令和のブームはこれだ! 2023

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プロフェッショナル

厳密な施工で示す基礎工事の理想形
正確さと完成度の高さが光る匠の技

手を抜かず全工程完遂
マイスターの称号取得


 建物の安定性、耐久性、耐震性に関わる土台造りが正しく行われているか、念願の戸建てマイホームを建てる人が判断する上で基準になる基礎工事の理想形がある。第三者住宅検査機関のホームリサーチ社が卓越した技術を持つ職人を顕彰する制度で最高位の三ツ星の転圧マイスターと配筋マイスターの称号を与えられ、全国工務店グランプリで「匠の盾」も受賞した『有限会社信和土建』代表の宍戸信照さんが日々実践する基礎工事。工程一つひとつで追求する正確さと完成度の高さは、文字通り「匠の技」だ。基礎工事は、簡単にいえば、建物の形状に合わせて穴を掘り、そこに砂利を敷き詰めて下地を作り、その上に鉄筋を組んでコンクリートを流して形成して建物の土台を作る工事のことだ。宍戸さんが、マイホームの施主からよく訊かれる基礎工事のチェックポイントとして挙げるのが「鉄筋がちゃんと基礎の中央に通っているか」「アンカーボルトがまっすぐか」「地面と鉄筋の間が6㎝以上浮いているか」「雨の日にコンクリートを打っていないか」の4点だ。
「鉄筋が正しく配置させされているか否かで、その耐久性が大きく変わってきます。アンカーボルトは、基礎とその上に載せる土台を繋ぎ止める役割を担う金具のこと。アンカーボルトの間隔が住宅金融支援機構の基準である2m以内になっているかどうか確認のポイントです。鉄筋は、錆びが発生すると膨張してコンクリートの内部から破損する恐れがあり、固定が十分でないとコンクリートの中性化によって爆裂を引き起こします。そこで活躍するのが、鉄筋が動かないよう固定させ鉄筋と地面の間隔を確保するスペンサーブロック。メーカーによって異なりますが、だいたい6㎝以上のスペーサーブロックを使用し、一般的には15㎝の厚さでコンクリートを打設します。もし鉄筋の中に沈む高さの場合は要注意です。雨天時に打設すると、コンクリートに余分な水が入って強度の低下を招き、雨跡が付き砂利が見えてしまうこともあります。仕上がりにも影響が出てくるので雨天時の施工は避けるべきです」
 このチェックポイントは、宍戸さんが工事現場で励行しているものだ。実際の基礎工事は、丁張り、掘削、砂利引き・転圧、防湿シート敷設、捨てコンクリート、外周の型枠組み、鉄筋組み、アンカーボルト設置、耐圧コンクリート、内部の型枠組み、立ち上がりコンクリート打設・天端均らし、養生、型枠外し、基礎内清掃、埋め戻しなどのプロセスから成り、その一つひとつ工程の作業は厳密だ。建物の正確な位置を出す丁張り作業は、昔ながらの水糸を使って誤差をなくす努力をする。二番目の掘削は、丁寧な作業の真骨頂だ。
「工事現場は、平坦な土地だけではありません。急傾斜や崖に面した土地など標準的な工法では対応できない現場があり、土の硬さも現場ごとに異なります。掘削に当たっては、現場の状況を見極めて行います。一般的には、すべて重機で掘ることが多いのですが、私の場合は平らな部分を重機で梳き取り、外回りの梁や中の地中梁は手作業で掘っています。余分な泥が発生しないため、寸分の狂いもない、美しく頑丈に仕上がります」
 コンクリート打設は、コンクリートの性質を知り尽くしたプロの技だ。
「コンクリートは、珪酸三カルシウムなどで構成されるセメントと水、強度を担保するための骨材と呼ばれる砂や砂利を混ぜて硬化させる複合材料。生コンクリートの品質は、JIS日本工業規格で規定されていますが、セメントの成分比はコンクリートの強度に大きく影響しますし、骨材も山砂、川砂、海砂など砂の種類でも品質が違ってきます。コンクリート打設はこうした性質を頭に入れた上で行いますが、コンクリートは気温や湿度の高低によって乾燥したり、伸び縮みしたりし、それがひび割れなどの原因になりますので、外気温が25度以下なら120分以内、25度以上なら90分以内に終えなくてはいけません。また、外気温に応じて打設強度を変える温度補正をしながら設計強度になるように作業を進めます。コンクリートを隅々まで充填する締固め作業後には、表面にできた凸凹をコテなどを使って均しますが、なるべく凸凹、はみ出しのないように、角も90度になるよう美しく仕上げます」
 コンクリート打設に先立つ配筋工事は、精緻を極める。
「砕石を固めた地盤の外周部に建物の建築位置を間違えないようにするための捨てコンというコンクリートを流し込んだ後に、格子状の鉄筋を組み立てる配筋工事を行います。コンクリートは押しつぶそうとする力に対しては強いのですが、引っ張る力や曲げる力に対しては弱い素材です。その弱点を補うために引っ張りに対して強い鉄筋を組み合わせる配筋で強度を確保します。鉄筋を組み合わせるのは決して単純作業ではありませんが、強度が保てるように鉄筋と鉄筋とをきちんと格子状に結束させていきます」
 こうした仕事ぶりが評価されて付与されたのが転圧マイスターと配筋マイスターの称号だ。その理由から現場の整然とした様子が浮かび上がる。
「スペーサーブロックの沈み込みは見受けられず、均一で良好な転圧状態でした。スラブ配筋は、全箇所結束がされており、継手は千鳥配置されていました。又、立ち上がり部分の配筋は、多重結束を避けた割り付けがされており、整然とした規則正しい施工状態でした。基礎の仕上がり状態は、目立った気泡もなく、全体的に平滑なコンクリート面でした。アンカーボルトの設置状況も、通りや埋め込み寸法に誤差が殆ど見受けられず、すっきりとした配置でした。基礎外周部にも養生がされており、汚れに対しての気遣いが窺えました」
 配筋に使う鉄筋も、作業効率や仕上がりの美しさの観点から既製品を使わず、鋼材メーカーから鉄筋用棒鋼を仕入れ、配置場所や形状を図面に落とし、構造に合うように自社加工場で加工する。その数、大小合わせて数千本にものぼる。
 コンクリートを均すコテも、左官鏝作りで約100年の歴史を刻む兵庫県三木市の梶原鏝製作所の古式鏝製造技術を知り尽くした名工の手になる鏝を使い続けている。中塗鏝や仕上鏝、角鏝、先丸鏝、目地鏝など用途や素材、サイズの異なる鏝を多数揃え、季節、気温によって使い分けるなど、基礎工事の完成度を高める努力は枚挙にいとまがないほどだ。
(ライター/斎藤紘)

有限会社 信和土建
TEL/042-763-4443


新たな時代の要請に応える人間力養成
研究者から教育者に転じた博士の挑戦

大学の成長支えた理念
著書で改革の歩み回想


『Society5.0』。サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムによって経済発展と社会的課題解決の両立を目指す日本政府提唱の未来社会だ。「この未来社会で求められるのは人間力」と指摘するのが『学校法人高崎健康福祉大学』、通称『健大』理事長の須藤賢一さんだ。研究に明け暮れた農学博士から一転、時代の変化を読み取り、人間力を養うための教育環境の整備拡充に情熱を傾けてきた教育者。2022年3月に上梓された著書『素人の大学づくり:研究者から学園理事長へ、学園の改革はこうして始まった』から明確な教育理念が伝わる。
 『健大』は、健康福祉学部(社会福祉学科、医療情報学科、健康栄養学科)、保健医療学部(看護学科、理学療法学科)、薬学部(薬学科)、人間発達学部(子ども教育学科)、農学部(生物生産学科)の5学部8学科と、農学研究科、健康福祉学研究科、保健医療学研究科、薬学研究科を擁する大学院から成る。310人の教員の指導の下、2888人の学生が学ぶ群馬県内最大級の高等教育の拠点だ。
 ここで目指す教育の現在地が分かる言葉がある。「Society5.0の社会で高崎健康福祉大学ができること」と題して須藤さんが大学のHPに載せたメッセージだ。
「人工知能やロボットの技術革新が、人々に豊かで便利な社会をもたらす『Society5.0』。すべての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、今までにない価値やサービスを生み出す、この新たな社会システムでは、就業形態も今とは大きく変化し、現在の職業のおよそ50%以上が消滅すると予想されています。しかし、高崎健康福祉大学がこれまで取り組んできた『食』、『医療』、『福祉』、『健康』、『教育』などの領域は、どんな時代でも私たちの生活に欠かせないもの。これらの領域を新たな切り口で追究し、次世代の社会を支えていく人材になってほしいと思います。これからの社会で新たな価値を生み出すために私たちが養うべきもの、それは、人間にしか持ち得ない課題発見・解決能力やコミュニケーション能力です。一人ひとりが社会のため、人のために何ができるかを考え、実践する。『Society5.0』の社会で求められる『人間力』の本質は、ここにあります。どんな時代においても、人のため、社会のために貢献できる『人間力』をここで身につけてください」
 時代の要請に応える人材を育成してきた『健大』の基点は1936年(昭和11年)に、須藤さんの伯母、故須藤いま子さんが創設した「須藤和洋裁学院」。東京技芸専門学校で大妻女子大の創始者大妻コタカ氏と服飾アカデミーの中野寿美氏から学んだ才媛。「女性の教養を高め、服装文化の改善と女性の地位を向上する」ことを学院の設立趣旨に掲げた。戦後、学校法人須藤学園となり、家政科や国文科、生活科などを擁する群馬女子短期大学を開設。1990年、いま子学長が急性心不全で他界した後、須藤さんの父親の須藤治郎さんが理事長と短大学長を継いだ。
 須藤さんは、北海道大大学院で学び、植物体の細胞と細胞とを接着する作用を有する樹木成分に関する研究で農学博士の学位を取得し、農林水産省森林総合研究所などで研究に励んでいたが、1991年、同短大の副学長に転じて父親を支える形で教育の世界に踏み出した。1998年、理事長に就任し、教育改革に乗り出し、2001年「人類の健康と福祉に貢献する」ことを建学の精神に掲げて『高崎健康福祉大学』を開学した。
 健康福祉学部の下に健康情報学科、保健福祉学科、健康栄養学科を置く1学部3学科からのスタートで、「当時の高校生の4年生大学志向、とりわけ女子高校生の4大志向の高まりから、大学の設置を考え、同時にどのような大学を設置するか様々な角度から検討しました」と回想する。
 その後、大学院、保健医療学部、薬学部、人間発達学部を創設して教育領域を拡充し、2019年には群馬県内では初となる農学部を開設した。大小さまざまな講義室、各種実験施設、農産加工処理室などを備えたこの新学部の創設に向けた須藤さんの理念は明確だ。
「最先端の科学技術やICTを積極的に取り入れ、今までにない農学を実現します。さらに、農産物の品種開発や流通・販売からブランディング、マーケティングに至るまで一貫した学びを展開。農産物の国際基準であるグローバルGAP認証の取得にも注力し、国際社会で通用する農業人材を育てます。ドローンやAlなどの最新技術を駆使して高品質な農産物を生み出し、自らの手で海外市場にアプローチしていく。地産地消の時代から脱却し、日本の農業の魅力を世界に発信することが、高崎健康福祉大学農学部の使命なのです」
 就職や資格取得の支援にも力を入れ、2003年に立ち上げた「キャリアサポートセンター」では、学生一人ひとりの個別相談や模擬面接を行うほか、数千社に及ぶ求人票、卒業生の就職先リスト、採用試験の報告書などが備わる。
 大学開設から21年、こうした努力が実り、管理栄養士、社会福祉士、精神保健福祉士、診療情報管理士、保育士、幼稚園教諭、小学校・中学校教諭、看護師、理学療法士、薬剤師などの国家資格保有者を多数輩出し、強い就職力を誇る大学に成長した。
「地方の私立大学でありながらも国家試験合格率や就職内定率の高さから毎年多くの受験者を集める高崎健康福祉大学の躍進の背景には、研究者から学園理事長へと転身した一人の男による、たゆまぬ改革への挑戦があった」
「第1章 研究者として研究に明け暮れた日々」「第2章 研究者から学園理事長への転身」「第3章 高崎健康福祉大学を県内一の私立大学にするために」「第4章 大学淘汰の時代にも力強く羽ばたく大学へ」の4章224ページから成る著書の紹介文だ。
 須藤さんは2021年秋の叙勲で、長年の私学振興の功績が評価され、旭日中綬章を受章した。
「国連は、SDGsとして17のゴールを定めましたが、本学のいずれの学科も目指すのは人類の健康と福祉に貢献するという建学の理念を具現化することであり、人々の幸せや喜び、笑顔をエネルギーとして人々に貢献するという自利利他の精神、すなわち健大精神をバックボーンとして確かな知識と技術によって人々の安心、安全や社会の発展を支えるために活躍できる人材を世に送り出すことは、まさしくSDGsの達成に必要不可欠な人材の養成であり、そのためにも学生と教職員は常に切磋琢磨しなければなりません」
 高崎市郊外の緑の豊かな環境の中に、モダンなデザインの校舎が点在する広いキャンパスでは、須藤さんの温かな眼差しの下、学生たちがこの目標に向けて勉学に励んでいる。
(ライター/斎藤紘)

高崎健康福祉大学
TEL/027-352-1290
ホームページ 
http://www.takasaki-u.ac.jp/


子どもの胎内記憶を子育てに生かす
研究の成果を生かし、啓蒙活動に尽力

アンケートで記憶実証
独自教育メソッド確立


 人生最初のお腹の中から始める教育法。身ごもった子どもの健やかな成長を願う出産前後の女性の受講が絶えない一般社団法人日本胎内記憶教育協会の「胎内記憶教育」基本講座のコンセプトだ。その根幹を為すのが協会の代表理事、『池川クリニック』の院長で医学博士の池川明さんが取り組んだ「胎内記憶」の研究。子どもたちには母親の胎内にいたときの記憶があることを様々な角度から立証し、その記憶に耳を傾け、出産前後の子育てに役立てるよう促す啓蒙活動の一環として続けてきたのが「胎内記憶教育」だ。
 池川さんが「胎内記憶」の研究を始めたのは、メンタルヘルスケアなどに取り組んだ元福島大学教授飯田史彦氏の著書「生きがいの創造」との出会いがきっかけ。この中で、胎内の子どもにも意識があることを知り、クリニックで話題にしたところ、看護助手が「うちの小学1年生の孫にも記憶があります」といい、孫が書いた作文を持ってきたという。
「僕はお母さんのお腹の中にいるときに、包丁が刺さってきて、白い服を着た人に足をつかまれておしりをたたかれました。お母さんに言うと『夢でしょう』といわれたけど僕は違うと思います」
 こう書かれていた内容が、出産時に逆子で生まれたこの孫の状況と符合していることから、「お腹の中での記憶は本当にあるのだ」と驚き、来院する子連れの母親に「胎内記憶」について尋ねるなど、「胎内記憶」への関心を強めていった。
 2000年から2003年にかけて、保育園や幼稚園の協力を得て1620人の母親に対するアンケートを通じて子どもの記憶を調査し、結果を公表した。
「回答で、胎内での記憶があった子どもは3割以上、出生時の記憶を持つ子どもは2割もありました。子どもの語る『胎内記憶』は、『暗くてあたたかかった』『水の中に浮かんでいた』『お母さんの声が聞こえていた』といったように、多くはシンプルなものですが、中にはかなり詳細な記憶もあります。子どもたちは大人が伝えていない状況を知っており、それらが現実と符合しているケースも少なくありませんでした。赤ちゃんは脳が未発達で記憶力も五感も乏しいと言われていますし、ましてや胎内に入る前の魂の記憶など科学では想定外と『胎内記憶』を否定する科学者もいますが、アンケートの結果はそのような通説を覆すものでした」
 さらに研究を進める中で、元ハーバード大学教授の精神科医で胎児心理学の世界的権威、トマス・バーニー博士の著書「胎児は知っている母親のこころ」で「胎内記憶」の存在を確信した。
「バーニー博士は、著書の中で、イエール大学、プリンストン大学、ロックフェラー大学などの最新の研究から導き出された科学的事実を明らかにし、胎児期の重要性を繰り返し説いています。そこでは『受精から始まるあらゆる初期体験は、実質的に、子どもの脳の構造に大きな影響を及ぼしている』といっているのです。母親の態度、感覚、感情、思考は、ホルモンや神経伝達物質の分泌に影響し、それらは血液の流れに乗って胎盤を通り、胎児の発達中の脳に届いて、脳の配線を決定します。このことは、妊娠中に母親が考えたことは、アルコールやニコチンと同じくらい確実に胎児に伝わっていることを示しています。母親が愛されて守られていると感じ、情緒が安定していると成長を促すプログラムが、母親が悲しみに打ちひしがれているときには防衛を優先するプログラムが子どもの脳の配線として選択します。そして、母親が暴力的な環境にさらされていると、子どもの脳には暴力の種が植えつけられてしまうというのです。これが『胎内記憶』に繋がっていると確信しました」
 池川さんは、研究の結果を踏まえ、『胎内記憶』を出産前後の子育てに生かせるはずと、子どもが生まれてからの環境だけでなく、胎児期からの環境づくりが重要と啓蒙活動に乗り出し、2017年にはその拠点となる日本胎内記憶教育協会を設立した。その活動の中心が「胎内記憶教育」基本講座。
「子どもたちが語る胎内記憶の調査研究に基づき、赤ちゃんや子どもたちと一緒につくった教育メソッドです。大人も子どもも共にしあわせになる胎内記憶教育を、お産や幼児教育の現場で実証し、常に進化させながら提供する講座です。胎内記憶研究そのものについてのみを学んで頂くのではなく、人間の基礎を築くといわれる、母親の胎内に命が宿す前から命の始まりまでの期間を4つに分け、それぞれの期間に起きている事柄やその意味などを、子どもたちが語る『胎内記憶』に基づいた赤ちゃんの視点から伝えます」
 これまでに講座を受講した人は、育児中の女性に止まらず、独身者、育児が落ち着いた世代の人、医師、助産師、看護師などの医療関係者、 保育士、幼稚園、小学校、高校教諭、アーティスト、カウンセラー、セラピスト、メンタルコーチ、公務員、神職、IT関係者など多岐にわたる。
 受講者からは、「胎内記憶教育は、たくさんの方々にお伝えしたい幸せの魔法だと感じています」「自分としっかり向き合える時間になったと思います」「近い将来、自分の身体とお腹の子との体験談を語れる日が楽しみです」といった感想が寄せられている。
講座を受講することの意義について池川さんは次のように語る。
「『胎内記憶』には賛否両論ありますが、『子どもに胎内記憶があるかもしれない』と意識することで、生まれる前から育児の準備が出来るようになると思います。胎児の時から、五感で認識することができ、感情を持つ一人の人間だと思うと、お腹の中にいる時のコミュニケーションや出産の方法、そして育児について考えさせられるのです。実際、受講して、育児が楽しくなった、より責任感を持てるようになったと語る方が少なくありません」
 日本胎内記憶教育協会では、このほかにも「胎内記憶教育の講師養成講座」や、まだ話せない赤ちゃんと会話する「ベビー手話講座」なども開催している。
 池川さんは、妊産婦血中ステロイド動態に関する研究で医学博士の学位を取得し、約2700件の分娩を手がけた産婦人科医。現在、クリニックでは分娩は行わず、産婦人科・内科、妊娠診断、妊婦健診などに絞って女性の健康管理に力を注いでいる。「胎内記憶」に関する著書は、約100冊ほどにのぼる。
(ライター/斎藤紘)

池川クリニック
TEL/045-786-1122 
Eメール/aikegawa@jcom.zaq.ne.jp
ホームページ 
http://ikegawaclinic.net/


安心をもたらす日々の努力を重視
積極的保育の中核を成す理念実践

送迎バスの悲劇を憂慮
新著で取り組みを紹介


 社会の維持に必要なエッセンシャルワークと位置づけられる保育。そこで求められる最も重要なポイントが「安心」して子どもを預けることができる体制だ。送迎バスに置き去りにされた園児が熱中症で死亡した2021年7月の福岡県中間市の保育園と2022年9月の静岡県牧之原市の認定こども園で起きた悲劇は、この「安心」を根底から突き崩した。政府は再発防止のための緊急対策に乗り出したが、これらの事案を憂慮し、「安心をもたらす日々の努力の積み重ねが大事」と指摘するのが、独自の積極的保育の理念の中核に「安心」を掲げ、実践してきた幼保連携型認定こども園『大東わかば保育園』園長の山本良一さんだ。
 山本さんは、福祉の道を目指して関西学院大社会学部社会福祉・社会学コースで福祉理論を包括的に学び、児童相談所勤務を経て保育の世界に進み、1976年に『大東わかば保育園』を園開、「現実的な諸問題にとらわれずに、子どもの力を信じて伸ばしていくことを第一に考え、安心、信頼、感動を重視して保育に取り組む」積極的保育を実践してきた。この中の「安心」を重視するに至った経緯を新著『保育に哲学を!一 人ひとりの子どもを深く見つめる、真の保育とは?』に書いている。
「保育園をはじめる前の約10年間、大阪市中央児童相談所で児童福祉司として児童相談の仕事に従事しましたが、その時、中学校や小学校、公立保育所などをよく訪問しました。実際に学校や保育所の場に身を置いてみてよく感じたのは、全体的にまとまりがなくバラバラで、時にはトゲトゲしささえ感じる冷たい雰囲気が漂っていることでした。大きくて人が多いこともあるかもしれませんが、これでは子どもたちは落ち着けないし、のびのびできないだろうと感じたものです。また自分自身のこれまでの人生体験や、『人間とは何か』『自分はこの世でどのように生きたら良いのか』を考えるために宗教や哲学心理学などの分野で得たものからも、人間として、よく生き、健全な自己実現を現実のものにするには安心は大切なことであることを知りました」
「安心」とひと言でいっても状況によってニュアンスが異なるが、著書では保育園での「安心」とはどのようなものかについても言及する。
「保育園では、安心という言葉がよく聞かれます。保護者の方からは『安心して働ける』という言葉をよく聞きますし、園の側からは『安心して働いてもらう』『安心して任せてもらう』というような言い方がよくされます。これらが意味することは、保育園の担っている社会的機能としてごく基本的なものです。保護者に安心して働いてもらえるように『事故がなく』『健康面と栄養面において一定の配慮がなされる』とともに『友達や担任の先生との関係が良い状態である』ように園を運営していかなければならないということは言うまでもありません。しかし、ここでの『安心』は、大人の側からのもののように思えます。わかばの保育における『安心』は、もう一歩踏み込んで一人ひとりの子どもに身を寄せ、子どもが一人の人間としてよりよく生きて順調に成長し発達するために、『安心して過ごせる』ことが何より大切だと考えているのです。そのためには、子どもたちが毎日生活する場としての園の保育室だけではなく、園全体がどのような雰囲気であるかが問題なのです」
 山本さんは、「安心」をもたらす具体的な取り組みについて、子ども、職員、保護者の三つの視点から紹介している。
「現実の園において子どもたちが安心して過ごせるようにするには、どうしたらよいのでしょうか。大東わかば保育園では、園長が毎朝7時から登園してくる子どもたちを迎え、子どもたち一人ひとりと保護者と挨拶を交わします。一年のうち数日は、園を留守にすることがありますが、基本的に毎日一人ひとりに声をかけます。そして子どもたちはカバンなどを保育室に置いた後、9時半頃まで園庭や保育室のどこで遊んでも良い自由あそびの時間となります。その際には自由に遊ぶ子どもたちの命のリズムと共鳴するような姿勢で気持ちを込めて見守ります。朝だけでなく、昼食後と夕方4時以降の自由あそびの時も同様です。一人の人間によって見守られることを無意識のうちに感じることによって、子どもたちは安心感を得ているように思います。また、保育士たちの気持ちのゆとりが子どもたちに安心感を与えますが、保育士たちの気持ちにゆとりをもたらすうえにおいても、園長の姿勢や存在は少なからず作用しているように思います」
 職員の人間関係が良いことも重要なポイントと指摘する。
「子どもたちと最も深く関わる職員の人間関係は、良いものでなければなりません。職員間の人間関係が悪くては、子どもは安心できないからです。限られた場所で毎日生活していると確かに色々な行き違いや誤解が起こりますが、そのため日常的に打ち合わせや話し合いを行い、園の基本的な姿勢が『いつも子どもの幸せや成長のために努力するものであること』が空気のように存在していることが大切です。また、専門職としての知識や技能が評価されるとともに『さらに向上しよう』という刺激や雰囲気があること。そしてある段階までは責任を取らなければなりませんが、最後の責任は主任の先生や園長が引き受けてくれることがはっきりしていることも大切でしょう。これらが保育の専門家としての自覚とゆとりを持たせることになり、職場の人間関係を良くしていくように思います」
 職員と保護者との良い人間関係も重視する。
「職員と保護者との人間関係が悪くては、子どもたちは園で安心して生活することができません。時に職員と保護者との間にも行き違いや感情のぶつかり合いが生じますが、翌日顔を合わせた時にいつものように挨拶をしたり、連絡帳や直接の会話によって必要なことを伝えたり、子どもの良い面を知らせたりすることによって関係を修復していくことができます。子どもたちに安心をもたらすために職員間の人間関係や保護者と職員との関係は極めて大切なのです」
 開園して46年、現在、生後2〜3ヵ月の0歳児から就学前の5歳児までの幼児105人が積極的保育の下で元気に成長している。
(ライター/斎藤紘)

社会福祉法人 弘法会 認定こども園 大東わかば保育園
TEL/072-878-4121

技術力で上下水道の長寿命化に貢献
コンクリート構造物工事を一社で完遂

実力を示す耐震化技術
持株社化で経営を強化


 約1400万人が暮らす東京都の最重要インフラである上下水道のコンクリート構造物やパイプラインの長寿命化に貢献してきたのが『東信工業株式会社』だ。その業績を牽引してきたのが二代目代表取締役の山口裕央さん。工事の工法で六つの特許を取得するなど技術開発を主導したほか、受注業務の7割を占めるコンクリート構造物の様々な公共工事を自社で完遂する施工体制を構築、浄水場や水再生センターの耐震化で高い評価を得てきた。
「東京には、水道局が管轄する浄水場や下水道局が管轄する水再生センター、ポンプ所などが数多くあり、経年劣化や、内部で発生するガスなどでコンクリート構造物が傷み、止水、防水、耐震補強、断面修復、防食塗装などの工事が必要なところが少なくありません。これらの工事は、それぞれの専門業者が別々に請け負うのが一般的ですが、当社は様々な工法を取り入れこれらすべてをワンストップで施工し、長寿命化を図ることできるのが最大の強みです」 
 工事現場では、構造物への定着剤の注入や補強鉄筋の挿入などによる耐震化、止水剤によるクラックなどの補修、ライニング材による補強など6種の工法を活用する。パイプラインの工事では、内容に応じて9種の工法を使うが、耐震化工事の一つで注目を集めているのが、地震によって地盤が液状化したときにマンホールが浮上するのを防ぐ工法。山口さんが特許を取得した「マンホールの突き出し及び浮上の防止構造」を基盤に開発した技術だ。
「マンホールが浮上すると下水管などが離脱したり、鉄枠や蓋が路面に突出して車や人の通行に支障を来たしたりする問題がありました。これを解決するため、きわめて簡単な構造で大規模の工事を必要とせず、低コストで短時間の施工作業で済む、トリプルリング加重工法を開発しました。既設のマンホールにも容易に適用できるのが特長です」
 同社は当初、様々な種類の仕事を手がけていたが、父親が他界した後に経営を承継した山口さんは上下水道工事に事業を特化し、業績を伸ばしてきた。2022年9月に同社とグループ関係にある土木工事会社、資機材販売リース会社の3社を束ねるホールディングス会社を立ち上げた。今後は、職業訓練校や人材紹介会社等をグループに加え、人材や資機材の安定確保、雇用機会の拡大、人材育成などで持続可能な経営体制を構築していく計画だ。
(ライター/斎藤紘)

東信工業 株式会社
TEL/03-3849-5357 
Eメール/reception@t-kk.jp
ホームページ 
https://t-kk.jp/

人と未来をつなぐ志事(しごと)
地域住民から愛される足場工事

明るいあいさつが幸を呼び
近隣住民から差し入れも


 塗装や防音工事の作業をするための足場を設置していく足場仮設工事。これに特化した事業を沖縄県で営んでいるのが『沖縄吉村組』だ。水道配管などの設備から高層マンションまで幅広く請け負う。代表取締役の大城大翼さんは、地域柄、荒れた天気になることも多いが、工期を守るためによほどのことがない限り作業を決行して工期を守るという。ともすれば命を落とす危険もありそうな仕事ではあるが、安全を守るために同社が一番心がけていることはチームワーク。作業前の朝礼で作業内容を確認し、危険予知、一人ひとりの意識づけを徹底している。
 コミュニケーションが光るのは、従業員間だけではない。依頼主、施工現場の近隣住民への気遣いも大切にしている。作業前にあいさつをするのはもちろんのこと、通行人や車が通った際にも積極的に声をかけるようにしているという。
「建築関係の人間というとどうしても怖いイメージがあるので、そういうイメージを払拭させるためにこちらから声をかけるようにしています」
 感じの良さが奏して、近隣住民からお菓子をいただくこともあるという。依頼主からならともかく、現場の近隣住民から差し入れを受けるというのは珍しい。こうした仕事ぶりが人を呼び、既存顧客からの紹介で新規案件を獲得することも少なくない。
「人と未来をつなぐ志事(しごと)」というのが同社のキャッチフレーズ。人と人をつなぎ、人から始まる未来を形成していく、という大城さんの思いが込められている。
「その人の成長につながるか、というのが自分の中で大きな判断基準になっています。例えば、すごく光るものがあるけど寡黙になりがちな職人がいて、もったいないなぁと思ったので飛び込み営業をやってもらいました。利益目的ではなく、自分の思いを人に伝える、というメンタルを鍛えるためです。営業をする中で感じ取ったものがあったようで、それから明らかに変わりましたね。そういう従業員の成功体験、失敗体験を聞いて僕も周りも成長する。そうやって、みんなが成長して事業を拡大できたらいいなと思っています。仕事が大きくなればなるほど、学ぶことや気づくことも多くなります」
 あくまでも「人」を重んじ、会社の成長はその先にあると説く大城さんには求心力があり、多くの人から慕われることもうなずける。
(ライター/星野春菜)

株式会社 沖縄吉村組
TEL/098-988-3336
Eメール/soumu@okinawa-yoshimuragumi.com

お家の人間ドックで200項目検査
木造住宅の長寿命化図る事業開始

最新の検査手法を動員
不具合の手当てを助言


 豊かな発想力で居住空間の機能性と快適性を高めるアイデアで存在感を示す『株式会社関西工務店』の四代目代表取締役社長で一級建築士の吉田泰造さんが2023年、戸建て木造住宅を対象にした新たな事業を始める。名付けて「お家(うち)の人間ドック」。一般的な建物診断とは異なり、建築士の視点から選定した200項目ものチェックポイントを様々な手法で調べるシステマティックなスキームが特長で、資産価値の維持だけでなく、子や孫の代への継承も視野に入れたもので、高度の検査技法による医学界の人間ドックにも劣らぬ建物の健康診断だ。
「工務店の仕事の中で、雨漏りがした、家が傾いた、水の流れが悪いなどと言った相談が多くあり、そうした不具合が起こらないように一定の時期に家の状態を調べ、問題があれば手当てした方が家の為にも住んでいる人の為にもいいと考えたのがきっかけです。健康に心配になり始めた人が受けて、対策を講じるようになる人間ドックの理念と同じです。対象は不具合が起き始める築10年ぐらいの住宅で、2021年からチェックポイントや手法を検討してきました」
 検査手法は多岐にわたり、最新鋭の検査機器を動員する。
「屋根の状態はカメラを搭載したドローンで、床下はラジコンカメラで調べます。土台などのコンクリート内部の鉄筋や埋設管は電磁波などを利用する非破壊探査機で確認し、ユニットバスの裏側もファイバースコープで調べます。また、床下の木は水分が多いと腐りやすくなりますので、含水率計を使って検査します。また、耐震診断資格者登録を受けた建築士が建物の耐震診断を行います。検査結果を報告書にまとめます。不具合が起きる可能性があれば、早めの手当てをアドバイスします。50項目の簡易版も用意しています」
「お家の人間ドック」の料金は、200項目検査で45万円、50項目検査で15万円。検査で工事が必要と判断された場合、工事の発注先は依頼主の裁量に任せる。また、報告書は、改正宅建業法で中古住宅の取引に関与する宅建業者が買主などに説明が義務付けられた第三者によるインスペクション(建物状況調査)に利用することができるという。
 吉田さんは、マンション向けのスキームも計画しているほか、この事業を実施する同業者のネットワークを全国に広げる構想も描く。
(ライター/斎藤紘)

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マンション大規模修繕の要点を解説
建築家を講師に東京でセミナー開催

3部構成で参加費無料
管理組合の課題を指摘


「マンションの大規模修繕を計画していますが、セミナーの内容すべてが我々が直面している不安、疑問点で、大変参考になりました」
『K15建築設計事務所』所長の上村允郎さんが講師を務めた「未来を考える大規模修繕セミナー」に参加したマンション管理組合参加者の感想だ。主催したのは関西電力グループのIT企業「株式会社オプテージ」。これまで関西で開催してきたが、2023年3月にはマンションストックが群を抜いて多い東京で初開催する計画で、参加者募集が始まっている。
「2021年末時点の全国のマンションストック総数は約686万戸、そのうち築40年以上のものが約116万戸もあり、大規模修繕対策は管理組合の大きな課題です。ところが、管理組合の多くが、修繕積立金不足や修繕委員会の知識不足、一部の管理会社の不適切な対応、防災などの新たなニーズの拡大、区分所有者の高齢化などの問題を抱えているのが実状です。『未来を考える大規模修繕セミナー』はその課題解決の足掛かりになるもので、参加者がセミナーを高く評価していることからもわかります」
 東京で開催する「未来を考える大規模修繕セミナー」は、これまで関西で行った15回のセミナーと同様に3部構成。第1部では、主催者がセミナーの趣旨を説明、第2部は、ベテランマンション管理士がマンション管理の最新事情や標準管理規約の改正と新制度などについて解説。上村さんは第3部に登場し、賢く進める大規模修繕と題して長期修繕計画書の見るべきポイントや大規模修繕工事のコスト削減できるポイントなどについて詳しく話す。定員は会場参加、オンライン参加とも30人で、いずれも参加費は無料。主催する「オプテージ」の専用サイトから申し込む。セミナー参加者の中から、2022年度~2024年中に大規模修繕工事を検討している分譲マンションを所有または居住していることなどを条件に、限定3組合にマンション管理土、設計土などの修繕工事の専門家による出張勉強会を無料で提供する特典もある。
 上村さんは、マンションの構造、劣化プロセス、劣化診断技術、修繕工法、修繕に利用できる金融制度などに精通しているだけでなく、非破壊調査会社や先進的な建材開発に取り組むメーカーなどと提携関係を構築し、年間10件の大規模修繕を支援している。
(ライター/斎藤紘)

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