紙届く
先進的な手術法の普及に情熱を傾注

オンライン研究会開催
初詣で偶然恩師と遭遇


『新東京病院』の心臓血管外科は、歴代部長を国内外屈指の名医が務め、高度の医療技術を受け継いだ精鋭たちが治療実績を重ねる名門診療科。この診療科で2014年から主任部長を務める副院長の中尾達也さんが医師として大事にしているスタンスがある。信頼関係が築ける心のこもった医療を追求する姿勢と先進医療技術を国境超えて共有することを重視する姿勢だ。それには、広島出身で自身被爆二世の中尾さんが原爆症と闘いながら早世した父親を看取ることができなかった辛い経験と留学先の米国と豪州で医師たちが国や民族を超えてリスペクトし合う姿に刺激を受けた体験が投影されている。
「今までたくさんの医師にお会いしましたが、話の内容まで記憶に残ったのは初めてです」。中尾さんのもとに届いた手紙に記されていた言葉だ。中尾さんが院内報に連載しているコラム「私がみた坂の上の雲」の2022年新年号で紹介したそのいきさつから、中尾さんの診療での姿勢が伝わる。
「二人の亡くなられた患者さんのご家族からお手紙をいただきました。一人目の患者さんは、茨城県の方で6年前と4年前の二回にわたって心臓弁膜症の手術を施行しましたが二年前に消化器系の病気で亡くなられました。最近になってたまたま奥様が御主人の遺品を整理していたところ、二回目の手術の際の書類がでてきたそうです。その書類の中には御主人の書かれた文字があり、それを読まれたことからお礼の手紙をいただきました。私が被爆二世で実家が漁師をやっていたこと、私が医師になったいきさつなどをご主人や奥様にお話したそうです。もう一人の患者さんも茨城県の方で、8年前に重度連合弁膜症を施行しましたが、今年になって心不全で亡くなられました。もともと超低心機能で心臓手術も難しいといろんな病院でいわれていたそうで、いろいろ巡り巡って新東京病院に辿り着きました。8年前に初めて診察室でお会いしたときの感動を奥様がお手紙にしたためられていました。〝主人と二人同時に感じておりました。もう大丈夫、絶対に助かると、そして助けていただきました。その後も何度も助けていただきました〟と。最後には、お二人とも新東京病院のスタッフへの感謝もかかれておりました。ありがたいことです」
 心臓血管外科の2021年の手術実績は、繰り返すコロナ禍の影響にもかかわらず、人工心肺症や非人工心肺、オフポンプ冠動脈バイパス手術などの開心術と、胸部大動脈ステントグラフト術、動脈弁や僧帽弁手術などを合わせた心臓胸部大血管手術総数は262例にのぼる。この中で、中尾さんが特に力を入れているのが、日本ライフラインより本邦で開発されたステントグラフトを用いた大動脈瘤に対する『オープンステントグラフト手術』だ。2014年7月から2021年12月までに施行した手術は241例と、国内トップクラスだ。中尾さんは、その海外での指導医資格を持つ国内有数の医師。
「大動脈には、常に高い圧力がかかっていて、動脈硬化などにより脆くなった血管は徐々に膨らんで瘤が生じることがあります。これが大動脈瘤です。いったん瘤が生じると、さらに瘤の部分の血管がもろくなり、どんどん拡大し、最悪の場合、破裂に至り、大量出血で多くの人たちが命を落としています。このため、大動脈瘤は破裂する前に治療するのが原則です。これまでの標準的な手術方法は、大動脈瘤を切除して人工血管に置き換える人工血管置換術ですが、『オープンステントグラフト法』は、胸を開けて患部の血管にステントグラフトという金属製の骨組みに支えられた人工血管を挿入する方法です。直視できるので患部にステントグラフトを確実に留置できるだけでなく、人工血管置換術よりも傷口が小さく済み、身体的な負担が軽い手術法です。高齢者や他の心疾患合併で同時手術を要する患者さんにも行えるのが特長です。胸部真性、急性、慢性解離性大動脈瘤などあらゆる形態の動脈瘤に適用できます」
 中尾さんは、このオープンステントグラフト法を国内外で普及させる活動に力を入れてきた。海外では、台湾の台北や台中の病院まで足を運び技術指導し、アジア心臓胸部外科学会やイタリアでの研究会でも講演。イタリアでこの手術法を解説したプレゼンテーションは、最優秀賞に選ばれただけでなく、その内容が活字化され、オンラインで世界に配信する価値のある学術資料として、イタリア血管外科学会に承認された。
 国内でも2021年11月には第59回日本人工臓器学会でのランチョンセミナーで、「術後合併症ゼロを目指して―Expertのこだわりテクニック」という題目で発表、第32回関東心臓外科学会手術手技研究会にリモート登壇して「改良を重ねて完成した手術」という題名で発表した。さらにその研究会を途中退席し、一時間後には台湾で開かれた心血管疾患の診断に関する国際学会にZoomの画面で招聘発表に臨み、台湾の座長と討論するなど精力的に活動している。
 また、4月には、アジア・パシフィック大動脈外科学会の研究会を新東京病院の講堂にてオンラインで開催。ここには、中尾さんが若き日に留学したオーストラリアのシドニーにあるロイヤルプリンスアルフレッド病院のPaul G.Bannon先生をはじめ、香港・台北・台中の心臓血管外科におけるハイボリュームセンターから六人のドクターを招いた。
 正月、二年ぶりに広島に帰省したという中尾さん、元旦に宮島の対岸にある家の裏地にある速谷神社に初詣した際、中尾さんが心臓外科医のお師匠さんと仰ぎ、毎年、「元気に頑張れ」の一言だけを添えた年賀状を送ってくれる恩師と偶然遭遇、心臓外科医を目指した初心を改めて思い起こし、クオリティの高い医療を提供する決意を新たにしたという。二日に新幹線で戻った中尾さんは、感謝の手紙をくれた茨城の患者家族のことを想い、その足で上野駅から急行で水戸まで行ったという。その心境を「私がみた坂の上の雲」に書いている。
「患者さんが段ボール箱一杯に送ってくれた美味しいミニトマトやキュウリを育んだ場所を見てみたかったのかもしれません。ひょっとしたら他人からは寄り道ととられるかもしれませんが、自分にとってはかけがえのないご縁と出会うきっかけを運んでくれる旅の一歩かもしれません」
(ライター/斎藤紘)

医療法人社団 誠馨会 新東京病院
TEL/047-711-8700


歯列接触癖の緩和ケア法が広く普及
考案した歯科衛生士がマニュアル化

多くの歯科医院が採用
サロンで健康サポート


「様々なストレスに晒される生活の中で、本来は2〜3㎜開いている上下の歯をかみしめや食いしばりで持続的に接触させていませんか」
 歯列接触癖TCH(Tooth Contacting Habit)を緩和する手技を編み出した『国際TCHケアオフィス』代表のイ・リナさんの問いかけだ。その手技、「TCH緩和ケアプログラム」の普及に努めるだけでなく、これから派生した食、身体、心に働きかけるトータルヘルスケア手法「イリナプログラムⓇ」をサロンで実践、「全身を診る歯科衛生士」として活躍するイ・リナさんに2つのプログラムについてお話を伺った。

          ◇

— 生活する中で歯を食いしばったりすることはよくありますが、歯列接触癖は聞き慣れない言葉です。

「上下の歯は普段は触れ合わずに2ミリ前後離れているのが正常です。触れ合うのは発音したり、食べ物を噛み砕いたり、飲み込んだりするときだけで、上下の歯は接触すると反射的に離そうとするようにできているのです。一般的な歯の接触時間は1日で15分位といわれています。それ以外に不必要に持続的に上下の歯を接触させるのが歯列接触癖です」

— どんな問題があるのでしょうか。

「歯列接触癖はストレスを感じたり、緊張したり、何かに集中したりしている時に起こりやすく、パソコンやスマホに夢中になっているときにも起きています。歯を食いしばってがんばる日本の国民性から日本人の9割の方が経験しているとみています。この癖があると、歯やあごに負担がかかり、歯や歯周組織の病気、顎関節症などにつながるおそれがあるだけでなく、ひどくなると、筋肉が疲労し、首や肩、腰、足にまで影響が及び、本来であればゆるやかなカーブを描いている首の頚椎がまっすぐになってしまうストレートネックや猫背、頭痛、肩こり、腰痛、膝の痛みなどの不調を引き起こしてしまいます」 

— なぜこの歯列接触癖を取り組まれているのですか。

「大阪の歯科医院で歯科衛生士として働き始めたころ、なにかに集中する際の緊張による噛みしめが原因で、極度の肩凝りや頭痛に悩まされました。整体やマッサージ、顎関節症の治療をする病院などに通い、口腔周辺から全身に至るまでを強く揉みほぐす施術を受け続けましたが、症状は改善するどころか眩暈や吐き気まで出てきて仕事にも行けなくなるほどひどくなったのです。これは何かがおかしい。もしかすると力強く揉んだりしてはダメなのではと考え、筋肉やリンパ、骨について独自で勉強を進めると、押さない、揉まない治療法という真逆の考え方があることを知り、藁をもつかむ気持ちで自己流の施術を行うと、口が開き出して痛みが消えたのです。この体験が歯列接触癖と取り組むきっかけになりました」

—— 『TCH緩和ケアプログラム』は、その体験から生まれたのですね。
「同じように噛み締め癖のあった勤務先の院長先生に施術したところ、患者さんにもやってあげてほしいといわれ、サービスとして施術を始めたのですが、要望が増え、自然発生的にコースができたのです。さらに、何とか多くの要望に応えようと考え、『TCH緩和ケアプログラム』としてマニュアル化しました。施術はとても弱い力で、お口の中からとお顔を手で優しく触れるだけの筋弛緩術です。施術時間は30分から1時間ほど。痛みに不安のある方もリラックスして受けていただけます」

— どのように普及に努めているのですか。

「歯科医師と歯科衛生士を対象に、『TCH緩和ケアプログラム』に関するセミナーを東京、大阪、名古屋、神戸、福岡で開催し、歯列接触癖が起こる原理や手技の実際を学んでいただくほか、インストラクターも育成しました。コロナ前は対面方式で行っていましたが、現在はオンラインで講義を受けていただき、実技指導は希望する歯科医院様にインストラクターが出向いて行っています。またマルシェなどのイベント会場に出向いて普及に努めたこともあります。現在では、インストラクターが全国に約45人いるほか、このプログラムを診療に取り入れた歯科医院は全国で730件を超えています。一般の方がこのプログラムで歯列接触癖を直すときは、これらの歯科医院で受診していただく形になります。導入している『オーラルマッサージジェル』も開発しました」

— トータルヘルスケア手法「イリナプログラムⓇ」はどんなものですか。

「歯列接触癖の体験を通じて、すべては口からつながっているとの気づきがあり、食、身体、心の3方向から全身の健康をサポートするプログラムを考えました。歯科衛生士や歯科食育士、整体ボディケアセラピスト、メンタルケア心理士、薬膳インストラクター、マクロビオテックセラピスト、雑穀マイスターなどの資格を生かし、食については、添加物の話、離乳食の話、薬膳からのケアを図ります。身体については、『TCH緩和ケアプログラム』で歯列接触癖だけでなく顎関節症や開口障害の改善、リフトアップを図り、整体ボディケアで肩こりや腰痛などを治療するほか、エステ感覚の小顔矯正で顎のエラや頬骨のでっぱりを解消します。心については、うつ状態などメンタルの不調をカウンセリング心理士の知見を生かして緩和を図ります」

— どこで行っているのですか。

「私が開設したプライベイトサロンで、私が行っています。紹介がある方のみが対象の完全予約制のサロンです。最初に、『TCH緩和ケアプログラム』に沿って口、舌、顔から身体全体まで状態を診させていただき、施術が必要な時は施術します。また整体を施しながら、会話を通じて食生活などや身体の悩みなどをお聞きし、『イリナプログラム』に沿って助言や必要な施術を行います。現在、『TCH緩和ケアプログラム』など、各種オンラインセミナーを行っているほか、パートの歯科衛生士として働いていますので、サロンにいる時間は限られていますが、お子さんからお年寄りまで月に20〜30人の方に対応しています」
(ライター/斎藤紘)

国際TCHケアオフィス 株式会社
TEL/090-9986-2166 
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子どもの今を大事にする保育方針貫く
あそびを通じて成長促す積極的保育

独創性光る合同あそび
成長ぶりに保護者感動

「子どもにとっては、〝いま〟の時間がすべてです」
 幼児教育の第一線に立って46年、幼保連携型認定こども園『大東わかば保育園』の園長山本良一さんが一貫して大切にしてきた視点だ。エッセンシャルワークと位置付けられる保育園の保護者支援の側面に関心が向けられ勝ちなコロナ禍にあっても、この視点を守り続け、多くの制約がある中、様々に工夫しながら子どもの成長にとって有益な保育を続けてきた。保育のあるべき姿を追求し実践してきた山本さんの記録の集大成となる新著「保育に、哲学を!一人ひとりの子どもを深く見つめる、真の保育とは?」から、その保育の詳細が浮かび上がる。
「『平素の人生に生きる場合、何事の場合でも、出来るだけ自分の心を強く保つ努力をする』。政財界をはじめ各界の頂点を極めた人々が心腹した中村天風氏の講演録『成功の実現』にある『真の積極的精神をつくる心得』の一説です。この言葉を精神的な支柱に据え、コロナ禍が暗い影を落とす保育園の運営で、できるだけ笑顔を絶やさないような工夫を重ね、保育の質を保てるかに心を砕き、未曾有の事態に向き合ってきました。感染症対策に取り組むのは当然ですが、感染対策に重心をかけすぎると保育がおろそかになってしまいます。子どもたちにとっては今の時間がすべてです。この貴重な時間に必要な保育が受けられないとすれば、子どもにとって大変な不利益になります。こうした状況だからこそ、子どもたちの人生をしっかり考えなければならないと思うのです」
 新著で示した山本さんのこの考えは、独自の保育理論に依拠する。「現実的な諸問題にとらわれずに、子どもの力を信じて伸ばしていくことを第一に考え、安心、信頼、感動を重視して保育に取り組む」という積極的保育だ。この中で重視するのが「あそび」だ。
 中央教育審議会は、2005年に文科省に答申した「子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の在り方について」の中で、「幼児は、遊びの中で主体的に対象にかかわり、自己を表出する。そこから外の世界に対する好奇心が育まれ、探索し、知識を蓄えるための基礎が形成される」と指摘したが、山本さんが『大東わかば保育園』で先駆的に構築した「あそび」のフレームワークはその理想形ともいえるほどに、子どもの成長を促す様々な工夫で組み立てられている。
 その象徴が「合同あそび」。新著を要約するとその概略は次のようなものになる。「うんどう会では、複数クラスの子どもたちが園庭で繰り広げる野外劇として、また生活発表会では4、5歳児クラスの創作劇として年齢を超えて子どものアイデアを取り入れながら、日常のあそびの延長で年間を通して繰り広げられるユニークな取り組み」だ。
――3月中旬ころから内容をどのようにしようかという話し合いが始まる。例えば、森を切り開いて遊園地にしようとする人間と森に住んでいる動物たちとのやり取りをストーリー化するなどといった内容。何冊もの絵本や童話を参考に先生たちがテーマとストーリーのあらすじを決め、子どもたちや先生の動き、用具の出し入れのタイミングや配置などが綿密に検討され、台本を作り、それに沿って、全クラスや各クラスで何回も遊びを繰り返す。9月初旬頃には子どもたちはストーリーを大体理解し流れに沿って動けるようになるが、ストーリーの理解が進むにつれ、年長クラスの子どもたちからはどんどんアイデアが出されるようになり、ストーリーが膨らんだり、変化したりしていき、本番を迎える。合同あそびはうんどう会で終わるのではなく、その後の作品展や生活発表会に引き継がれていく――。
 ある年の「合同あそび」のDVDを見た元児童相談所副所長は「子どもたちはよくもこの長時間に及ぶストーリーを理解し、集団で行動していたものだと素直に感動しました。1、2歳児もよく頑張っていますね。一人も脱落せず、それぞれの能力に応じた動きをしているのはとても微笑ましい光景です。常々、私は子どもたちには幼い時にしっかり運動させることが身体能力の発達とともに脳の発達に良い効果をもたらすのではないかと考えていました。その意味からも子どもたちの動きはよく考えられていると思いました」との感想を寄せた。
 もう一つ、「あそび」で独創的なのが「自由遊び」だ。約350㎡の園庭で、年齢ごとにクラス分けした保育とは別に、午前8時半~9時半、午後4時前~4時半の2回、1歳児から5歳児までが一緒に遊ぶ。昼食後も1、2歳児、3~5歳児の順に園庭で遊び回る。1歳児、2歳児が給食後に園庭に出て遊ぶ例はほとんどないという。
「コロナ禍の制約で、以前のようなスケジュールや規模で行うことはできませんでしたが、感染対策に最大限気を配りながら、『合同あそび』を行い、子どもたちは皆元気にイキイキと演じてくれました。『合同あそび』は準備するプロセスそのものが子どもたちを大きく成長させますし、言葉やストーリーを理解する力も伸び、年齢の壁を越えて絆も強まります。『自由あそび』もコロナ禍でも変わりなく行っています。年齢の壁を越えて自由に遊ぶことによって、子どもたちが自分を伸ばすことに意欲的になっていく姿を長く見守ってきたからです。何気ない遊びが学びに進化していくのです」
 新著で紹介されている保護者の言葉がこれを裏付ける。
「うんどう会、作品展、生活発表会などの行事では、普段の生活の中では見えない子どもの一面を発見し、その度に感動しました。中でもうんどう会は年長に近づくにつれより感動的なものになりました。力を出し切ってやり遂げた時の輝く笑顔は忘れられません。長男の卒園式で園長先生が『根は育った。土の中の水や肥やしを取り入れる力を持った根は育った』との言葉をくださいましたが、その言葉の通り根は力強く育っていたのですね」
 子どもたちの今を大事にする保育は、未曾有の状況も乗り越えていく。
(ライター/斎藤紘)

社会福祉法人 弘法会 認定こども園 大東わかば保育園
TEL/072-878-4121

一貫体制のモノづくりに情熱傾注
目指すのはシリアルイノベーター

自社製造と商社で躍進
SDGs貢献の新事業も


 この国の経済を高度の職人技で支えてきたモノづくり。その入口から出口まで信用・信頼の下、製品の理想形を求めて一気通貫で担える体制を目指す。『TY.tec株式会社』代表取締役の山村剛功さんは、この志を着実に形にしてきた気鋭の経営者だ。山村さんの座右の銘は「運とタイミングは努力の賜物」。時間という自己投資を積極的に行い、素直さ、感謝、行動を理念とする人材作りにもフォーカスを置いている。様々な技術を持つ企業が連携し、複数の技術革新を連続的に起こすシリアルイノベーターも目指してその助走ともいえる活動にも力を入れる。山村さんが構築したモノづくり体制は、機械工学と電子、電機工学を融合したメカトロニクス部門とエレクトロニクス部門からなり、メカトロニクス部門は最新鋭の工作機械を備えた京都の自社工場で、鉄・非鉄のレーザー加工、曲げ加工や溶接、塗装など生産設備や装置などの立体的な筐体を作る精密製缶や機械部品などを作る精密板金などを行う。エレクトロニクス部門は、東京支店が中心となり、企業から依頼された小規模複合プログラム可能ロジックデバイスや高集積回路、ソフトウェア、プリント配線基板、ハーネスなどの設計や製造、部品調達を一貫体制で行う。こうした業務に加え、山村さんは様々な企業の役員を歴任し企業コンサルタントとしても活躍する石原義彦氏とガイアの夜明けにも出演歴のある本原晃伸氏を据えた「Ethree株式会社」も設立。血液や血液循環、ワクチン、食品などの保存に用いられる冷蔵冷凍設備を製造する中国のハイアールバイオメディカル社とパートナーシップ契約を締結、省エネ性能も持つ新型の超低温冷凍庫を販売し、国連のSDGsが掲げる地球温暖化防止に貢献する考えだ。山村さんは、前職で鉄・非鉄などの加工を行う会社で半導体製造装置のカバーや骨組み、工作機器の溶接などの修行を経て、2018年に独立し、30坪の工場で溶接機一台から個人事業スタート。半年後に現在の『TY.tec株式会社』取締役専務の矢野隆文氏を迎えて経営体制を固め、成長軌道に乗せた。2021年1月に『TY.tec株式会社』を創業し、京都本社工場・第二工場・東京支店を軸に価格、品質、レスポンス重視の組織作りを徹底する。
「大手企業のような資金力はありませんが、モノづくりの経験を生かし、まだ目がつけられていない分野で新たな技術開発にチャレンジします。京都パープルサンガやサッカースクールのスポンサーもしており、今後も社会に貢献できるように努めます」
(ライター/斎藤紘)

TY.tec 株式会社
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Eメール/ty.tec@titan.ocn.ne.jp
ホームページ 
https://www.tytec.co.jp/

多様な産業支える高度の溶接技術
仕上がりの美しさ精密さに高評価

発注元要望に的確対応
多様な溶接技術を駆使


 危険な化学物質や可燃物の漏れが絶対許されない石油精製や石油化学のプラントを構成する構造物や貯蔵設備、配管、ポンプなどの装置の構築には高度の溶接技術が求められる。その要請に応えてきたのが溶接のプロ集団、『株式会社エステック』代表取締役の田中清太さんだ。溶接は金属同士の接合部に熱を加えて溶かし、その後冷却することで接合が完成する加工技術。アーク、ガス、電子ビーム、レーザーの4種類の方法があるが、田中さんの実力が光るのが不活性ガス溶接のTIG(ティグ/Tungsten Inert Gas)溶接だ。
「TIGは、アーク放電を利用した接合法であり、導電性を持つ金属であればほとんどの素材に対して利用でき、鉄やステンレスのほかにマグネシウム合金などにも対応できるという特長があります。また、不活性ガスシールドによる融接のため、不純物の混入が極めて少なく、仕上がりの美しさや耐久性といった品質面で信頼性が高いこともメリットの一つです。加工技術だけではなく、使用するシールドガスについての知識、選定、品質管理にも磨きをかけ、お客様の期待を超える仕上がりを実現できるよう努力しています」
 TIGと並ぶ不活性ガス溶接で、金属電極棒が溶加材溶接のための材料として送給ローラーで自動的に母材に送り込まれ、母材に対してのストレスが少なく、美しい仕上がりと早い溶接スピードが特長のMIG(ミグ/Metal Inert Gas)溶接やトーチで加熱して溶かすワイヤーが自動で供給される半自動溶接、溶接したい二片の金属母材を上下から電極で挟み込み接触部を電極で加圧して発熱、溶融させて接合するスポット溶接などを使い分け、発注元が求める仕上がり品質に的確に応えてきた。
「溶接は母材を高温で加熱するため、変形や収縮によって歪みやひずみが生まれ、寸法や精度を維持するのが難しいため、加工の技術力や経験によって仕上がりには大きな差が生まれます。その点、当社には長年に亘る経験と実績、溶接にかかわる様々な資格に裏付けられた技術とノウハウを持つ職人が集まったプロ集団であり、仕上がりの美しさと耐久性、精密さに自信を持っていますので、安心してお任せいただけます」
 同社の技術力が評価され、プラントのほか圧力容器やフランジ、建設機材、機械、重機、自動車部品など人命に関わる重要な製品の加工依頼も後を絶たない。
(ライター/斎藤紘)

株式会社 エステック
TEL/072-467-3477 
Eメール/info@s-teck.jp
ホームページ 
https://s-teck.jp/

高精度のプレス加工や溶接で躍進
低コスト短納期の生産体制を構築

工業製品の部品を受注
職人の高度技術を駆使


 大阪・八尾市の『株式会社エムテック』は、プレス加工や曲げ加工、熔接などの加工技術で工業製品の金属部品を受注生産する業務で着実に前進してきた会社だ。代表取締役の森本幸一さんは、少数精鋭の職人たちの高度の技術に加え、最新鋭の加工機械を積極的に導入し、低コスト、短納期要求に対応する体制を構築、顧客から信頼を得てきた。
 加工技術の中で同社の名を高めたのがプレス加工だ。
「当社のプレス加工は、自社で金型を製造することで精度向上を図っています。板厚から小さい穴を開けることが可能で、ドリルやボール盤で加工するより効率的で、短納期、コストダウンに貢献します。また、材料を送りながら、せん断や曲げ、絞り、張り出しなどの加工を一セットで行う順送プレス加工は量産性が非常に高く、精度も高い加工が可能です。プレス加工による部品製造では、指示された公差について、ミクロン単位まで対応できます。金型の製造についてもノウハウを有しており、製造図面に関して適切なアドバイスを行い、精度が高く、量産性の高い金型を作成することができます」
 熔接は、熔接ロボットによる量産品の製作から半自動熔接による一品ものや試作などにも対応、熔接冶具の提案や製作も得意で、表面加工なども請け負う。こうした加工技術で製造する部品は、自動車のボンネット骨組みやテレビスタンドの支柱、弱電機器の量産部品、リフトユンボや耕運機の各部品、冷蔵庫の背面の機械部品、什器、照明器具のカバーなど多岐にわたる。
「当社は、設計から製造まで一貫体制での受注が可能で、試作品にも対応できます。受注の中心は量産のリピートオーダーですが、新規のオーダーについても、製作図面から加工の量産化が可能かどうかをアドバイスしたり、工程短縮化のための金型製作や自動化への対応を提案したり、発注元の企業様のご相談に親身に答える姿勢を大事にすると同時に、コストや納期について可能な限りご要望にそうことで受注を獲得し、信頼を得てきました。この姿勢を今後も貫き、金属加工の多様なニーズに応えていきたいと思っています」
 八尾市に3工場、大阪市と岡山県に各一工場に展開した森本さん。海外進出も構想し、ベトナム工場新設に向けて準備を進めている。
(ライター/斎藤紘)

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金属リサイクル事業でSDGsに寄与
収集運搬し加工処理して原料に再生

社会貢献の意識が鮮明
障がい者雇用にも尽力


「資源は、有限では有りません。未来の人たちへのバトンを渡すために金属リサイクルを行っています」
 廃材となった鉄や非鉄金属、廃車になった自動車の再資源化のための収集、運搬を手がける『株式会社日出ショー』代表取締役の河副日出海さんは、資源の有効活用を目指す国連のSDGsに寄与することを意識しながら業務を進める社会貢献意識が鮮明な経営者だ。「ただひたすら人のために生きた人」と河副さんが尊敬する名付け親である祖母の精神をしっかり受け継いでいる。
 事業は、廃材の種類、状況に応じて、屈折式クレーンを装着したトラックのヒアブ車やアーム式脱着装置付きコンテナ専用車であるフックロール車など多種多様な車両を使い分けて収集した廃材や持ち込まれた廃材を自社工場で再生処理するのが基本。
「鉄スクラップを当社の工場に搬入した後、容姿形状に応じた加工処理を行います。すべての金属屑は、鉄鋼原料としてメーカー規格に順じた圧縮、切断、選別などの再生処理をし、スクラップに付着した不純物を工場内で取除き、高品質な製鋼原料へと生まれ変わらせます。非鉄金属スクラップも同様のプロセスで高品質な非鉄金属原料へと生まれ変わらせます。取引先様には、廃材の相場についても毎週情報を送付する仕組みもつくり、取引先様の立場に立った行動を心掛けています」
 自動車については、解体して取り外されたパーツを再生加工して市場に送り出したり、有害物や廃油などを適正に処理したりする自動車解体事業者の最新の無公害工場に搬送する形で廃棄をサポートする。
 河副さんは、高校卒業後、熊本市内の建築会社を経て金属の輸出を手掛ける会社に入社し、地元の事業所で働くようになった。入社3ヵ月目で営業を担当、三年後には数億円を売り上げるまで業績伸長に貢献した。しかし、リーマン・ショックで地元の事業所の撤退が決まって退職。そんな時、同業の社長から背中を押されて独立した。
 河副さんは、事業と障がい者雇用を結び付ける取り組みとして障がい者施設の利用者に仕事を任せて社会復帰を応援しているほか、金属なら何でも捨てて構わない取り組み「SDGsボックス」を展開して、買い取った物を地方創生の財源に充てるシステムの構築も構想する。
(ライター/斎藤紘)

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