井形慶子 イギリス
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免疫細胞療法はリンパ球の持つ力を利用し、患者自身の免疫力を増やして行なう。副作用がほとんどない上、他の治療法と併用することで、かなりの効果が期待できるのだ。

人間のがん細胞を2匹のマウスに移植後、1匹(写真右)には免疫療法を行なった。
その結果は、これほどまで歴然となった。(マウス実験の場合)

がんの治療効果に加え生活の質を向上
患者の免疫力を高める新たながん治療

四番目となる癌の新たな治療法「免疫療法」をご存知だろうか。これまでの治療方法とはアプローチの異なる画期的な療法だ。この免疫療法を専門にしているドクターが在任する「横浜鶴ヶ峰病院」に取材を試みた。

がん治療に期待の高まる

「免疫療法」
 近年、がんの死亡率は増加傾向にあり、年齢別の主要死因では40代〜80代の死因第1位となっている。先進の医療技術により様々ながん治療法が研究される中で、近年注目されているのが「免疫療法」だ。患者自身の免疫細胞を増殖・活性化させることで、がん細胞に対する攻撃力を高める治療法。がんの三大治療法である「手術療法」「放射線療法」「抗がん剤療法」に次ぐ第四の治療法として、今、大きな期待を集めているのだ。
 その免疫療法を専門とするドクターが在任するのが『横浜鶴ケ峰病院』。内視鏡センター、健診センターを中心に予防医学に貢献する病院として、医療相談、培養施設の機能を揃え、一元的な運営をしている。同院では免疫療法を、ほぼすべてのがん患者(血液がんを除く)が受けることができる自由診療として平成18年にスタート。高い技術力により、リンパ球の培養にかかる費用を抑え、患者と家族の負担の軽減に努めている。

ステージに関係なくスタートできる

 がん治療において、これまでの三大治療法は副作用も強く、がん細胞とともに免疫細胞を殺してしまい、白血球の極端な減少を招くことが指摘されていた。そこで、これらの治療と併用することで、その治療効果が期待されているのが免疫療法なのだ。
 その特徴は副作用がほとんどない。単独では大きな塊となったがん細胞を死滅させる力は持っていないまでも、手術後に残ったがん細胞や、放射線治療によって小さくなったがん細胞を掃討したり、抗がん剤でがん細胞を弱らせた後で、決定的なダメージを与えるとされている。さらに、ステージ(がんの進行状況)にかかわらず実施することができる。
 本来、人体はがん細胞を排除するリンパ球が正常に機能しさえすれば、がんの発病に至ることは少ないと考えられている。免疫療法は、身体に入ってくる有害な物質を破壊する力を持つリンパ球を採取して活性化・増殖させ、再び体内に戻すことで、各種治療の効果を高めながら、再発を防止していく。その治療効果についてはこれまでにも医療界で数々の事例が報告されている。

「免疫療法」で再発防止にもつなげる

 がんの研究で権威ある雑誌「キャンサー」によると、肺がん手術後に免疫療法を行なった患者は、行わなかった患者と比較すると再発率が低下、さらに再発までの期間も延長したという論文が発表されている。その他、脳腫瘍、肺がん、腎臓がん、前立腺がん、子宮がん、大腸がん、直腸がんなどにも効果があると報告されている。
 同院でも大腸がん患者の30歳男性が抗がん剤治療との併用で、がん性の腹水の消失、全身状態に改善がみられた。17歳男性の脳腫瘍の症例では、外科手術で切除しきれなかったがん細胞が、免疫療法を行なうことにより消失したという実績もみられる。副作用についても、短時間の発熱が報告されたほか、重大な副作用は認められていないという。
 そこで同院では現在、四種類の免疫療法を行なっている。アルファ・ベータT細胞療法、NK細胞療法、ガンマ・デルタ細胞療法では、患者から採取した血液中のリンパ球にそれぞれ異なる抗体を加えて培養増殖後、体内に戻し、がん治療を行なうもの。CTL療法では体内からがん細胞とがん細胞を特異的に攻撃するCTL細胞を採取し、活性化して体内に戻す特殊な治療法。いずれも、がんに対する治療効果に加え、患者の免疫力が高められ、日常生活におけるQOL(Quality Of Life=生活の質)が改善されるため、がん治療のスタンダードとして今後ますます認知されていくに違いない。
(ライター/帰山いづみ)

 
医療法人順生会 横浜鶴ヶ峰病院
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