ヒットの予感!! 2019


イギリス生活情報誌 
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開業以来25年間で6000頭以上の販売実績を持つ茨城県つくば市のドッグサロン「ビークラブ」。代表の沢辺さんは幼い頃から犬と共に暮らし、学生時代には犬の研究過程も修了しているまさに犬の専門家。自家繁殖に重点を置き、系統のしっかりした親犬からしか繁殖をしない。トイレやムダ吠え、留守番等の基本的な躾をしっかり仔犬に身につけさせた状態で飼い主と縁を結ばせるといった姿勢が好評を博している。そんな犬一辺倒に見える沢辺さんだが、若かりし頃は別の道を夢見たこともあったとのこと。家族の協力もあって今の実績を築いたことも含め、お話しを伺ってみた。


芸能界への憧れを断ち切り、犬と共に歩む人生へ



5年に一度LALAガーデンつくばを会場に借りて開催している親戚犬が一同に集まる同窓会。写真はプードルの部の集合写真です。
─ご出身はどちらですか?
沢辺 千葉県の野田市です。小中高と野田で過ごしました。こちら(つくば市)に来たのは主人の実家がありまして、義理の兄が経営している会社で主人も一時期働いていた、というような事情です。

─子どもの頃から、ワンちゃんに関わる仕事をしたいと思っていたのですか?
沢辺 そうですね……。私は3人兄妹の末っ子で、年の離れた兄と姉がおりまして、両親は共稼ぎ。物心ついた時から、家の中には自分と室内犬だけ、ということが多かったんです。なので、可愛いとかいうあたりを通り越して、犬が一緒にいるのが日常であり、当たり前の生活。大きくなったらワンちゃんの美容師さんになる、なんて、割と幼い頃に宣言したのを覚えてますよ。

─小中高時代、他に何か打ち込んだものは?
沢辺 今これを言うのはとても恥ずかしいんですけど、芸能界目指してました。

─アイドル系ですか、それとも演劇とか音楽とか?
沢辺 まあ、広い意味でテレビに出られるような仕事、と言えばいいんでしょうかね。当時、おにゃんこクラブがすごい人気で、(松田)聖子ちゃんとか(中森)明菜ちゃんとか、見た感じ割と普通の女の子でもトップアイドルになれるんだ、みたいに思われてて、自分もアイドルになりたい、と考える女の子も、大勢いましたね。


沢辺さんが芸能事務所に所属していた時のプロフィール写真。
─すると、オーディションを受けたりしたわけですか?
沢辺 ええ。何度も。一応は芸能事務所にも所属しましたし、劇団に参加したり……。でも、小さな事務所だったので、回ってくる仕事と言えばエキストラ的なものばかり。自分なりには努力していて、こうやって頑張ってればいつかはテレビに出られるんだ、なんて自分に言い聞かせてましたっけ。最終的には、あきらめましたけど。

─最終的、というのは高校を出た後ですか? その間、お仕事とかは?
沢辺 高校出てしばらくはフリーターですね。歯科助手、消費者金融、飲食店……、とにかく色々なところでアルバイトしながら、オーディション受けまくるという生活。でも、自分で言うのもなんですけど、仕事は要領よくこなすし、責任感はあるし、という風に認められて、ほんの数ヶ月で役職がついたりすることが、よくありましたよ。でもまあ、21歳の時に一念発起して、トリマーなどを養成する専門学校に入り直して、そこから、犬と共に生きる生活ですね。

─学校は都内ですか?
沢辺 いえ、千葉県でも野田というところは、都内へのアクセスが実はあまり良くないんです。親も、都内に下宿して学校に通うとか、そこまでの援助はできないよ、というのに近い感じでほとんど諦めていました。でも、結婚後調べていたら、目と鼻の先の柏市に学校があったんです。

─ちょっと待って下さい。21歳で専門学校に入られたとおっしゃいましたが、今年結婚30周年ということは……
沢辺 ええ、そういうことです(笑)。結婚は20歳の時で、主人にしてみれば、今さら何を始めるつもりなの、って思ったでしょうね。


日本初のレンタルペット店として多数のマスコミ・雑誌でも紹介された。
─そうですか。それでは、ご主人とのなれそめについて、少し教えていただきませんと。
沢辺 知り合ったのは、私が高校3年の時。出会ってしまった、という感じですかね(笑)。友達との待ち合わせにスクーター、みんな昔は原チャリと呼んでましたけど、あれで向かっていたら、パンクしちゃったんですよ。当時は携帯なんかないし、近くに修理できそうな店もない。どうしよう、って途方に暮れていたら、今の主人がまったく同じスクーターで通りかかった。どうしたの、って聞かれて事情を話したら、じゃあ、とりあえずスクーターを交換してあげるよ、って言われて。同じモデルだから普通に乗れるでしょう、って。しかも主人は当時、自動車の整備士だったので、私のスクーターを工場まで押して行ってタイヤ交換してくれたんですよ。たまたま同じスクーターでなかったら、素通りされてたかも知れないし、これがやっぱり縁というものなんでしょうねえ。

─本当にそうだと思いますよ。そうしますと専門学校時代は、勉強と家事を両立させるのも大変でしたか?
沢辺 いえ、あれを両立とは言えないのでは……。とにかく、入学した時から、自分の店を持つんだというはっきりした目標があったし、週末は必ずドッグショーに足を運ぶ、という生活。主人を運転手に。ドッグショーというのは、真夏の暑い時期を除いて、毎週どこかで開かれているんです。日本中というわけにはさすがに行かなかったけれど、関東一円は制覇しました(笑)。いい犬をたくさん見たことが、勉強を超えて今の仕事に生かされる財産となってます。

─そして卒業後、ご夫婦でお店を開いたわけですか?
沢辺 厳密に言いますと、少し回り道してるんですけどね。まず、学校は2年制だったんですけれど、私はもっと色々と学びたい、と。そこで学校側に直談判して、大学院みたいな研究コースを作ってもらったんです。そこの一期生として、学校には4年間通うことになりました。やっぱり、好きなことですからね。勉強が楽しい。楽しいから成績も良い。だから店をやって行く自信にもなる、という……。主人は主人で、結婚当初から、実家のあるつくば市に戻る計画だったのですけれど、それは最初にお話しした、義理の兄が経営している自動車整備工場で働くという、一応ちゃんとした人生設計があってのことだったんです。なのでお店は、私一人でオープンしたようなものなのですけれど、数年経って、義兄の方からも、夫婦でやっていった方がいいんじゃないか、とアドバイスされたりして、今のような仕事のスタイルになったわけです。


2005年頃、ご家族とユニバーサルスタジオで。
─その、夫婦でやっていった方がいい、というアドバイスの具体的な内容の中に、成功の秘密があったような気がするのですが。
沢辺 その通りです。最初のうちは、子犬を仕入れて販売していたんですけれど、やはりいい犬というのは外に出ないんです。言い方は悪いですが、残り物を掴まされる。これでは駄目だ、ということで、3年目に犬牧場を開き、100パーセント自家繁殖に切り替えました。そのプロセスで、義兄の方からも夫婦でやらないと、という話になったんです。どういうことかと言いますと、犬のお産というのは真夜中が多くて、こちらも徹夜仕事になります。そうなると昼間は、接客やトリマーの仕事をしなければいけないので、分業でないときつい。繁殖場はニオイが出ますが、店舗は、それこそ犬の毛も落ちていない、というくらい清潔感にあふれてないと、お客様に見放されます。この点、主人は生き物が大好きで、夜中につきっきりになるのも苦にはならない。分業のメリットは計り知れないですね。

─そのように自家繁殖している業者さんは多いのですか?
沢辺 繁殖に特化したブリーダーは結構多いですし、特定の店舗とブリーダーが契約しているケースは見受けられますけど、うちのように繁殖から販売まで一貫して出来るというのは、業界全体で1割もいないのではないでしょうか。

─自家繁殖は、それ自体がメリットがあるものなのですか?
沢辺 お客様のメリットですね。犬の遺伝というのはシビアなものでして、親がよくないと絶対によい子が産まれない。親犬の性格のよさ、健康、そして可愛さと、すべて備えてないといけないんです。そうして産まれた子犬を、しつけながら育てます。トイレをちゃんと覚える、無駄吠えをしない、といったことを、あらかじめしつけておきますから、お客様にも大変、喜んでいただけるというわけです。それから、5年ごとに兄弟犬や親戚犬同士が対面できる同窓会イベントを開いているんですけど、これがまた大好評で。お客様達も犬たちも昔からの知り合いのようで本当にうれしそうで、あの笑顔を見るだけで、苦労は全て報われますねえ。


店舗の外観と宣伝カーであるピンクのクラウン。
─仕事にどっぷりはまってますね(笑)。お休みの日は、どのように過ごしているのでしょうか?
沢辺 仕事にどっぷりはまってますから(笑)。いえ、あながち冗談ではなくて、仕事が本当に楽しくて楽しくて……。ショップは水曜日が定休なのですけど、生き物相手の仕事ですから、一日一回は顔を直接見に行ってしまいます。あとはまあ、仕事を絡めて遠方へもよく出掛けますので、その地域のグルメな物を見つけて楽しんでいますねぇ。

─お子様たちも、それで納得していた?
沢辺 納得もなにも、犬と共に生きる生活以外、知りませんから。まあ子どもの頃は、さすがに夏休みの思い出もないのはかわいそうかな、と考えましてね。毎年夏の終わりに短い家族旅行に行ったりしてましたけど、私自身は別に、旅行に行きたいとも思わない方なので。

─そしてお子様も、結局は同じ道に
沢辺 強制されてやって行ける仕事ではないので、そのあたりは誤解していただきたくないのですけどね。今も言いましたように、犬と一緒にいるのが当たり前の環境で育ちましたから、自然と。他の道など考えたこともない、と言ってくれるようになったので。なので親としても、小中高、そして犬の専門学校が我が家の義務教育なのよ、と。下の子は目下勉強中で、ゆくゆくは同じ道を歩んでくれれば、と期待してます。

─上のお子さんは、猫のショップをやっておられますね。やはり犬好きな人は猫も好きなのでしょうか?
沢辺 よくそう聞きますけど、本当のところはどうでしょう。本当に両方好き、という人は1割か2割じゃないですか? 犬と遊ぶのが好きな人に言わせると、猫カフェなんてなにが楽しいんだ、と(笑)。まあ、感覚が違いますよ。


ワンちゃん達、そして飼い主さん達の笑顔のために。
─やはりペットショップとして、かなり違いますか?
沢辺 犬をお買い上げいただくと、美容院の仕事もついてくる、と言われますね。猫はこの点、洗わなくても汚れませんし、そもそもシャンプーとか大嫌いですし……あと、運動量も違いますから。犬のショップの方では、トリマーさんとか忙しく立ち働いてますけど、猫の方は、なんと言うか、ただただ、まったりした時間が流れていて、違う世界のようです。

─後継者であるお子様には、どういったことを望まれますか?
沢辺 後継者とか店を継ぐとかいう意識で、仕事に向き合わないで欲しい。お客様が大好きで、犬や猫が大好きで、そういう「好きを仕事に」という意識を持ち続けて欲しい。自分の利益ばかり考えてはいけません。私自身、自分の利益や楽なことばかり追求していたら25年も続けられなかっただろう、と考えていますから。

ドッグサロン Bee cluB
TEL/029-852-3533 Eメール: info@beeclub.co.jp
ホームページ http://beeclub.co.jp/


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