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相続や遺言、贈与に特化し、中でも不動産相続にまつわる悩みを中心に税法・税務の観点から的確にアドバイス。多くの顧客から絶大な信頼を得ている「薬袋税理士事務所」の代表である税理士・薬袋正司さん。税理士資格を取得後、外資系税理士事務所を経て、1997年に資産税に特化した税理士法人タクトコンサルティングに入社。10年間勤めた後、2007年に独立し、薬袋税理士事務所を開業。宅地建物取引主任者の資格も持つ。そんな薬袋さんに相続で悩む方達への思いやご自身の業務について聞いてみた。


独立開業した今につながる百貨店時代に学んだ顧客対応



小学校4年生の頃。右から2番目(本人)と母と兄弟たち。
─ご出身はどちらですか?
薬袋 埼玉県の入間市。実は28歳で結婚するまで実家で暮らしてたんです。

─そうでしたか。子どもの頃のこととかご兄弟のこと、少しお聞きしてもよろしいでしょうか。
薬袋 4人兄弟の長男ですが、子どもの頃はおとなしくて、外で遊ぶのは好きでしたが、ちょっと引っ込み思案なところもありましてね。両親が、これではいけない、ということで、3年生の時に水泳教室に入れられました。少しは活発になればいいな、と。

─なりましたか?
薬袋 水泳のおかげかどうかは分かりませんが、高学年になってからは、剽軽な性格になりました。当時ドリフターズ全盛期で、私は志村けんを師匠と仰いで笑いを取りにいってました(笑)。この頃から芸能界にはまり、愛読書は明星、平凡で邦楽洋楽のラジオのベストテン番組を毎週エアチェックして記録を取ったりしていました。青春の節目は後楽園球場、今のビッグエッグで、キャンディーズ、ピンクレディー、BOWYの解散コンサートも行きました。この頃の楽曲だったらイントロクイズで負ける気がしません。中学高校と水泳とバレーボール。高校は学区2番手の県立所沢高校に入学できました。たしかに活発な子になって、両親の狙いは当たったと言いましょうか、やはり水泳のおかげでしょうかねえ。

─将来こんな職業につきたいとか、なにか目指していたものは?
薬袋 当時の日本はバブル時代で、いい大学に入って、いい会社に行って、年功序列でという時代。漠然とサラリーマンか実家の婦人服屋を継ぐかみたいな安直なことしか考えてませんでした。


中学2年の頃。バレーボール部の大会にて。
─でも実際には、税理士として独立開業する道を選んだわけですよね。具体的にどういった経緯で?
薬袋 実は高校2年生から部活をやめて堕落した生活を送っていました。そのおかげで大学受験に失敗。浪人してどこかの大学に入ってと考えていましたが、親がそんな甘い考えを許してくれませんでした。父親が中央大学の経済学部出身だったので、経理の専門学校だったら承諾してくれるだろうと、安直な発想から東京CPA専門学院という学校に入学しました。入学式の日から授業という寺子屋みたいな学校で、遊ぶ時間なんかなかったです。運良く入学から半年で日商簿記検定の一級に合格することができました。そうしてみると、自分には税理士の道が開かれているのだなと思えてきまして。専門学校の専門課程で簿記論・財務諸表論・相続税法を合格して、22歳の時に就職しました。その後、働きながら夜間のクラスで勉強し、法人税法と所得税法に合格し、晴れて26歳の時に税理士登録することができました。

─やはり、相当に難しい試験なのでしょうね。
薬袋 まあ、国家資格ですから。私が受けた当時、合格率が10パーセントあるかないか。試験は年一回8月初旬に、私は毎回会場が早稲田大学で受けていました。当時は冷房はつけてもらえず、カンニング防止のため、うちわなどの紙は使えない。解答用紙が汗で腕に張り付くのをタオルで拭いながら受験していました。大隈重信氏の銅像の前で待ち合わせをして、戦友と試験談義で飲みに行くのが楽しみでした。懐かしい。

─伊勢丹にお勤めだったそうですね。なぜ伊勢丹に?
薬袋 専門学校が就職まで斡旋してくれる体制で。学校の評判を上げるためにも是非にと推してくれたのでしょう。当時は原則大卒でないと入社できません。今から思えば大きな会社での経験ができて、本当にラッキーだったと思います。


平成4年の頃。伊勢丹バレー部、百貨店バレーボール大会にて。
─伊勢丹は気に入りましたか?
薬袋 そうですね。実家が婦人服関係の仕事をしているということがありまして、自分の中にも惹かれる部分がありました。親も喜んでいましたね。商売は「顧客第一主義」常にお客様目線での動線、接し方に重きを置くということを教わりました。

─なぜ転職を考えたのですか?
薬袋 税理士試験に合格して欲が出た部分もあったでしょう。当時は今のように転職・中途入社という人の評価ではなく、年功序列の学歴社会。やはり大学を出ていないというコンプレックスがありましたし、専門学校卒業は高卒の扱いでしたので、同期が出世していく中で、自分の将来に不安を感じていました。であれば、早い時期に身を置き直した方がいいと思いまして。一大決心でした。

─次の職場は、外資系だったそうですね。やはり学歴社会と無縁だとか、そういった理由があったのでしょうか。
薬袋 必ずしも、そういうことではないです。伊勢丹を辞めての転職ですから、できるだけ大きな事務所がいいな、と。安定してるだろうから、と。もっとも当時、大きな事務所と言っても限られてましてね。スタッフが100人もいればとても大きい。今では全国展開してる税理士法人があって、1000人単位のスタッフを抱えていたりしますが。

─今度は、やりたい仕事ができましたか?
薬袋 今から思うと組織の中の役割ということなんです。伊勢丹は大変大きな会社で、経理も細分化されていて機能する。決算書の前に例えばカード売掛金、仕入在庫管理、財務など、帳簿を作成する前の勘定科目の細かい管理が必要で、これが仕事です。外資系会計事務所は顧客が外資系会社で、日本における経理のアウトソーシングを受託するのが業務で、給与計算、社会保険手続き、帳簿作成、法人税申告を代行することが仕事です。これらの業務に携われたことは、貴重な経験をさせてもらった。しかし、机上でする仕事ではなく、顧客の顔が見える仕事がしたいという欲がどんどん芽生えた。


平成5年の頃。グランドキャニオンにて。
─独立する前のタクトコンサルティングではどのような経験をされたのですか?
薬袋 税理士の勉強を活かしたくて、資産税の経験が必要と思い門を叩きました。10年という非常に長い間お世話になりました。資産税は俗語で、所謂譲渡関係や相続税など会社の決算とは違った形でのサービスです。仕事は全て自己責任で、最後は仕事の獲得から申告、報酬の回収まで自分でやらなければならなかったので大変でした。ここで大勢の個人のお客様の仕事をさせていただくことで、私が望むサービス業の形を自分の中で確立できたのだと思います。商人の家の出ですので、独立は自然の流れだったのでしょう。

─今、独立開業されているわけですが、お客との接し方で、特に気をつけているのは、どういった点でしょうか。
薬袋 お客様は個人ですので、事業的な発想だけではない、いろいろな想いや感情、経緯があって、これらを鑑みて落としどころを探っていかなければならない。ここでは税理士の視線ではなく、まずお客様の視線でお話をじっくりと伺い、その方が何を優先順位に考えているか、建前と本音は、真に望んでいることは何か、当事者全員にとっていい方向なのかなど、お話の中で交通整理していくように心がけています。

─特に今、注目されている法律や手続きの変化は、なにかございますか?
薬袋 元々納税に関する法律や手続きは毎年のように変わります。直近では2018年4月から、改正された事業継承税制がスタートしました。ご高齢の中小企業経営者には、これを有効活用して事業継承を円滑に進めるよう、アドバイスしてます。

─具体的に、どういうことですか?
薬袋 日本の中小企業の存続が危ぶまれています。今後10年間で平均引退年齢の70歳を超える中小企業経営者や小規模個人事業主の数が、245万人に達し、うち127万人は後継者が未定。日本経済の真の担い手は中小企業だったわけでして、まことに厳しい現実が迫ってきているのです。そこで、自身が経営する会社の株式を遺産として残したような場合には、相続税の納税が猶予される、というのが、この制度の骨格です。従前の税度では、納税猶予の対象となるのは株式の3分の2まで、猶予の割合は80パーセント、しかも1人の経営者から1人の後継者に相続・贈与される場合に限られていたのですが、新制度ではこれが、株式数の上限は撤廃され、納税猶予の割合は100パーセント。そして最大3人での継承も可能となったわけです。その上、税制適用後のリスクも軽減されました。これまでは、事業継承時に株価を基に課税され、なおかつ5年間で平均8割以上の雇用が維持されていないと猶予が取り消されましたが、改正後は雇用要件が未達成の場合でも猶予の継続が可能になります。


平成30年事務所ミーティングルーム
─なるほど。私など〈社長の息子〉というのはみんな金持ちだと思い込んで育ちましたが、言い方は悪いですけど、そのへんの町工場や八百屋さんでも、会社組織になっていますからねえ。最後に、私のようにごく普通のサラリーマン家庭に育ち、いまのところ独身で、もちろん財産もない(笑)。こんな人間が相続税の問題をどう理解しておけばよいものか、お聞かせ願えませんか?
薬袋 相続というと相続税という発想を持たれる方が多いようですが、実はどのように承継させるかが一番大事です。ごく普通のサラリーマンでも、マイホームがあったり、それなりの預貯金はあるものでしょう。いざ相続となった時に、兄弟姉妹で争いなど起きないと言い切れますか? 誰かが住んでいる自宅のように、実際分割が難しい財産が大きな比重を占める現状を考えると、平等を前提とした当事者間で話し合いがとてもスムーズにいくとは思えません。価値で平等に分けることも大事ですが、財産が本当に有効に使われるように、そこに争いが起きないように遺言書を作成するのは、大変有効だと思います。

─たとえばの話ですが、すでに家庭を持っている妹に実家を譲り、代わりに私は現金を貰う、といった相続でも、遺言があれば可能になるわけですね。
薬袋 もちろんです。子どもたちはしょうもないから、なにもやらん。全部宗教団体に寄付する、という遺言でも可能ですよ(笑)。もちろん、あなたの側では遺留分を主張することも可能なわけですが。自分亡き後、残された者が話し合いで分割を決めていくのは実は非常に大変なこと。以下の項目に一つでも該当する場合には、必ず作成した方がいいでしょう。
① 兄弟姉妹が不仲
② 子どもがいない
③ 内縁の配偶者がいたり、その人との間に   
  子どもがいる
④ 結婚した相手に連れ子がいる
⑤ 未成年の子どもがいる
⑥ 大家族で相続人が多い
⑦ 相続させたくない相続人がいる
⑧ 相続人がいない
遺言書は、何度でも書き直すことが可能で、一番日付が新しいものが有効とされるので、途中で気が変わった、というケースにも対応できます。ただ、自筆の遺言書の場合は、開封せずに家庭裁判所に持参し、検認を受ける必要があります。先ほど挙げた8項目には当てはまらないと思っていても、やはりお金の問題ですし、些細なことで家族の関係が壊れるといったようなことも、ないとは言い切れないのが現実でしょう。もしもの時のことを考えて遺言を残しておくというのは、愛する家族への最後のメッセージなのだということを、もっと多くの人に理解していただきたいと思っています。後手後手に回りがちなことですが、遺言書もお元気なうちしか作れません。




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