注目情報はこれだ! 2019


イギリス生活情報誌 
月刊
ミスター・パートナー
〒160-0022
東京都新宿区新宿
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魅力ある中小企業が熊本にもたくさんあるとアピールするために県が創設したブライト企業認証制度で士業で当時では唯一認定を受ける。

熊本本部代表 岡野訓(さとる) さん
大阪教育大学卒。肥後銀行、会計事務所を経て、て2001年に税理士登録。2003年「優和コンサルティング」代表取締役。2008年「税理士法人熊和パートナーズ」代表社員就任。2015年『税理士法人さくら優和パートナーズ』に組織名を変更。
下左:鹿児島本部代表 岩元耕児さん
下右:福岡本部代表 藤田ひろみさん
中小企業の支援で実績際立つ
総合シンクタンク事業を牽引

事業承継の最適解追求
域外市場開拓の支援も


「記帳や税務申告など税理士業務の多くはこれから先、AI(人工知能)に取って代わられるといわれています。だからこそ、人にしかできない経営支援の分野にこれからも注力していきたい」
 一人で始めた税理士事務所を他の事務所との合併を経て、約100人のスタッフを擁する九州最大級の事務所に成長させた『税理士法人さくら優和パートナーズ』の熊本本部代表岡野訓さんの決意だ。その活動は、経営者の高齢化に伴って社会的課題に浮上した事業承継、経営黒字化、資産形成を3本柱に中小企業の直接的な経営支援に止まらず、書籍や講演、セミナーによる啓蒙活動まで幅広い。
 岡野さんが築いた事業のプラットフォームは、相続専門的の税理士、事業承継に特化した税理士、事業計画や事業再生を専門とする税理士などの専門部隊で構成され、実践する経営支援のフレームワークは多角的で細部の課題も見逃さず、企業が置かれた地域特有の課題にも向き合う。事業承継支援はその典型だ。
「事業承継支援は、雇用を守る必須の柱ですが、現実は若者の地元離れが止まらず、熊本でも約7割が県外の大都市に就職してしまうために地元企業が後継者不足で廃業してしまうケースが少なくありません。魅力的な企業が後継者不足で廃業することがないよう事業を継続してくれるパートナーとのM&A(合併・買収)の斡旋を行い、身内に後継者候補がいる場合は、事業承継税制などを使って承継しやすくするといった支援も行っています」
 もう一点、岡野さんが力を入れているのが域外市場開拓の支援だ。
「九州では、福岡地域への一極集中が加速し、福岡以外の地域に本拠を置く中小企業は徐々に市場が縮小していくことが予想されます。これからは、人口増や経済発展が見込まれる地域をいかに市場として取り込んでいくかが重要テーマとなっていきます。当法人では、福岡、熊本、鹿児島の3拠点で、県外市場へ積極的に出て行こうとされる経営者様へのきめ細かいサポートで実績を重ねています」
 啓蒙活動で際立つのが情報発信のスピードだ。年明け早々の1月に「平成31年度税制改正解説セミナー」を開催したのは一例。また、2018年11月に出版した共著書「実務目線からみた事業承継の実務 三訂版」など、執筆した著書は深い知見と実践論に裏付けられて精緻だ。
 九州全域に2400社超の顧客を抱え、年間数十件の事業承継案件を解決に導き、総合シンクタンクとして存在感が高まる一方の同法人を牽引する岡野さんの思考回路を占めるのは、中小企業のCFO(最高財務責任者)としての役割を果たすことだ。
(ライター/斎藤紘)

税理士法人 さくら優和パートナーズ
TEL/096-341-1555
<福岡本部>TEL/092-441-0012 <鹿児島本部>TEL/099-260-0100
ホームページ https://s-ket.com/

所長 志賀暎功 さん
1958年、東京国税局総務部採用、税務講習所で1年間研修、その後、成田、日本橋などの税務署で税務調査官として納税者に向き合う。国税局資料調査課を経て、1985年、王子税務署を退職、税理士を開業。共著書あり。
下:「これ1冊で安心/ 歯科医院経営のすべてがわかる本」
(あさ出版)2,700円+税
「相続は準備が9割」
(あさ出版)1,600円+税
「相続の税金と対策これだけ知っていれば 安心です」
(あさ出版) 1,600円+税
メリットの多い家族信託推奨
高齢化時代の賢い財産管理策

遺言の機能を合わせ持ち
積極的な資産活用も可能


 高齢化とともに、2025年には65歳以上の高齢者の約5人に1人が認知症になると推計される時代、元気で判断能力があるうちに財産の管理を任せ、財産をきちんと受け継いでもらう方法として注目されているのが「家族信託」だ。国税庁出身の税務のスペシャリスト、『志賀暎功税理士事務所』の所長志賀暎功さんは、メリットだけでなく注意点も含めた「家族信託」のスキーム全体を俯瞰し、相談者にとって最も有効な道を提示する精緻な仕事ぶりで存在感を高めている税理士だ。
「信託とは、自分の財産を信頼できる人に託し、自分が決めた目的に沿って大切な人や自分のために運用・管理してもらう制度で、それぞれの立場から委託者、受託者、受益者といいます。『家族信託』は、受託者が信託報酬を得ない民事信託の一つで、家族や親族を受託者として財産管理を任せる仕組みです。受託者には、信託財産の現状を維持するための保管・保存行為、賃貸などの収益を図る利用・運用行為、権利取得や借入行為など幅広い権限が認められています。信託事務に不安が残る場合には、受託者監督人として弁護士や司法書士を選任することも可能です。受益者は、委託者自身、個人、法人、権利能力のない社団、将来生まれる子孫でも差し支えなく、複数でも構いません。二次相続以降の財産承継者まで決定できる受益者連続信託という信託も可能です」
 志賀さんは、「家族信託」のメリットとして、①委託者の体調や判断能力に左右されずに財産の管理処分が実現できる ②成年後見制度の代用としての柔軟な財産管理が実行できる ③遺言の機能として財産の承継者を契約書の中で指定できる上に受託者の下で財産の管理が可能になる ④自分の思い通りの資産承継の道筋が実現できる ⑤不動産の共有回避や共有不動産の塩漬け予防が実現できる、の5点を挙げる。注意点としては、信託不動産に関する損失は信託財産以外からの所得と損益通算して課税対象の所得を減らすことができないことや、信託財産以外の財産について遺産分割協議を排除するには別途、遺言書を作成して遺産の相続人を指定しておく必要があることなどを指摘する。
「認知症などで判断能力が万全でない方のために専門職後見人が財産管理などを行う成年後見制度は、家庭裁判所などによる制約が課せられますが、家族間の信頼が基礎になる家族信託は、本人の希望に沿ってさえいれば、柔軟な財産管理や積極的な資産活用が可能になります。家族信託の仕組みを導入する際には、法律専門職の全面的なサポートが必要となり、初期費用はある程度発生しますが、スタートした後は、受託者の報酬を設定した場合を除き、ランニングコストは想定されません。高齢化時代の財産承継の仕組みとして検討に値する制度です」
(ライター/斎藤紘)

志賀暎功税理士事務所
TEL/03-5832-9941 Eメール/ta-shiga@ams.odn.ne.jp
ホームページ http://www.shiga-tax-ao.com/

業務内容:法人税・所得税・消費税・相続税・贈与税の申告、節税相談、住宅用マンション消費税還付申告、相続フィナンシャルプラン、税務調査など。

著書「相続税、贈与税、譲渡、法律 完全攻略」(2016/8/25)「もっと下がる相続税 世の中のウソにだまされるな!!」(2015/7/8)「相続税・消費税増税! 勉強しないと資産はなくなります」(2014/6/25)「相続税増税、あなたの家は大丈夫?」(2013/7/19)など。

所長 田中美光 さん
中央大学商学部会計学科卒。大手会計事務所勤務を経て、1995年、税理士登録、『田中会計事務所』を開業。不動産投資、法人、個人を対象に消費税還付、相続対策、節税対策、キャッシュフローの改善などの支援で実力発揮。
消費税還付連続100%成功
最新の節税スキームを開発

増え続ける新規の顧客
深い知見裏付ける著書


 消費税還付申告のサポートで22年連続100%成功、総額60数億円以上にのぼる還付実績を収めた税理士がいる。『田中会計事務所』の所長田中美光さん。不動産、相続に関する深い知見を武器に税金対策で納税者の立場に立つ「闘う税理士」の異名で全国に知られ、年間120件以上新規のクライアントを増やし続け、その9割以上が不動産所得のある法人や個人という凄腕の節税ドクターでもある。
 消費税還付を巡っては、かつて自販機スキームと呼ばれた消費税還付スキームが注目を集めた時期があった。課税期間中の売り上げを自販機の売り上げで確保しながら、同じ期間に建物の消費税を支払うと、課税期間中の自販機の売上消費税が少なく、建物の仕入れ消費税が高額となるため、支払った消費税額がほとんど還付されてくるという仕組みだったが、平成22年の税制改正で塞がれた。その後、新たな消費税還付スキームが考え出されたが、平成28年度の税制大綱で歯止めがかけられるという経緯をたどっている。
 こうした中、様々に工夫して今でも消費税還付を受けることができる最新のスキームを開発したのが田中さんだ。
「その仕組みは、簡略して説明すれば次のようになります。消費税還付を受けるためには、まず投資家が会社を設立して消費税の課税事業者になる必要があります。消費税の課税事業者でなければ当然、還付もないからです。その上で、建物の取得期に家賃収入などの非課税売上を0円にすることや取得後3年間は一定の課税売上を維持することなど、いくつかの条件を満たす工夫をして還付申告するのです」
 田中さんの消費税スキームは、相続した賃貸用不動産にもメリットがあるという。
「相続した賃貸用不動産から発生する所得税や住民税は、一部を法人化することで顧客の負担を減らすことができます。最初に登録免許税や不動産取得税がかかりますが、消費税の還付とこれらの費用を相殺できるのです」
 大手会計事務所勤務を経て、1995年に税理士登録後、『田中会計事務所』を設立した田中さん。その知見は、「相続税、贈与税、譲渡、法律完全攻略」「もっと下がる相続税 世の中のウソにだまされるな!!」「相続税・消費税増税! 勉強しないと資産はなくなります」など多数の著者や共著書に投影され、自身でも収益不動産10棟と太陽光発電22基を保有し、その体験談も交え全国各地で消費税還付セミナーを開催している。
(ライター/斎藤紘)

田中会計事務所
TEL/03-6659-4848 Eメール/HPのお問い合せフォームからご相談下さい。

左上:カンボジア日本技術大学開校式 2018年9月1日プノンペン
内科、外科、整形外科、小児科、肛門科、呼吸器科、消化器科、循環器科、脳神経外科、眼科、皮膚科、泌尿器科、リハビリテーション科、歯科、透析センター、薬剤科、放射線科、臨床検査科、栄養科などチーム医療で構成。

理事長・院長 野尻眞 さん
1975年関西医科大学卒。岐阜大学医学部附属病院や公立病院で勤務医を経験後、父親が創立した『白川病院』に入職。1980年に理事長、1982年に院長に就任。日本外科学会専門医、日本消化器外科学会、日本温泉気候物理医学会認定温泉医、日本東洋医学会専門医、日本園芸療法学会副理事長。
医療・福祉のユートピアは
若者が働き甲斐のある職場

国際交流を含め人を大切にする
地域包括ケアの理想形


 高齢化率が40%を超え、超高齢社会のモデルといわれる岐阜県白川町に包括的な医療・福祉のユートピアを形成して「しらとぴあ」と名付けた。73年の歴史を刻む『医療法人白水会白川病院』は、地域住民の健康を支えるだけでなく、理事長で院長の野尻眞さんの確固たる方針の下、若者の雇用と働きやすい労働環境を整備、維持してきた。
 組織の運営は、「人・物・金・情報・時」が重要で特に「人」を大切にしたい。組織図はピラミッドを考えがちだが、白川病院は時計を想定し、それぞれの歯車が上手くかみ合って時を刻むように総合・チームワークを目指している。病院を新築移転した1981年から看護と介護のどちらも専門職とみて「チームセンター」を設置、ナースステーションはない。そこには、看護師長も介護士長も必要。
 とりわけ介護は、『環境と生活の専門職』。できれば給与体系も看護・介護同じ総合職でありたい。創立70周年の2016年には、『総合職介護科長』を任命し、マスコミも取り上げた。しかし、診療報酬体系では、介護福祉士の国家資格者を『看護補助者』の名称で片付けるのはおかしい。
『白川病院』は、眼科、歯科も含め13の診療科と一般病床39床、包括ケア病床20床、医療療養病床65床を擁するケアミックスの124床で運営している。透析センター、リハビリ室、リハビリ庭園、ヘルパーステーション、地域包括支援センター、在宅介護支援センター、デイケアセンターなどで構成。高齢者住宅や共同で生活するグループハウスもある。医師や看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、ケアマネジャー、社会福祉士、保健師など多くのスタッフが献身的に働いている。
「医療、福祉はそれを支える人材が必要です。働きやすく、働き甲斐のある職場を目指して努力し、院内研修や新人指導を充実させてきました。その甲斐があって、スタッフ同士の人間関係が良く、お互いに助け合い、同僚たちが親切に教えてくれますし、いつも新しいことにチャレンジしています。職員旅行やウォーキング大会、全体の大忘年会などスタッフの親睦を深めるイベントも数多く設けていますし、職員住宅も完備しています」
 次に、2018年9月1日、カンボジア日本技術大学石郡英一学長がカンボジアの首都プノンペンにオセアン地域初の介護4年制大学を開学した。同院から理事長以下3人が出席。カンボジア人で日本式介護を目指す介護技能実習生を近未来受入れ、介護の技術実習・超高齢社会の生き方・日本の文化を学ぶ国際交流に参加したいと考えている。
 同病院の起点は、野尻さんの父、故元廣氏が無医村だった故郷の旅館の一室で1946年に開業した医院。早世した父親の後を継いだ野尻さんは、着々と地域包括ケアの先端を行く医療・福祉体制を築いてきた。
 住民の健康を守り、スタッフの労働環境を整えてきた野尻さんの情熱を支えているのは、古代ローマ帝国の皇帝に仕えた侍医Dr・ガレンの今に残る言葉、「最高の診療は医師と患者の限りない信頼と深い愛情の上に築かれる」だ。
(ライター/斎藤紘)

医療法人 白水会 白川病院
TEL/0574-72-2222 Eメール/shirakawahp5770@yahoo.co.jp
ホームページ http://www.shirakawahp.com/

上:『オープンステントグラフト』図
中上:Dr.中尾の手術見学に来られた台湾Drたち。
中下:台湾心臓部外科学会にて。(左からDr.Wu、Dr.中尾、Dr. Chu)
中右:公開手術。(左がDr.中尾)
副院長 兼 心臓血管外科主任部長 中尾達也 さん
広島大学医学部卒。2014年『新東京病院』副院長兼心臓血管外科主任部長。三学会構成心臓血管外科専門医。三学会構成心臓血管外科専門医認定機構修練指導医。日本冠疾患学会評議員。腹部、胸部ステントグラフト実施医。
大動脈瘤の低侵襲手術を推進
オープンステントグラフト法

国内屈指の実績重ねる
台湾での初症例を指導


 破裂すると生命の危機につながる大動脈瘤の最も進んだ治療法が『オープンステントグラフト法』。台湾・台北市の国立台湾大学で2018年4月、この手術に用いるオープンステントグラフトの保険償還が台湾で決まった後の初症例となる手術に立会い、指導した日本人医師がいた。千葉県松戸市の『新東京病院』の副院長兼心臓血管外科主任部長中尾達也さん。『オープンステントグラフト法』による手術で国内屈指の実績を重ねるだけでなく、その普及にも力を注ぐ心臓血管外科専門医だ。
「大動脈瘤は、心臓から全身に血液を送る重要な血管である大動脈にコブができ、破裂すると激痛を伴うショック状態から心停止、呼吸停止に至り、生命の危機につながる病気で、高齢者に増えています。『オープンステントグラフト法』は、患部の血管にステントグラフトという金属製の骨組みに支えられた人工血管を挿入する方法です。胸を開けて行うのが特長で、患部を直視できるのでステントグラフトを確実に留置できるだけでなく、コブができた血管を人工血管に換える人工血管置換術よりも傷口が小さく済み、身体的な負担が軽い手術法です。高齢者や他の心疾患合併で同時手術を要すケースにも行え、胸部真性や急性、慢性解離性大動脈瘤などあらゆる形態の動脈瘤に対して有効です」
 日本発の『オープンステントグラフト法』は、世界でもFrozen Elephant Trunk Techniqueとして認知され、中尾さんが用いるステントグラフトは「下町ロケットの医療版」と中尾さんが評価する日本ライフライン社の「FROZENIX」。2014年から保険適用が認められ、その進化形である「J Graft FROZENIX」は、2018年5月から保険適用が開始された。より安全、確実な留置のためのガイドワイヤールーメンを新たに搭載したほか、先端チップがより柔軟になり、大動脈の形状に合わせやすくなっている。
 中尾さんが2014年7月から施行したオープンステントグラフト手術は百数十例にのぼり、国内トップクラスだ。この手術法を海外に普及させるために、国立台湾大学での手術指導のほか、2018年11月には台湾の医師数人を新東京病院での中尾さん執刀の手術の見学に招待、11月には台湾胸部心臓外科学会でのランチョンシンポジウムで招聘講演も行った。
『新東京病院』の心臓血管外科は、歴代部長を国内外屈指の名医が務めた名門診療科。大動脈瘤治療だけでなく、大動脈弁狭窄症に対するTAVI(タビ 経カテーテル大動脈弁治療)などでも実績を重ねている。
「適正な治療法の普及を図ると同時に、治療結果はデータ化して公開し、日本の医療界全体のレベルアップに貢献していきたいと思っています」
(ライター/斎藤紘)

医療法人社団 誠馨会 新東京病院
TEL/047-711-8700

上左:『クライオバルーンカテーテルアブレーション』
下右:コンピュータの3D画面でカテーテルの操作をサポートする3Dマッピングシステム。

講師・診療科長補佐 河村光晴 さん
昭和大学医学部卒。2006年、医学博士の学位取得。カリフォルニア大学留学を経て2014年『昭和大学内科学講座循環器内科学部門』講師。日本循環器学会認定循環器専門医。日本不整脈心電学会認定不整脈専門医。
危険な不整脈の治療に最新の技術を導入
低侵襲の冷凍バルーンによる心筋焼灼術

血管損傷等合併症回避
3D画像使う高精度手術


 冷凍風船を使って重篤な不整脈を治療する。不整脈治療のスペシャリスト『昭和大学医学部内科学講座循環器内科学部門』の講師河村光晴さんが2018年から本格化させた『クライオバルーンカテーテルアブレーション(経皮的カテーテル心筋冷凍焼灼術)』。クライオは冷凍、アブレーションは除去、切除、融除を意味し、電気メスを使う高周波カテーテルアブレーションと比べて手術時間が短く、合併症も少ない低侵襲な最先端の治療法だ。
「心臓の拍動のリズムが不規則になった状態を不整脈といいますが、中でも、危険なのは心室頻拍と心房細動。心室頻拍は心臓に病気がある方に発生しやすく、ときに心不全の悪化や突然死の原因となることがありま
す。心房細動は、心房内に流れる電気信号の乱れが原因で血液をうまく全身に送り出せなくなり、脳梗塞を導く恐れがあります。こうした危険な不整脈に対し、高周波カテーテルアブレーションで治療実績を重ねてきましたが、より低侵襲のクライオバルーンカテーテルアブレーションを導入し、患者さんの治療の選択肢を広げました」
『クライオバルーンカテーテルアブレーション』は、中医協の先進医療会議でも画期的な治療法の進歩と評価された治療法だ。
「『カテーテルアブレーション』は、不整脈を引き起こす心臓内の伝導異常のある局所にカテーテルを使用して焼灼を行い、正常なリズムを取り戻す方法です。
『クライオバルーンアブレーション』は、やわらかいクライオバルーンを肺静脈に押しつけ、バルーン内に液体の亜酸化窒素を流し、気化する際に熱を奪う作用を用いて、冷却、隔離し、電気的興奮や伝導を抑制して不整脈
を発生させないようにする治療法です。高周波アブレーションでは、カテーテルを動かしながら肺静脈の周囲を焼灼しなければならず、カテーテルの操作による心血管損傷や血栓などが懸念されましたが、『クライオバルーンアブレーション』はカテーテルを細かく移動させる必要性はなく、こうした懸念はなくなりました」
 手術では、コンピュータの3D画像でカテーテルの操作をサポートする3Dマッピングシステムを活用し、高い精度の手術を実現する。
「手術が的確に行えるよう前日からイメージトレーニングを行い、何かあっても早急に対処できるよう万全な体制で臨んでいます」
(ライター/斎藤紘)

昭和大学医学部内科学講座循環器内科学部門
TEL/03-3784-8000 Eメール/showaikyoku@gmail.com
ホームページ http://showa-cardiology.jp/

下:手術支援ロボット『ダヴィンチ』

泌尿器科・腎移植外科長 古家琢也 さん
国立大学法人弘前大学医学部卒。2006年、弘前大学医学部附属病院講師。2012年、弘前大学医学研究科准教授。2018年8月より岐阜大学医学部附属病院泌尿器科・腎移植外科長。医学博士。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医。
泌尿器手術で低侵襲性を追求
先進医療に積極的に取り組む

操作性に優れた手術法
手術支援ロボット活用


「ロボットを用いて我々は何ができるのか? 高悪性度腫瘍に対する挑戦」
 福岡市で行われた学術講演会で、『岐阜大学医学部附属病院』の泌尿器科・腎移植外科長古家琢也さんが行った講演のテーマだ。病院でも、大学の研究科でも、現行医療水準の一歩先を目指して多角的に研究を進め、受診者の負担の最小化と治療効果の最大化を追求する姿勢が鮮明な医学博士。その象徴がミニマム創内視鏡下手術や手術支援ロボット『ダヴィンチ』を利用した先進的な治療だ。
「前立腺がんや腎がん、膀胱がん、副腎腫瘍など泌尿器科分野の疾患の治療で行われる手術は、腹部を20㎝以上も切開する開放手術から腹部に5㎜から2㎝ほどの小さな孔を3~4ヵ所開けて内視鏡カメラやメスなどを挿入し、腹腔に炭酸ガスを注入して膨らませて行うより低侵襲の腹腔鏡下手術へとシフトしてきました。ミニマム創内視鏡下手術は、その進化形ともいえるもので、内視鏡下手術の低侵襲性と開腹手術の操作性という双方のメリットを備えた先進医療です」
 ミニマム創内視鏡下手術は、対象となる臓器を取り出せる小さな創傷だけで手術が完了するのが特長だ。
「手術は、まず5㎝前後の創をひとつ作り、その創傷からワーキングスペースとなる広い剥離腔を確保し、内視鏡や手術器具を挿入して対象となる臓器を切除し摘出します。ワーキングスペースを腹腔外に鈎を使って作るので、静脈血栓や肺梗塞などの合併症を生じる可能性が無視できないガスで腹腔を膨らませる必要はありません。腹膜外アプローチで腹膜をほとんど傷つけず、術後、内臓の癒着などのリスクも回避できます。操作性の点では、がんなどの疾患の進み具合や癒着によって創傷のサイズを調整できるのが最大のメリットです」
 手術支援ロボット『ダヴィンチ』による手術は侵襲性がさらに小さくなる。
「『ダヴィンチ』では、孔の大きさは8〜12㎜と小さく、出血量が20〜100㏄と少ないのが特徴です。医師は手術台から離れたサージャンコンソールで画像を見ながらロボットアームと連動した内視鏡カメラなどを操作して手術します。患者負担が少なく、安全性も高い術式です」
 膀胱がんなどで膀胱を摘除する場合、出血量の多さが課題だったが、古家科長は膀胱全摘除に『ダヴィンチ』を採用し、その後の尿路再建のための小腸を使った新膀胱造設でも技術の高さを示してきた。
「『ダヴィンチ』を適用するためには、がんが周囲に広がっていないといった適用条件がありますが、今後主流になっていくべき術式であり、より再現性の高い術式の確立や人材の育成に力を入れていきたいと思っています」
(ライター/斎藤紘)

岐阜大学医学部附属病院
TEL/058-230-6000
ホームページ https://www.hosp.gifu-u.ac.jp/

左上:2017年症例数
内視鏡的結石破砕術(経尿道的治療、TUL)422例(国内2位)、内視鏡的結石破砕術(経皮的治療、PNL)142例(国内1位)
中:2017年症例数 体外衝撃波結石破砕術(ESWL)200例

副院長 松崎純一 さん
横浜市立大学卒。神奈川県立がんセンターなどを経て、2002年『大口東総合病院』泌尿器科部長。2015年、副院長。医学博士。日本尿路結石症学会、日本泌尿器内視鏡学会評議員。著書に「経尿道的尿管砕石術−安全・確実なTULの手術手技」。
激痛に襲われる尿路結石を
症状見極め最適手術で治療

内視鏡治療で示す実力
国内屈指の手術施行数


 痛みの中でも最も激しい疝痛(せんつう)に襲われ、発熱、吐き気、血尿などの症状が出る尿路結石。日本人の10人に1人が一生に一度は経験するというこの疾患の診療に関わる全ての医師にとって必携の1冊が「尿路結石症診療ガイドライン」だ。『大口東総合病院』の副院長兼泌尿器科部長松崎純一さんは、その作成に携わった医学博士。同泌尿器科で行う尿路結石手術は、年間約1300件にのぼり、国内屈指の実績だ。
「血液中で不要となった老廃物が尿の中に溶け込んで結晶化したものが尿路結石。結石の成分は数種類あり、8〜9割を占めるのがカルシウム結石で、中でも特に多いのがシュウ酸と結合するシュウ酸カルシウム結石です。多くの場合、腎臓の中にできますが、尿管に出て途中で挟まって尿の流れが遮断されると、腎臓の内圧が上昇、腎臓の表面を覆う腎被膜が引き伸ばされて痛みが出るのです。痛むのは腎臓そのもので、どんな気丈な人も救急車を呼ばざるを得ないほどの痛みです。男女比が2・4対1と、圧倒的に男性に多いことも尿路結石の特徴です」
 治療は、石がある部位、大小、硬軟によって対応が異なるという。
「CTスキャンで結石の硬さを把握し、石が軟らかく割れやすい場合には体外衝撃波結石破砕術(ESWL)、硬い場合は内視鏡治療を行います。体外衝撃波結石破砕術は、石の場所に焦点を合わせ体外から衝撃波で砕く治療です。砕かれた石は、自然に尿とともに出てくるのを待ちます。この治療の利点は、日帰りが可能で痛みも軽く、患者さんの負担が少ないことです。座薬や痛み止めの点滴など無麻酔に近い状態で実施可能ですが、粉々に割れないと途中で詰まって再び激痛が起こるうえ、石を完全に取り除ける内視鏡治療に比べると再発率が高いのが難点です」
 内視鏡治療にも2種類あるという。
「内視鏡治療には、尿道から内視鏡を入れる経尿道的結石破砕術(TUL)と、背中から腎臓に穴を開けて内視鏡を入れる経皮的結石破砕術(PNL)があります。よく行われるのは、経尿道的結石破砕術です。細くて曲がりやすい内視鏡を尿道から膀胱を経由して腎臓の隅々まで挿入し、レーザーなどで石を砕きます。そのまま体外に除去することができるのが特長です。結石が2㎝以上であれば、背中から腎臓に穴を開けて石を砕く経皮的結石破砕術を推奨しています。大きな石にも対応できるのが利点ですが、血液が網目のように流れている腎臓に穴を開けることによる大量出血のリスクが問題です」
 尿路結石は、再発率が高いのが特長で、カルシウム結石は5年で45%も再発するといい、予防のポイントとして松崎さんは、水分摂取と運動、バランスの取れた食事を挙げる。
(ライター/斎藤紘)

特定医療法人財団 慈啓会 大口東総合病院
TEL/045-401-2411
泌尿器科 営業時間/8:20〜11:00 12:00〜15:00


[イギリス生活情報誌]月刊 ミスター・パートナー 〒160-0022 東京都新宿区新宿2-15-2 岩本和裁ビル5F TEL.03-3352-8107 FAX.03-3352-8605