日本が誇るビジネス大賞 2018


イギリス生活情報誌 
月刊
ミスター・パートナー
〒160-0022
東京都新宿区新宿
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髙橋正二さん
神奈川県出身。山梨県庁で林業改良指導員(Ag)や林道の測量・設計に30年間従事する。退職後、帰郷し、森林組合の参事を2年間務めて、林業経営の知識を深める。49歳で独立『株式会社高橋林業』を設立。経営基盤の強化に努めると同時に、手厚い福利厚生を整えて人材育成に注力、林業のイメージ刷新に意を注ぐ。
『森林環境税』による
市町村の動向

『森林環境税』が平成31年に導入されることが決まった。不在村地主や所有者不明地の増加で森林が放棄され、山が荒れ放題となったことによる災害や被害が国民全体にまで及ぶようになってきた、その現状を打開しようとするものである。また林業は、3K・4K、といわれ、林業の担い手が不足している現状から、林業に従事する人たちの労働環境をも変えようという狙いもあるようだ。
 課税は国民一人当たり1000円。1割を県が、残り9割を森林面積別などにより市町村に分配される見込みだ(神奈川県内の市町村に配分される税は約36億円となる)。これにより市町村の予算配分は森林関係への大幅な増額が見込まれ、農林課関係の人員も大幅に増員されることになると思われる。とりわけ市町村においても専門職を採用せざるを得なくなると思われるし、当分の間県職員(OBを含む)などが技術的な指導や助言を行うことになると予想される。
「私は、『森林環境税』が軌道に乗るのには10年、20年の年月を要するのではないかと思っている。市町村においては、職員の研修や講習と勉強会を重ね東奔西走することになると思われる。山、そして森林を長い年月放置した結果、大きなツケが大きなうねりとなって市町村にまわってきたように私には思えてならない。市町村の予算の配分でも林務関係への増額も迫られ結果として、私は国民一人当たり1000円の税負担も順次増額せざるを得なくなると思われる」
 現状では森林面積が70%以上を占める町村ほど林務関係の予算が少なく、今まで以上に予算配分することは困難なことだと推測されるが……。日本が各国に先駆けて森林環境税の導入を決めたことはすべての国々に一石を投じ、力強く発進しだしたように思える。
(ライター/大嶋ひかり)

『森林環境税』について
 森林を整備することは、地球温暖化防止のみならず国土の保全や水源の涵養、地方創生や快適な生活環境など、その効果は国民一人ひとりが恩恵を受けることになります。
 しかしながら、森林整備を進めるに当たっては、立木価格や木材価格の下落に高齢化、そして後継者不足などにより森林所有者が森林整備をできない状況にあり、手入れの行き届かない森林が増え、また不在村地主の増加により境界未確定森林が増加してきています。また、近年は森林整備の担い手が不足していることが大きな問題となってきました。
 パリ協定の枠組みの下において、温室効果ガス排出削減目標を早く達成することや、大規模な土砂崩れや洪水・浸水といった都市部の住民にも被害が及ぶ災害から住民を守るには森林の適切な管理及び整備を施工することが必要と判断されました。
このため、平成31年度税制改正において、市町村が主体となって実施する森林整備などに必要な財源を目的とした『森林環境税』が創設され、市町村が個人住民税と併せて徴収することが決まりました。課税は国民一人当たり年額1,000円です。(復興特別税が平成35年に終わり、平成36年に『森林環境税』に切り替えられて始まります。)
 また、市町村から都道府県を通し国に払い込まれた『森林環境税』は、森林の整備などの財源に充てるため国から市町村と都道府県に対し、平成31年度から森林の面積割合などにより譲与されます。『森林環境税』の徴収は平成36年からとなりますが、森林の現状をできるだけ早期に改善する必要があるので、平成31年から平成35年までの間は創設時の経過措置をとり借入金をもって対応することが決定されました。
参考文献:環境省ホームページを参考。

市町村で使用する『森林環境税』の使途
• 新たな管理システム
• 林業事業者とのマッチング
• 森林の調査、境界確認
• 契約の締結
• 森林の管理・整備
• 森林整備に係る調査や設計
• 間伐、枝打などの森林整備事業
• 作業道、作業路の開設、改良、維持管理、また修理
• 植生保護工の設置(シカ、イノシシ、クマ、サル、アライグマなど)
• 担い手の育成
• 地域事業体の労働環境の改善や支援
• ボランティアの育成や支援
• 木材利用の促進
• 公共施設の木造化、また、小中学校の机や椅子の木造化
• 木材物品の調達
• 国産木材の普及(イベント、パンフレットなど)
• 工務店や材木店への支援
• 森林環境学習
• 地域における、植樹祭や育樹祭の支援
• 地域における学習会や講演会など。
参考文献:研修資料をもとに修正。

株式会社 高橋林業
TEL/042-689-2848

1本の木が多くの人々の豊かな未来生活を創造する。

母里靖浩さん
20代前半で林業の道に入り、1994年、『株式会社三謳』を設立。山の管理業、林道の開設、木材や重機の運搬、土木工事全般、家屋解体工事の5事業を展開。NPO法人全国森林活性化支援協会会員。
山林を育て国土を守る強い信念を貫く
林業の担い手を育成し山林地主を支援

「100年先の地球を守る森づくり・山林を育て日本の国土を守る」
 岡山県真庭市の『株式会社三謳(さんおう)』の社長母里(もり)さんが定めた経営ビジョンの冒頭に掲げた決意だ。木材の輸入自由化や従事者の高齢化など様々な要因による林業の衰退を嘆く先輩林業家の想いを受け止め、林業を柱に起業して24年。「一本の木が多くの人々の豊かな未来生活を創造する」との信念が事業全体を包み、共に働く若きフォレストワーカーの林業にかける情熱と士気を高める。
 経営ビジョンを実践する上で母里さんが力を注いだのが林業の担い手の育成。その前提として林業機械の導入による林業の近代化を進め、きつい山仕事のイメージ払拭に努めた。今、間伐や皆伐など山林の管理作業では、パワーショベルが道なき山林の中に作業道を作り、最も危険な伐倒作業を担うフェラバンチャーやKOBELCOロングリーチなどの機械が切った木を集材に便利な場所へ集積する。こうした積極的な経営努力が若い世代を惹きつけ、母里さんがフォレストワーカーと呼ぶ同社の作業員は、林業機械オペレーターを含め16人にもなった。
「伐採は、作業員がチェーンソーで行いますが、木々の集積や木の枝を落とす枝払い、幹を必要な長さに切断する玉切り、山土場までの搬出作業を高性能林業機械で行います。その省力化の威力は絶大で、力仕事の典型といわれた林業にイメージを一新させました。生産性も上がり大量に作業をこなすことでコストダウンも可能になったのです」
 もう一つが山林の資産化の提案だ。間伐した木を搬出した場合、その数量に応じ助成金が付与される林野庁の生産性強化搬出間伐(交付金)事業費補助金制度を活用して収入を得る道を山林地主に勧め、全面的にバックアップする事業だ。この制度は、手入れしない山林を放置すると土砂災害や環境悪化を招くことから、間伐による森林整備を促し、それにかかる費用に対して補助するのが目的だが、同社では、間伐すべき木の選定と作業がしやすくなる林道を開設したり、林業機械を導入して作業時間を短縮したりして、費用を搬出した間伐材の売収入と助成金収入以下に抑え、差額分をすべて地主へ還元する。
「この国の美しい森を守りたいと強く心に決意し、会社を立ち上げ、今では若い担い手と共に山で作業をする毎日です。一人でも多くの人に、この仕事を知って好きになってもらいたい、一人でも多くの人に山の大切さを感じてほしいと願っています」
(ライター/斎藤紘)

株式会社 三謳
TEL/0867-44-3104
ホームページ http://www.kk-sanou.co.jp/

井上文広さん
山梨県出身。高校生卒業後、解体工事を手掛ける会社に就職。現場作業だけでなく営業にも携わる。2年ほど勤めた後、建設会社に転職。13年ほど勤めた後、2016年、『株式会社仲屋総業』設立。
木材運搬の多様な要望に応え地域貢献
従業員を大切に思う心が事業の推進力

「従業員を養うのは会社だが、会社を養うのは従業員」
 木材運搬を主業務に掲げる『株式会社仲屋総業』の社長井上文広さんは、従業員を大切にする思いが際立つ経営者だ。従業員がやり甲斐を持って日々の仕事にあたり、豊かな生活を送れるような会社にならなければ、会社自体も成長しないと断じる。
「木材運搬の仕事は、大雨や台風、積雪などの天候の影響をかなり受けますし、丸太を積むのが山の中ですから、車が入れないような狭い現場も多く、ハードな職業で時には身の危険も伴います。しかし、お客様にできないとは言いたくないので、他所が断った仕事でもいろいろな方法を考えてお受けできるように努めていますが、その姿勢を貫けるのは共に仕事に打ち込んでくれる従業員がいるからこそなんです」
 主業務の運搬業務にはトラックとダンプを使い、木材やチップ、骨材などの収集、運送を請け負う通常運送、必要な日だけの一日貸切などのスポット運送、緊急時の急遽依頼にも対応する。初めての現場は、必ず井上さんが赴いて下調べし、木材や器機の置き場、書類の提出先などを従業員に覚えてもらい、業務の等質化と継続性を図る。このほか、広葉樹や針葉樹などの原木の買い取りと運搬、さらに、ストーブ用やピザ窯用、キャンプ用、バーベキュー用など様々な用途に応じた薪の販売と配送へと需要を見極めながら業容を拡大してきた。
「何事にも 確固たる信念を持ち やるべき事はしっかりと 相談、連絡を正確に 嘘をつかず正直に 業者との繋がりを大切に 運転業務を全うする」
 頭文字のかなを並べると「なかやそうぎょう」となる就業心得。従業員との意思疎通を密にし、業務に万全を期す決意表明だ。
 高校時代に解体工事を手掛ける会社でアルバイトをし、卒業後、その会社に就職。現場の作業だけでなく営業でも汗をかいた井上さんは、2年ほど勤めた後、土木工事などを行う建設会社に転職。13年ほど勤める中で独立心が芽生え、「全く関係のない仕事で事業を」と模索する中、人とのつながりで丸太の輸送の仕事が舞い込み、「何か子どもに残してあげられるものを」との思いとも重なって、2016年に起業した。
「事業を進められるのは、ご縁のあった人たちや支えてくれる周囲の方がいるお陰。一つひとつの仕事を丁寧に行い、地元の皆さんに覚えていただけるような存在になりたいと考えています。子どもに誇れる会社にすべく、地域貢献を忘れず歩んで行きたいと思っています」
(ライター/斎藤紘)

株式会社 仲屋総業
TEL/0556-20-6058
ホームページ http://nakayasougyou.com/

基礎工事 職人たちと共に

宍戸信照さん
神奈川県出身。『有限会社信和土建』を創建した父親の「仕事は見て覚えろ。ワザは盗むもの」という教えを胸に経験を積み、27歳のとき事業を継承。個人事業主の職人たちと協力し合い施工。
建築基礎工事で妥協許さぬマイスター
信頼の山を築く丁寧で精緻な作業工程

「素晴らしい完成度の高い仕事に、いつも感動しています」
 建築現場の基礎工事を担う『有限会社信和土建』に工事を依頼した建築デザイナーの感想だ。こうした評価を支えているのは、代表取締役宍戸信照さんの「金儲けではなく、丁寧な仕事をしたい」という決して揺るがぬ信念だ。
 神奈川県相模原市内で同社に工事を依頼した施主の話は、その一端を示す。近隣で大手ハウスメーカーの関連会社が手掛けた工事現場では、コンクリートの上に靴跡や泥がつき、機材が雑然と置いてあったのに対し、『信和土建』の現場では、コンクリートの下地に敷くビニールシートはたるみなく綺麗に張られ、機材もその外に敷いた板の上にきちんと置いてあった。そのあまりの違いに驚き、丁寧な仕事ぶりに感心したという。
 工事はさらに厳格だ。基礎工事のゆらぎは、その上に建てる構造物のゆらぎに直結するので、宍戸さんはどの工程にも精緻さを求め、決して手を抜くことを許さない。建物の正確な位置を出す丁張り作業は面倒だが、昔ながらの水糸を使って誤差を最小化する。穴掘りは原則として機械を使わず、スコップで根気よく掘り進める。スコップでカットするので、雨が降っても崩れない。その後にひく砂利引きもコンクリートの厚さが変わらないように土質を見極め、砂利の大小を判断しながら引いてゆく。コンクリートの表面をならす作業も京都の伝統工芸師の作ったコテで丁寧に進める。
「昔、基礎は手作業が当たり前でした。今も最初の掘削作業は、手で行うことにしています。余分な泥が発生しないため、寸分の狂いもない、美しく頑丈な基礎が仕上がります。お客様は、家を建てるために総額何千万円という費用をかけていらっしゃいますから、そのうちの一部を担わせて頂いているという意識は忘れないようにしています」
 宍戸さんは、配筋に使う鉄筋も既製品を使わず、自社加工場で加工する。鋼材メーカーから棒鋼を仕入れ、建物の構造から必要数を割り出し、配置場所や形状を図面に落とし、構造に合うよう加工していく。
 宍戸さんが基礎工事の世界に入って30年超。技術修得の努力が実を結び、建物の欠陥や手抜きを確認する住宅検査専門会社ホームリサーチ社が優れた建築職人を顕彰するマイスター制度で、最高レベルの三ツ星の配筋マイスターと転圧マイスターに認定された。その働きを支えてきた妻の直美さんや仕事仲間の職人たちと共に、妥協を許さぬ姿勢で信頼の山を築いていく。
(ライター/斎藤紘)

有限会社 信和土建
TEL/042-763-4443

「飲めば飲むほど業績が上がる『飲み会』仕事術」
商業界刊 1,512円(税込)
ブログ「販促コンサルが行く! 居酒屋訪問記」 http://ameblo.jp/aiharatomofumi/

藍原節文さん
横浜国立大卒。呉服大手を経て、友人と起業、販促、顧客管理分析業務などに従事。2006年、提携先のデザイン制作会社『株式会社ファースト・シンボリー』の再出発に伴い代表取締役に就任。
常に新しい切り口を提案
ナンバー2代行で示す新基軸

 斬新なネーミングが業績向上策を模索する中小企業経営者の関心を引く。企業理念に「顧客満足提供業」を掲げ、販促コンサルティングなどの事業で躍進する『株式会社ファースト・シンボリ―』の代表取締役藍原節文(ともふみ)さんが、顧客満足度を最大化するコンサルティング手法を追求する中で構築した中小企業経営者サポートの新たなビジネススタイルだ。「社長の右腕コンサルティング」ともいう。
「会社組織をはじめ、組織の中で最も重要なポジションはナンバー2といわれています。私も経験上、様々な会社をサポートさせていただきましたが、やはり伸びている会社ほどナンバー2の存在が大きいようですし、ナンバー2をしっかりと配置していることに気づきます。社長は、自分よりも優秀な人間をナンバー2におくことで、組織は潤滑に回っていきます。当社は、ナンバー2が不在の中小企業の経営者の皆様のナンバー2になりたいと考えています」
「ナンバー2代行」の役目として、経営者と同じ志を持ち、常に経営者の相談相手になること、 重要な経営判断が必要な際の助言を行うこと、経営者と社員の間の意志の疎通を行うこと、新しい取り組みを実施する際の具現化と推進役を担うことが重要である。また、ナンバー2として具体的に実施していくことは、経営者が持つ新しいビジネスアイデアの具現化、営業の仕組み作り、営業促進・販売促進策の策定、 経営者の想いを社員に伝えるコミュニケーション機会の創出などが具体的なコンサルティングの中身だ。毎月3社限定で実施する無料コンサルティングが好評だ。
 同社の事業展開は、営業コンサルティング、ホームページ制作、会社案内デザイン制作、プレゼン資料・企画提案書作成代行、セミナー・イベント運営代行、周年記念イベント運営代行、本の執筆代行など、取引先から「こんなことできませんか?」と需要が多い事項を一つずつ、事業化している。また、デザイン制作に関しては、単純にホームページを作成する、会社案内を作成する、といったことではなく、建築関係専門、運送関係専門、幼稚園・保育園専門、飲食店専門、老人ホーム・介護事業者専門、新卒採用・中途採用専門など、業種などによって専門性を持たせて展開している。その土台となっているのが、藍原さんの足で稼ぐ生の情報だ。
 その象徴が藍原さんが長年、ネット上で展開しているブログ「販促コンサルが行く! 居酒屋訪問記」。コンサルティングで訪ねた全国各地の飲食店の長所や欠点を詳しく紹介した異色のリポート。これを参考にしている経営者は少なくない。また、様々な飲み会もただ楽しむだけでなく、人脈づくり、情報収集、自己宣伝に生かす。そのテクニックを自身の体験に基づく事例を交えながら紹介した著書「飲めば飲むほど業績が上がる『飲み会』仕事術」も評判になった。
 事業のヒントを現場から見出す姿勢がコンサルティングに厚みと深みをもたらす。
(ライター/斎藤紘)

株式会社 ファースト・シンボリー
TEL/03-3555-9551
ホームページ http://www.firstsymboly.com/

経営理念:堅実に一歩一歩歩むこと 継続性 顧客の信頼

福井乙人さん
愛知県出身。大学在学中、システム構築関連の仕事に興味を抱き、卒業後、コンピュータ関係の会社に就職。退職後、ベンチャー企業を経て2004年、独立、『株式会社イフ』設立。
ヒューマンファクター重視しIT化支援
労使双方の声に耳を傾けバランス追求

 経営イノベーションの手段として企業で導入が進む業務のIT化は、組織の形態や労働の質、技術レベルに大きな影響を及ぼす。日本労働組合総連合会のIT情報技術に関する資料では、ITに精通した専門人材が約92万人、ITを活用する人材は約4800万人にのぼり、デジタルデバイド、ITを使いこなせる者と使いこなせない者の格差など新たな課題に直面しているケースが少なくない。
 こうした状況の中で、課題解決の最適解を追求し、実践してきたシステムエンジニアがいる。業務改善システムの構築で企業をサポートする『株式会社イフ』の代表取締役福井乙人(ふくい いつんど)さん。経営者、従業員それぞれが求める技術レベルを把握し、双方のバランスを取ることを重視する。
 福井さんは、大学在学中からシステム構築関連の仕事に興味を抱き、卒業後、コンピュータ関係の会社で20年間働いた。この中で、進化し続けるITのプラス面、負の側面を目の当たりにした経験が、バランスを重視する姿勢に繋がったという。
「業務のIT化といっても、それに関わる人は業務の高密度化、効率化に期待する管理職や経営層、システムの維持管理を担うエンジニア、データの入力などを担当するスタッフなど様々です。技術の進歩や需要動向などを見極め、それに見合う業務の改善を目指すことは経営の要請として当然ですが、機能や情報を追求するあまり、スタッフに過大な負担がかかって逆効果が生じるケースが少なくありません。それぞれが納得できるレベルを考え、バランスを取ることが大事なのです」
 実際のシステム構築に当たっては、経営者や実務スタッフまで幅広くヒアリングし、従来の業務の課題、希望する改善の方向をつかみ、新たなワークフローやそれを効率的に推進するソフトウエアとシステム像を描くところから始める。さらに、新たなシステムを操作する上で求められる技術がスタッフの負担増にならないように工夫を重ねる。 
 こうしたプロセスを経て、アプリケーションサーバやデータベースサーバ、通信サーバ、利用者PC、図面DBメンテナンスPC、タブレットPC、車載PCなどのITツールを組み合わせ、業務フローを管理支援するシステムや設備機器の管理とメンテナンスのためのシステムなどを構築。また、それらのアプリケーションソフトウエアも開発した。
 費用対効果の視点も絶えず持ち続け、開発や運用が投資効果につながるよう様々な角度から検討を加え、経営の要請に的確に応えてきた。
(ライター/斎藤紘)

株式会社 イフ
TEL/ 03-5725-3188
ホームページ http://www.i-fu.co.jp/

薬袋正司さん
税理士。東京CPA会計学院卒。伊勢丹で経理業務全般を経験。外資系税理士事務所、税理士法人タクトコンサルティングを経て、2007年、『薬袋税理士事務所』を開業。宅地建物取引主任者。
事業承継、設備投資
の税制改正に着目

 税制改正大綱に基づく新たな税制が2018年4月からスタートした。中小企業や個人事業の支援で信頼を集める『薬袋(みない)税理士事務所』の所長薬袋正司さんが注目するのは、中小企業の代替わりを促進する事業承継税制の拡充と地域の中小企業の設備投資を促進するための税制上の措置。制度設計の考え方と適用条件などフレームワーク全体をきちんと理解し、有効に活用することの重要性を指摘する。
「事業承継関係の改正は、今後10年に平均引退年齢の70歳を超える中小企業や小規模事業者の経営者が約245万人となり、うち127万人が後継者未定という厳しい現実を踏まえたものです。設備投資関係の改正は労働生産性が伸び悩んでいることと、設備の老朽化が進んで生産性向上の足枷になっていることに着目したものです。この現状を認識することが大事です」
 事業承継関係の改正は、2つの側面から税制措置が創設・拡充された。
「税制適用の入り口要件の緩和が一つ。これまでは、納税猶予の対象になる株式数には、2/3の上限があり、相続税の猶予割合は80%で、しかも1人の先代経営者から1人の後継者へ贈与、相続される場合に限られていました。これが改正では、対象株式数の上限を撤廃し、納税猶予割合も100%に拡大、承継時の税負担をゼロにしました。また、最大3人への承継も対象になりました。もう一つが、税制適用後のリスク軽減です。これまでは、承継時の株価を基に贈与・相続税が課税され、5年間で平均8割以上の雇用を維持できなければ猶予が打ち切られていました。改正後は、売却額や廃業時の評価額を基に納税額を計算し、承継時の株価を基に計算された納税額との差額が減免され、雇用要件が未達成の場合でも猶予の継続が可能になりました」
 労働生産性の向上が目的の設備投資関係の改正は、適用条件がある。
「市町村が主体的に作成した計画に基づき、平成33年3月末日までに行われる中小企業の一定の設備投資について、固定資産税の課税標準を最初の3年間ゼロ以上2分の1以下に軽減する特例措置です。対象となるのは、資本金額1億円以下の法人、従業員数千人以下の個人事業主のうち先端設備等導入計画が市町村に認定された企業などです。対象となる設備投資は、生産性向上に資する指標が旧モデル比で年平均1%以上向上する工具や設備などの減価償却資産です。対象市町村や工具、設備の取得価格など細かな条件があり、見極めが大切になります」
(ライター/斎藤紘)

薬袋税理士事務所
TEL/03-6228-6400
ホームページ http://www.tax-bpc.com/

音瀬泰彦さん
大学卒業後、自動車会社を経て、父親が1962年に開いた税理士事務所に入所、1995年に税理士登録し、経営を引き継ぎ、『音瀬泰彦税理士事務所』所長に就任。AFP資格も取得。
海外在留邦人の相続で助言
複雑な手続きの注意点指摘

 133万人。外務省が2016年10月時点で集計した海外在留邦人の数。統計を取り始めて以降最高だ。この状況を「相続」の観点から注目して注意を喚起している税理士がいる。『音瀬泰彦税理士事務所』の所長音瀬泰彦さん。相続全般に関する税務のスペシャリストだ。
「今では、ご家族に海外在住の方がいるのも珍しいことではなくなってきました。仮に相続になった場合、海外在住の相続人がどのような相続の手続きをするのかは相続人全員が確認しておく必要があります。日本にお住まいの相続人にも大きく関わってくるからです。相続できないという事態を避けるためにも専門家にご相談下さい」
 面倒なのは、遺言書が無い場合だ。遺産分割協議書のほか、署名証明書と在留証明書の2つの証明書を求められるケースがあるという。
「相続が発生した時に遺言書が無い場合、遺産分割協議書が必要になります。それが有効であることを証明するためには相続人が実印を押さなければいけません。印鑑証明書が抹消されている場合、その代わりとして署名証明書(サイン証明書)、また住民票の代わりに在留証明書を取得する必要があります」
 音瀬さんによると、署名証明書の取得は、海外在住の相続人がパスポートや相続人数分の遺産分割協議書などの書類を持参して在外公館に出向いて申請する。領事の前で、遺産分割協議書などの書類を綴り合わせて署名と拇印で割り印を行う。事前に署名や拇印をされた書類を持って行った場合は 、事前の署名や拇印を抹消の上、領事の前で改めて余白に署名や拇印する。1通1700円程度の手数料は、現地通貨で支払う。
 在留証明書は、相続人である申請者本人が直接在外公館へ出向き手続きする方法のほか委任状を持って代理申請や郵便申請ができるケースもある。署名証明書も合わせて取得する場合は、本人が出向かなければならない。申請にあたっては、本人確認ができる書類、住所確認ができる滞在許可証等の書類、現地に3ヵ月以上の滞在が確認できる賃貸契約書等の書類、戸籍謄本又は戸籍抄本が必要だ。
 音瀬さんは、法人や個人事業主、医療機関などを対象に経営分析や企業価値の向上、円滑な起業や事業承継、節税、相続対策など多角的な視点からのサポートで声価を高めてきた。中でも相続対策で信頼を集め、ダイヤモンド社発行の「相続問題で頼りになる税理士セレクト100」に選ばれた。
(ライター/斎藤紘)

音瀬泰彦税理士事務所
TEL/088-622-8008
ホームページ http://otosetax.jp/


[イギリス生活情報誌]月刊 ミスター・パートナー 〒160-0022 東京都新宿区新宿2-15-2 岩本和裁ビル5F TEL.03-3352-8107 FAX.03-3352-8605