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清水雪夫社長。
見事に整理整頓された社内。非常時でも避難を容易にし、復旧作業も迅速に行える。
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日常業務を丁寧に、整理整頓を確実に行うことが
震災後の不安を解消し、普通の生活を取り戻す
大震災から２ヶ月経った今も、日本中がストレスと不安に覆われている。実際に被災した方以外でも、物資・原発への不安、余震への恐怖でなかなか以前の日常に戻れない人は多いだろう。計画停電により生活のリズムが崩れ、不調を訴える人もいる。そんなときに心のバランスを取り戻すのに有効なのは、出来るだけいつもの生活を続けることだという。
『有限会社 トライコーポレーション』は、ネジや半導体をはじめ、さまざまな部品の運搬・管理を手がけている会社だ。震災後も節電に気をつけながら、なるべく通常業務を行うように努力している。あれほどの大きな地震があったにも関わらず、復旧への対応は迅速だった。その理由は、日ごろの徹底的に整理整頓された社内、システム化され整然とした業務分担にあった。同社は、大きいものから小さなものまで、たとえひとつ10円のものであっても、１円のものであってもなくなってはならない、と注意深い取り扱いに加え、社内の美しさはピカイチ！整然と並べられた荷物、ゴミひとつ落ちていない清潔な床面がまぶしい。在庫管理は驚くほど完ぺき。品物ごとに台帳をチェックして照合するのは当然のこと、伝票と台帳を確認し、毎月社員全員で在庫数を数えてパソコン上にデータをアップする。どれだけの時間がかかろうとも、この作業を大切にし、在庫管理が終了したら、ＰＤＦデータにして顧客に送るという念の入れようだ。だから、必要な時に必要なものを確実に探すことができる。初めての顧客であっても、整理整頓された社内をみれば、信頼に足るパートナーだと確信するだろう。「整理整頓に気を使うのは、私たち自身も気持ち良く爽やかな気分で働けますし、来社されたお客様も気持ちがいいからです。さらに従業員同士も話がしやすくなるのでコミュニケーションが円滑になります」と話すのは、同社の代表取締役社長・清水雪夫氏だ。清水氏は鹿児島県の高校を卒業し、紳士服業界に務めた後、会社の東京進出にあわせて東京へ。その後30歳で料理業界へ転身し、数年後に現在も従事する物流業界に転職した。複数の業種での経験を土台にして、自らの会社を興したのだ。「今の仕事とは全く異なる分野においてですが、高校を卒業して以来の12年間で世の中にはいろんな人、いろんな考えを持った人がいるということを身をもって経験できたのです。だから今、無理難題と思えることに対しても決して驚くことはありません。かえって、どうすればその問題に応えられるかと必死で考えるのです」と社長は前向きに話す。このバイタリティが、震災後すぐに業務を再開させ、普通の生活を取り戻した原動力でもある。そして重要なのは、同社が日ごろから整理整頓を心がけ、毎日の業務をルーティンワークだと惰性的に行わず、常に完成度の高い仕事を続けてきたということだ。〝初心を忘れない〟〝品物の誤差を出さない〟〝社内美化の徹底〟という清水社長が掲げた大きな３つの方針を守り続ける同社。ひとつひとつ丁寧に安全に、質の高い業務を日常的に遂行することが、非常時でもすぐに普段の生活に戻り、安定した精神状態を保つ秘訣だと教えられる。
（ライター／奈須美子）
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