ヒットの予感!! 2019


イギリス生活情報誌 
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セミナールーム

【事業承継税制の特例措置】
 平成30年税制改正において、事業承継税制が改正され、平成30年1月1日から10年間限定の特例措置が設けられた点にも注目したい。これにより、同族会社の非上場株式の相続・贈与が以前よりも進めやすくなった。改正前の贈与税・相続税の納税猶予される額が80%であったが、株式を贈与時に納税猶予され相続時に100%免除されることになる。制度適用には、贈与者である先代経営者や受贈者の要件、都道府県に「特例事業承継計画」を提出するなどの必要があるが、今回の改正により、親族ではなく、社員などの他人への株の贈与も納税猶予できることになった点も大きい。後継者がいない法人でM&Aではなく親族や社員へ事業承継がより円滑に進むと思われる。

代表 峯本創生 さん
横浜国立大学大学院経営学研究科修了。2003年、税理士登録。複数の会社を経て、2016年『ファミリー税理士事務所』代表に就任。生命保険、損害保険、金融商品、株式投資、不動産小口化投資などの相談にも対応。
相続や事業承継の税対策に
不動産に関する知見を動員

相続財産の評価を下げ
相続税の負担軽減に道


『ファミリー税理士事務所』の代表峯本創生(つくお)さんは、不動産に関する深い知見、上場企業などでの会計管理経験を生かした経営アドバイスや税務コンサルティングで経営者から頼りにされる税理士。相続や事業承継での税対策で悩む経営者支援で声価を高めているのが不動産を利用した節税策だ。
 平成27年1月の相続税制改正で、遺産に関わる基礎控除額が改正前の6割まで引き下げられ、相続税の申告が必要となる対象者が増えた。
「現金で相続する場合は、額面通りの評価額となりますが、不動産の場合は、その評価額が大きく下回り、収益物件の場合は貸家建付地としての扱いが適用され、土地の評価、建物の評価もさらに下がるため、現金で相続する場合と比較すると4〜5割も資産の評価が下がります。この優遇措置のスキームが収益物件による相続税の節税対策となるのです。相続対策の効果を発揮する物件としては、相続税評価額と市場価格のギャップの大きい収益物件が向いています。地方の物件は、相続税の評価額よりも市場価格が低くギャップがとれませんが、東京圏の1棟収益物件は、市場価格が高く設定される例が多く、ギャップを大きくとれる物件として十分な節税効果が期待できます」
 事業承継で不動産を活用する狙いも後継者の税負担の軽減だ。
「個人事業の事業承継では、相続財産を現預金や有価証券で保有するより不動産として保有する方が相続税が低くなる傾向があります。相続財産は、国税庁の財産評価基本通達に従って評価しますが、不動産の相続税評価額は、実勢価格より2〜3割低くなるのが通例です。賃貸物件であればさらに評価額が下がります。また、小規模宅地等の特例もあり、事業で使用している土地は、400㎡まで80%減、賃貸用に使っている土地は、200㎡まで50%減となります。法人の事業承継では、株式を後継者に相続させることを主眼に置きますが、株式も相続財産であるため、財産評価基本通達に従って評価されます。その際、会社保有の財産についても相続税法上の評価額を算定して株式評価に反映させるので、会社が不動産を保有すれば株価も引き下げる効果があり、相続税の負担軽減につながります」
(ライター/斎藤紘)

ファミリー税理士事務所
TEL/03-5537-7482 Eメール/info@family-tax.com
ホームページ http://familycorporation.co.jp/

「新ビジネス承継塾」のサイトから申し込めば、藤原さんの含蓄あるブログを購読することもできる。

代表 藤原祥孝 さん
神戸大学経済学部卒。1981年、大手監査法人入社。84年、公認会計士登録。その後大手監査法人社員、代表社員を経て2012年に独立し、『藤原公認会計士事務所』開設。14年、事務所を大阪市に移転。税理士の資格も保有。
事業承継者に経営の極意伝授
経営者に求められる要件示す

ワークショップ形式で講義
実践的カリキュラムを構成


 中小企業倒産の原因で上位を占めるのが、経営者の経営能力の欠如や会社の私物化、ずさんな管理体制などによる放漫経営だ。事業承継者がこうした事態に陥ることのないよう指針やノウハウを伝授する学びの場がある。『藤原公認会計士事務所』の代表藤原祥孝さんが主宰する『新ビジネス承継塾』。公認会計士と税理士の国家資格に裏付けられた深く幅広い知見と30年超のコンサルティング経験をもとに発する言葉一つひとつが経営者の資質形成の糧となって蓄積していく。
 藤原さんが特に留意を促すのが経営者に必要とされる5つの要件だ。第一に会社の未来像となるビジョンを明確に示すこと、第二にビジョン達成のためのミッション(役割、使命)を示すことを挙げる。
「ビジョンは、会社が将来どのように展開していくのかという成長物語です。この物語をより具体的でわくわく感を持たして作成し、部下に熱く語って共有できるようにしなければなりません。ビジョンがより具体的であるということは、会社が目指すべき具体的な目標があるといえますし、目標に向かって進むために果たすべき役割、使命が明らかになってくると同時に、役割、使命を全従業員が共有できることとなるのです。このミッションは、経営理念にもなり得るものです」
 他の3要件は、経営者の姿勢にかかわるものだ。高い人格を持つ、不断の努力をする、強い意志を持つ、こうした姿勢が重要と強調する。
「経営者に正しい判断基準がなく、利益のみを追求するような姿勢があれば、社内に何をしても儲かればいいという風潮がはびこる可能性が非常に高くなります。そうならないためにも、まず経営者自身が立派な考え方を持った人格者になる必要があるのです。また一生懸命に働くその背中を見せながら、組織の中心人物として部下を引っ張っていくことが肝要です。さらに、景気変動や予期せぬ事態に巻き込まれるビジネスの世界で強い意志を持たない経営者は、一度立てた目標もすぐに撤回してしまうことでしょう。それでは信頼と尊敬を失ってしまうことになります。経営者は、どんな困難に遭遇しようとも目標の達成を決してあきらめない強い意志を持つ必要があるのです」
『新ビジネス承継塾』では、具体的なビジョン作りや社員活動のマネジメント、実践的なマネジメントの運用、経営者が会計数字を経営に活用する計数マネジメントなどのノウハウを実践的、体系的に習得することができるようにカリキュラムを構成している。
(ライター/斎藤紘)

藤原公認会計士事務所
TEL/06-6210-4590 Eメール/ info@fujiwara-cpa.jp
ホームページ https://fujiwara-cpa.jp/

若い世代の方で、「どうせ、貰えないから年金は払わない」という方によく出会います。しかし、ちょっと待ってください。本当は、こんな有利な保険はないのです。もし、保険料が払えない時は、免除の手続きや納付猶予の手続ができます。また、2分の1は税金が投入されています。
●納付猶予の手続
猶予の手続をしたら、10年以内に納めればよろしいのです。もし、10年以内に納められないと老齢年金は貰えませんが、障害年金の納付要件では納付と同等に扱われます。
●是非、納付、免除、猶予のいずれかの手続をして頂きたいと願います。障害年金の手続を依頼されて、納付要件がなくてお断りしなければならない時は本当に辛いものです。また。納付要件は遺族年金にも共通しています。こんな有利な制度を利用しないとは、何ともったいないことでしょう。

【障害年金制度の概要】
「障害基礎年金」障害や病気について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日(初診日)に、国民年金に加入していた方が受給できる障害年金。20歳未満(国民年金に加入前)、もしくは60歳以上65歳未満(年金制度に加入していない期間で日本に住んでいる間)の間に障害が生じ、その状態が続いている人にも給付。
「障害厚生年金」障害や病気について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日(初診日)に、厚生年金に加入していた方が受給できる障害年金。障害基礎年金に上乗せするものとして給付。

「NPO法人障害年金支援ネットワーク」
TEL:0120-956-119

代表 染森かず子 さん
社会福祉法人日本盲人社会福祉施設協議会で約10年勤務。2007年、61歳で社会保険労務士の国家資格取得のための試験に合格。『染森社労士事務所』を開設し、障害年金の受給手続きの支援開始。「NPO法人障害年金支援ネットワーク」に加入。
社労士の深い知見を動員し
障害年金の申請をサポート

複雑な受給要件に精通
制度の周知に情報発信


「障害年金を知らなかったという方が一人でも少なくなりますように」「障害年金を受給して生活基盤をつくり、安心して療養に励むことができますように」
 公的年金の一つ、障害年金の受給手続きのサポートに力を注ぐ『染森社労士事務所』の代表染森かず子さんが胸に秘めた思いだ。障がい者の福祉向上に貢献したいと還暦を過ぎてから合格率7〜5%という社会保険労務士試験の難関に挑戦、合格して得た国家資格に裏付けられた深い知見が多角的なサポートの基盤だ。
「障害年金は、原則として厚生年金保険、国民年金、共済年金に加入されている方が病気や障がいによって、働いたり日常生活を送ったりする上で困難がある場合に国から支給される公的年金ですが、失明や難聴、車椅子など見ただけで障がい者と分かる障がい者が対象の制度と誤解したり、制度そのものの存在を知らなかったりして、受給資格があるのに手続きをしていない方が多いのが現実です。この状況をなんとか変えたいとの思いからホームページを利用して情報を発信しています」
 障害年金の根拠法は、国民年金法、厚生年金保険法。制度の仕組みは施行令などで定められているが、複雑でわかりづらいことも手続きに二の足を踏む原因になっているという。
「障害年金は、うつ病や統合失調症などの精神疾患、ガンや糖尿病といった障害という言葉と結びつきにくい病気も含め、ほとんどの傷病が対象になりますが、請求し、なおかつ年金保険料納付や年齢などの要件を満たし、障害認定基準に合致しなければ受給できません。請求に必要な年金請求書、受診状況等証明書、診断書、就労・病歴申立書は、どれも一筋縄ではいきません。特に、障害の原因となった傷病について治療を目的に医療機関で初めて診察を受けた初診証明は厄介で、苦心する人が多いのが実情です。こうした複雑な手続きを、個々の状況を見極めながらサポートするのが使命と思っています」
 社会福祉法人日本盲人社会福祉施設協議会で勤務中、様々な障害を持つ人たちと接した経験から社労士の道に進んだ染森さんは、資格取得後、社会保険労務士の有志によって結成された「障害年金支援ネットワーク」にも加入し、無料電話相談などでも活躍している。
(ライター/斎藤紘)

染森社労士事務所
TEL/03-3330-1142 Eメール/ some-ilr@nifty.com
ホームページ https://some-sr.jp/

弁理士3人、博士号を持つ技術スタッフ1人、事務スタッフ1人の陣容。

代表 岡田宏之 さん
早大理工学部卒。同大大学院理工学研究科で博士(理学)の学位取得。同大学理工学総合研究センター講師を経て2003年『パール国際特許事務所』入所。2005年、弁理士登録。特定侵害訴訟代理業務付記。2011年、代表就任。
中小企業の知的財産戦略支援
最適解求める理工系思考回路

広範囲の技術を取扱い
特許の有効活用策提案


 一を何倍にもしていくような能力。『パール国際特許事務所』の代表岡田宏之さんは、知的財産権に関する業務を担う弁理士の可能性に惹かれ、早稲田大学理工学総合研究センターの講師から知的財産の世界に転じた学者だ。知的財産の創造、保護、活用の全てのフェーズを通して理工系思考回路がフル回転し、企業価値の最大化を追求する。
 早大大学院で原子核や素粒子、宇宙線などを研究し、「液体アルゴンカロリメータを用いた核フラグメンテーション(核粉砕)の研究」で博士(理学)の学位を取得した岡田さんが同事務所に入ったのは2003年。下積みを経験しながら、合格率が10%前後という弁理士試験に合格、2011年に代表に就任した。現在、弁理士3人、技術スタッフ1人、事務スタッフ1人の計5人体制で知的財産の全フェーズに対応する。
 取り扱い可能な技術分野は、半導体や回路、情報、ソフトウエアなどのエレクトロニクス、光通信や光デバイス、光学機器などの光学、セラミックスや磁性体などの物性、材料や有機化合物、無機化合物などの化学分野、ナノテクノロジー、マイクロマシーン、医療機器、日用品、土木、建設、放射線など広範囲に及ぶ。
 岡田さんが今、力を注ぐのが中小企業の潜在力の発掘だ。
「技術は、日進月歩。各企業は競争力を高めるために事業の選択と集中を進めており、知的財産戦略も高度化しています。以前は弁理士のクライアントは大企業が多かったのですが、近年では中小企業も増えてきています。中小企業の場合、特許だけでなく、その周辺の商標や意匠などをどう組み合わせていくのかなども含め、生残りのためだけでなく、躍進の推進力となる知的財産戦略を共に構築していきます」
 具体的には、新しい技術のアイデアが出てきた背景などをつかみながら、経営者の希望に沿う特許取得に向けて理論を構築していく。意匠権や商標権の取得やその活用についても助言し、権利化を進める。その際、審査基準に照らして権利化の可能性や他者の権利を侵害する恐れの有無を綿密に調べる。技術の公開を望まない場合は営業秘密管理もサポートする。
「創造なくして保護はできず、活用を意識せずに適切な保護もできない」
 これが岡田さんの知的財産戦略の基本スタンスだ。
(ライター/斎藤紘)

パール国際特許事務所
TEL/03-3988-5563 Eメール/office@pearl-pat.com
ホームページ http://www.pearl-pat.com/

広島オフィス
TEL:082-215-1478 FAX:082-205-1493
広島県広島市東区牛田東3-31-30
呉オフィス
TEL: 082-215-1478 FAX:082-205-1493
広島県呉市蒲刈町大浦4150-2

代表 所長弁理士 河野元 さん
同志社大学工学部機械システム工学学科卒。金属メーカー、遊技機メーカーを経て2007年、弁理士登録。2008年、特定侵害訴訟代理業務付記。2015年『フリーダム特許事務所』設立。特許、実用新案、意匠、商標担当。
地域創成に知的財産を活用
中小企業の業績伸張を支援

的確助言で優位性確立
権利侵害訴訟もカバー


 人口減による市場縮小や人材不足、新興国製品との競合など厳しい経営環境に置かれた地方の中小企業の独自技術開発意欲を後押しし、地方創生につなげる知的財産戦略支援で実績を重ねているのが、名古屋、広島、呉にオフィスを構える『フリーダム特許事務所』。機械システム工学の知見を生かす機械、制御を専門分野とする代表河野元さんは、他の弁理士や技術スタッフとチームを組んで、遊技機、金型・樹脂成型品、洗浄、衣類などのメーカーを対象に独自技術の発掘から特許、実用新案、意匠、商標など知的財産権取得に知力を動員する。
「知的財産には、新しい技術に関する発明を保護する特許・実用新案、独自の商品デザインを保護する意匠、アピール力のあるネーミングを保護する商標があります。それらを企業活動の中から発掘・権利化し、知的財産権として権利関係を明確にすることで、競合する他社に対する優位性を確立し、企業の業績向上に貢献する、これが当事務所の業務です。中小企業といっても高い開発力を有する自社開発型、下請けで培った技術を生かす下請型・地場産業型、地域資源を活用した地域ブランドの全国展開を図る地域ブランド型などがあり、クライアント企業の特色を見極めて支援していきます」
 同事務所の拠点の一つ、名古屋はパチンコ発祥の地。パチンコやパチスロは特許の塊といわれ、遊技機業界でも特許取得争いが激化し、特許権取得の可否はメーカーの存亡に直結する。
「パチンコの特許技術は、特許庁の標準技術集で遊技内容、表示器関連、筐体関連に大別されます。これらは、さらに事細かに分類されています。開発した技術で特許出願を支援する場合は警察庁の規格解釈基準などに照らしながら、技術の特性を見極め、有効権利取得のためのポイントなどを助言します」
 河野さんは、特許、実用新案、意匠、商標などの権利の侵害に係る特定侵害訴訟に関して、その訴訟代理人となることができる資格も有し、知的財産権をめぐる争いでもクライアント企業の強い味方になる。インターネットドメイン名の登録に関する法律業務やコンピュータソフトウェアの利用に関する契約の代理又は媒介など時代の先端を行く事案もカバーする。また、インターネットの普及により、これまで育ててきたブランドやこれから育てるブランドの利益を保護するためには、商標登録を行うことが、今後増々重要となっている。商標登録をしておくことで、他人からの権利侵害を防止したり、自身が意図せず他人の権利侵害をしてしまうといった事態を可能な限り防止することができる。
『フリーダム特許事務所』では、このような活動を支援する。
(ライター/斎藤紘)

フリーダム特許事務所
TEL/052-446-5805 Eメール/info@freedom-patent.com
ホームページ http://freedom-patent.com/

上右:石老山からの眺め。
中:ヒノキ間伐後、丸太谷止工
下:ヘリコプター運搬

代表取締役 髙橋正二 さん
山梨県庁退職後、森林組合の参事を勤め、林業経営の知識を深める。49歳で独立し、『株式会社高橋林業』を設立。次世代にも森林の大切さを伝え、100年後にも残る山林づくりに励んでいる。
私たちの暮らしを支える「森林」
一人ひとりの手で森林保全を

森林の持つ役割と
今後の展望について


 森林に関わる知識から林業の見識を深め、『株式会社高橋林業』を設立した髙橋正二さん。森林管理や林業に携わり続けて60年以上になる髙橋さんは、「森林の大切さを知り、世代を超えて守り抜いてほしい」との想いを胸に、これまで多くの人々に森林の重要性を伝えてきた。
「スギ・ヒノキ等は、一般的には山林1haに約3000本植えます。植栽後1~10年間には下刈(下草刈り、年2回実施)、つる切り、補植(植栽木が枯れたときなどに植え直す作業)等を行います。植栽後10~25年間は、除伐(目的以外の木を除く作業)、枝打(余分な下方の枝を切る作業)、つる切り等を各2~5回ほど実施します。人間に例えればこれで1人前で、以後はあまり手がかからなくなります。人間も20~25歳で子どもの頃より手がかからなくなりますが、木も同じです。さて、実はここからが大変なんです。23年を過ぎた頃より間伐という仕事が待っています。この間伐は、初めに1haに3000本植えた木を、将来的には100本前後にもっていく作業です。この間伐が大変重要であり、ここで手を抜くと土砂災害や様々な災害を引き起こすことにもなりかねません。間伐作業は、3000本植えた木を、1回目で2500本、2回目で2000本を残して伐採します。以後、木の成長と共に順次1700本、1400本、1100本、800本と減らしていきますが、ここまでにかかる年数は約70年です。こうして徐々に本数を減らして行き、植林後80年(※)を超えた頃に700~1000本程度となるのが望ましいのですが、現実にはこのように間伐を繰り返し実施して管理されている森林はほとんどありません。大多数の森林は間伐が行われていたとしても1~2回目だけで、全く手入れをせずに放置された森林も少なくありません。80年生になった時、7回前後間伐された森林は無いように思います。ですから、健全な森林は無いと言っても過言ではありません。日本の森林は災害に弱い。それは、この大事な間伐作業を怠っているからに過ぎません。我が国では、毎年10月と11月を間伐推進強化月間として間伐の普及啓発活動が行われていますが、間伐は一向に進んでいないのが現状であり、大雨の度に土砂災害を誘発しているように思います。
(※天然林と植栽木との区分けがつかなくなるのが80年生~90年生であり、人間の平均寿命です。この頃より木の香りが強くなり、強度も一段と強くなって、木にねばりが出てきます)
 もう一つ間伐で大事なことは、曲がり木、あばれ木、細い木、樹高の低い木はもちろん切るわけですが、人間と同じで木にもそれぞれの寿命があります。木にも一本一本持って生まれた寿命があり、木によって50年から1000年前後と寿命は様々です。それらを見抜いて実施するのが間伐作業であり、特に伐採する木を決める選木作業は大ベテランでないとなかなか難しい作業と思われます(※)。
(※選木の目安として、木の先端(業界の専門用語でヤリ)が三角にとがっている木は、一般的にはまだまだ命がありますが、木の先が丸くなっている木はそろそろ寿命が来たと思って良いでしょう)
『平成30年7月豪雨』では、西日本各地で未曾有の洪水や土砂災害が発生し、多くの死傷者・行方不明者が出てしまったのは記憶に新しいかと思います。こうした森林を取り巻く諸問題を解決すべく、2019年度税制改正において『森林環境税』が新たに創設されることとなりました。国民一人あたり1000円を課税し、森林の管理や林業従事者の育成などに充てるというもの。これからは森林の維持管理を国で行うことで降雨時の土砂災害を少しでも減らすと同時に、戦後の3分の1以下になってしまった林業従事者の大幅増員と育成を含め、福利厚生の充実を含めた労働環境の大幅な改善をしてテコ入れを行おうとするものであり、林業関係のすべてが衰退する現在、関係する法律の大規模な改正が行われて林業を取り巻く一連の環境は大きく変貌を遂げると、大きな期待を持っています」 
 私たちの暮らしを支えてくれている森林に対する理解を深め、一人ひとりの手で守り抜いていくことは、今後の私たちの大きな課題であるに違いない。
(ライター/宮田泰輔)

株式会社 高橋林業
TEL/042-689-2848 Eメール/ takahashi-forestry@honey.ocn.ne.jp

地元海岸の砂防林(クロマツ)間伐材。
タブグラインダーによる1次破壊作業。
原料(20㎜アンダーチップ)
ペレタイザー/省スペース設置にも対応可能。
フレコンパック詰め

上:代表取締役会長 渡会昇 さん
「商売というのは、いつ、何があるか分からない。だから、地力をつけることが大切だ」創業47年超、いろいろな出来事を乗り越えてきた。外から思いがけないことが起きても、自社に体力をつけることが必要。内部保留を増し、会社を大きくする。以来、健全な経営の努力を続け、現在に至る。

下:代表取締役社長 武田啓之さん
東北電力管内の配電設備を施工する「東北七県配電工事株式会社」代表取締役。鶴岡ロータリークラブ会長。鶴岡商工会議所議員。論文「農業用ビニールハウスの暖房負荷軽減に関する一考察」を共著。
技術力と環境意識の高さ示す
木質ペレット製造装置を開発

間伐材などを有効活用
再生可能なエネルギー


 人口約355万人の東ヨーロッパの国、モルドバ共和国に『木質ペレット製造プラント』がある。JICAの環境・気候変動対策無償資金協力の一環として鶴岡市の『株式会社渡会電気土木』が導入したものだ。木質ペレットは、乾燥した木材を細粉し圧縮成型した小粒の固形燃料。代表取締役会長渡会昇さんは、再生可能エネルギーとしての木質ペレットの関連事業に力を注ぎ、山形県地球温暖化防止推進委員に選任された経営者。モルドバへの設備導入は同社の技術力の高さと環境問題に向き合う姿勢が認知された象徴だ。
「モルドバは、エネルギー供給のほとんどを輸入に依存し、多くの公共施設では、燃料費を賄うことが難しいと聞いています。導入したのは、バイオマスから燃焼効率の高い燃料であるペレットを製造する設備と、ペレット専用のボイラー。教育施設などでの暖房設備の整備、燃料費の削減,二酸化炭素の排出量の削減に寄与できると思っています」
 同社は、早くからバイオマス燃料となる木材チップの製造に取り組み、2003年からバイオマスの利活用事業に着手、08年には『農業用木質ペレットストーブ』が実用新案として登録された。翌年から木質ペレットの製造設備の研究開発を進め、完成させたのが高効率、省スペース、低コストを追求した『木質ペレット製造プラント』だ。
 このプラントは、一次破砕機で間伐材や林地残材を破砕、一次定量供給機で乾燥機へ送り、熱風炉から熱風を供給。ロータリー式ドライヤーで含水率約12%程度まで乾燥させる。二次破砕機でさらに細かく破砕、二次定量供給機でフラットダイ式ペレタイザーに送り、直径6~7㎜、長さ約25㎜のペレットを製造、フレコンパック袋詰め装置でフレコンパックに詰める。バグフィルター式集塵機で回収した木粉を原料として再使用する。ペレタイザーは、最大3基まで設置し稼働させることもできる。
「必要なエネルギーを太古からの贈り物である化石燃料に依存した現状を続けると、持続可能な地球でなくなってしまいます。木質ペレットは、地球にやさしい再生可能エネルギーであり、製造プラントが普及すれば、我が国の木質ペレットの自給率の向上、地球環境の維持に寄与できると思っています」
(ライター/斎藤紘)

株式会社 渡会電気土木
TEL/0235-57-2454
ホームページ http://www.watarai-ec.co.jp/

上:遠赤外線パネルヒーター『あ~ち~』
中:加温サポーター『ぬ~き~』『磁気パワー熱風器』
下:ハイパワー低温磁気熱分解炉

代表取締役 大隈浩 さん
1995年創業の『株式会社樫の木製作所』代表取締役。プラスチックフィルムと金属箔、接着剤などの材料にラミネートなどの加工を加えた特殊フィルムなどの資材製造、新素材や新製品の性能測定や分析が可能な自社一貫体制を構築。
CNT活用のエコ装置を開発
化石燃料に依らぬ加温技術

ハウス栽培などで活躍
培った加工技術の結晶


 電子機器や医療機器などで使用される電磁波シールドテープなど特殊フィルムや金属箔の加工技術で躍進する『株式会社樫の木製作所』の代表取締役大隈浩さんが、地球環境の保全と環境に係る社会貢献を目指す社の理念の下、今、力を注いでいるのが次世代炭素素材カーボンナノチューブCNTを活用した環境に優しいゼロエミッション技術の開発だ。
 CNTは、髪の毛の5万分の1の細さで、炭素原子が網目のように結びついた筒状の導電性、熱伝導性、磁気特性、耐熱性に優れた物質。大隈さんは、これを利用する技術と製品開発、普及を担う『樫の木環境ソリューション株式会社』を新たに立ち上げ、CNTの優れた特性を発揮させるため、凝集体をバラバラにしたCNT分散液の量産化とフィルムに薄く均一に塗布する技術を開発し、さらに電気で発熱して遠赤外線を放射する機能に着目して様々な装置を考案した。
「『遠赤外線CNTパネルヒーター』は、電圧によって自在な温度設定が可能な無音、無風のクリーンヒーターで、ハウス栽培やきのこ類の菌床栽培の温度管理、信号機の着雪防止など様々な用途に応用できます。『ハイパワー低温磁気熱分解炉』は、磁力とマイナスイオンの効果で、生ゴミやプラスチックなどあらゆる有機物を短時間で灰状に分解処理することができます。化石燃料を一切使用せず、CO2も臭いも排出しません。燃料代や廃棄物の収集運搬の費用も大幅に削減する環境に優しいゼロエミッションの技術です。『磁気パワー熱風器』は、磁石板の回転による渦電流ですぐに高温発熱し、外気温プラス30℃前後の熱風が出ます。1台で200坪まで対応し、化石燃料に比べて50%~80%のコスト減になり、農業ハウスや大型施設の暖房に最適です」
 施設向けの装置だけでなく、身に着ける製品も開発した。
「マッサージ師やスポーツ選手に絶賛されるのが『CTN加温サポーター』です。汎用モバイルバッテリーに接続するだけで、何度でも温められ、自由に動ける便利さが受けている理由です。付属の粘着付マジックテープをモバイルバッテリーに貼るだけでサポーターのどの部分にも貼り付けることができます」
 1995年の創業以来、特殊フィルムの加工技術の進化を牽引してきた大隈さんの新たな分野への挑戦意欲は衰えを知らない。
(ライター/斎藤紘)

株式会社 樫の木製作所
TEL/048-990-6540
ホームページ http://www.oak-tree.co.jp/


[イギリス生活情報誌]月刊 ミスター・パートナー 〒160-0022 東京都新宿区新宿2-15-2 岩本和裁ビル5F TEL.03-3352-8107 FAX.03-3352-8605